新卒人気就職先ランキングでも男女ともにTOP3の常連として知られる株式会社NTTデータ。転職を希望している女性からも「働きやすさ」で注目を集めています。
「産休&育休はもちろん、そこから職場復帰する社員へのキャリア形成セミナーなど制度が充実しています。働き方を柔軟に選べることもあり、育休からの復帰率はほぼ100%。これは社員たちと会社が創ってきた状況・文化なのだと思います」
こう語るのはNTTデータ入社20年目の堀さん。今回はLHH転職エージェント・シニアコンサルタントの濱口さんと、堀さんの対談形式でNTTデータが“男女ともに自分らしく働ける理由”を深掘りします!
ワーママが語る 産休育休の経験談
濱口:まずは堀さんのNTTデータでのキャリアを教えていただけますか?
堀:はい。NTTデータ入社後は、システム開発と運用に各8年ほど従事していました。運用チームでは責任者を経験し、その後は、営業やコンサルを経て、金融分野の人事を担当していました。現在は同じ金融分野で営業や社内手続きなどを効率化するプロジェクトのマネージャーを務めています。
いま改めて振り返ると、入社1年目の終わりに小さなプロジェクトのリーダーを任せてもらったことが、その後のキャリア形成に大きな影響を及ぼしていることを痛感します。当時のメンバーには先輩社員もいたので、「なんで私が?」と疑問に思いましたが、あえて「リーダーの経験を若いうちから積ませておこう」という組織の教育方針や考慮があったのでしょう。メンバーに支えられながらプロジェクトをやり遂げられた経験は、その後の私の仕事人生に大きな自信を与えてくれました。
濱口:堀さんはお子様がいらっしゃるとお聞きしていますが、出産時に活用された制度など教えていただけますか。
堀:当然ながら産休制度は労働基準法が定めるところの「産前6週、産後8週」の期間の取得ができます。さらに弊社の場合は産前の休暇が6週間に満たなかった場合、その満たない期間を産後に付与できるなど、期間設定に融通が効きます。私は育休制度を利用していませんが、なかには最大で3年ほど休む同僚もいましたが、それも弊社では特別珍しいことではありません。
堀:また、ここ1、2年で見ると、男性社員の育児休職の取得率も急上昇しています。これは私の肌感覚ですが、若手世代が積極的にパートナーの出産前後のタイミングで2~3カ月程度の育児休職をとっているイメージです。1年間取得する人はまだ少数ですが、それでもどんどん変わってきているなと感じます!
濱口:若手世代が積極的に取得しているのは良い傾向ですね。男性の育児休職の取得について、日本ではまだ過渡期なのかと思います。しかしながらそこは期間の長短ではなく、男性社員も育児休職制度をしっかり利用する実績が第一段階として重要なのかもしれませんね。
堀:同感です。弊社では、2025年度末までに「男性の育児休職取得率30%」の目標を掲げています。実際、性別を問わず育児まっただなかの社員は子供の送り迎えなどで仕事を途中で抜ける社員も多いです。そうしたことが日常的に起こる前提で「誰かが抜けたら困る」状況をつくり出さないよう、どの部署も計画的にプロジェクトが進められるよう努力しています。
柔軟性のある働き方をかなえる社内制度と組織文化
濱口:仕事と子育てを両立するために時短勤務以外にどのような社内制度を利用していますか?
堀:在宅勤務とスーパーフレックスを活用しています。弊社では「フレックスタイム」と「スーパーフレックスタイム」、「裁量労働」から選べるスタイルがあります。スーパーフレックスは絶対に業務に従事しなくてはならない「コアタイム」がないので、仕事時間は社員自身で決められますし、途中で数時間抜けるといった形でも大丈夫です。多くの社員が「スーパーフレックスタイム制度」を活用していますし、会社も推奨しています。
私の場合は時短勤務で1日のうち好きな5時間を選んで働けるので、子育てと仕事が両立しやすく、精神的にも安定してとても助かっています。
濱口:堀さんの1日のタイムスケジュールを教えてください。
堀:弊社は、コロナ禍に限らず在宅ワークが可能で、今は2週間に1度出社する程度です。そのため主に在宅ワーク時の話になりますが、在宅の日は、夫が朝8時過ぎくらいまでに子供を保育園に連れて行ってくれるので、その間に掃除などの家事を済ませています。そして10時頃から仕事を開始。16時には仕事を終え、17時頃に子供のお迎えに。子供が寝る20時頃までは“あまあま母ちゃん”と化してます(笑)。その後は、残った仕事をすることもありますが、基本的には自分時間にしてリラックスタイムを楽しんでいます。出社日は、朝の家事を翌日に繰り越すなど調整しています。
濱口:そうした柔軟性のある働き方を実現するため、工夫していることはありますか?
堀:そうですね。たとえば子供のお迎えで仕事を抜けたとしても、業務に支障が出ないよう事前に予定をスケジュール表に登録して、メンバー間でお互いのスケジュールを共有するようにしています。私はマネージャーとして「個人ではなくチームで、互いにフォローしあうのが当然である」という共通認識や雰囲気を醸成しています。
育休後の復帰を支えるのは、丁寧なコミュニケーション
濱口:御社の育児介護に関しての相談窓口や、育休中の社員を対象にしたキャリア形成セミナーはどういった制度でしょうか?
堀:育児介護の相談窓口は、出産前の社内手続きから、復職時やその後の育児に関する手続きまで、親身になって相談にのってくれるので、とても助かっています。復職に向けた情報提供や復職経験者の事例を紹介する「育休セミナー」、そして私が所属している金融分野の組織においては、独自に実施している復職前面談があります。全社としては、復職後、6カ月をめどに上長、人事担当者との3者面談を行い、復職してみての状況や不安に思っていることや今後のキャリアを話し合います。
濱口:復帰後のポジションについて、本人の希望は通りやすいのでしょうか?
堀:希望は通りやすいと感じています。私の場合は、スタッフ部門で働いていた時に産休に入りましたが、その前から「次は現場に」という意思を伝えていて、復帰と同時に叶いました。復職者向けの面談では、上長だけではなく、各分野等組織の人事担当者とも話をすることができます。直接上長に言いづらいことがあったとしても、本音を言えるフォローアップ体制が会社として構築されているので、そういった部分でも非常に心強いですね。
濱口:転職活動中の方とお話をしていると、「転職先の上司が産休・育休に理解がなかったらどうしよう」といった心配をよく耳にします。御社は、その不安が払拭できる点がとてもいいですね。
堀:出産は社会にとってもチームにとっても、とてもハッピーなこと。私の時は上長が「本当に、全然気をつかわなくていいからね」と言ってくれて、すごく気持ちが楽になったのを覚えています。自分が心配するほど周囲は気にしていないのかも?というのが実体験を通した“気づき”ですね。こうしたカルチャーは社内全体に根付いていると思います。
一方で、私自身マネージャーとしては、メンバーの状況を把握しつつ、あえて“遠慮なしに色々お願いする”よう心掛けています。子育てを理由に遠慮される方が当人にとっては居心地が良くないと感じてしまうだろうし、ただ「もしそこでキャパオーバーならば、躊躇せずに大丈夫だよ」とメンバーには伝えていますね。
濱口:同じ仕事量でも人によっては多いと感じたり、一方で期待されていないから少ないのかと落胆する場合もある。そんな時、丁寧に会話すれば受け取り方は変わりますよね。御社には社員同士がしっかり向き合ってコミュニケーションをとる体制があり、堀さんのような理解あるマネージャーがいらっしゃるのが素晴らしいと感じました。
20年前から大きく変化。「時短勤務でも評価され昇進できるように」
濱口:ところで御社では、「2025年までに女性採用比率を30%超に」「女性管理者比率を10%に」という具体的な目標を掲げています。堀さんが入社された頃と比べて、働きやすさの変化を実感されていますか?
堀:それこそ私が入社した2002年当時は女性の採用数が少なくて、新人研修で30~40人のクラス中5人程度でした。いまでは女性社員は3割ほどで随分増えてきました。ただ管理職の研修では、まだまだ男性が多く、女性マネージャーも着実に増えてはいますが、現在はちょうどその過渡期というか、今後の課題ではないでしょうか。
濱口:時短勤務の社員の方は具体的にどのように評価されていますか?
堀:量より質。限られた時間の中でどれだけのパフォーマンスを発揮できるかが評価のポイントになりますね。四半期に1度、マネージャーとメンバーで「チャレンジシート面談」というのを行っています。「チャレンジシート面談」では、新しくチャレンジする業務と、手堅く進める業務の両立という視点での目標をたて、定量的に「じゃあ、何を何%実現するか」などの達成目標の目線を合わせたうえで業務にあたってもらっています。前四半期の振り返りの際には、それぞれの業務目標の達成度も確認しています。
こうした制度は、子育てしながら時短勤務を選んでいる社員にとっても、大きな働きがいにつながっていると感じています!しっかりとした実績を残すことで、時短勤務でも負い目を感じることなく、自分の理想とするキャリア形成を諦めなくてもいいですからね。
濱口:なるほど。素晴らしい制度ですね。
堀:私が入社した当時は男性社員ばかりで女性の先輩のロールモデルはいませんでした。ただ個人的には、「ロールモデルはいなくていいんじゃない?」とは思っています。自分が描いた働き方をすればいい。それでいいと思っています。
濱口:それを実現できる社内環境を、堀さんたち女性社員のみなさんが切り拓いてきたということでしょうか?
堀:そうだと思いますよ。「育休から復帰した時に高評価を上長に付けさせるくらい頑張ろう!」という気概で、数多くの女性社員たちが働いてきた。その積み重ねがNTTデータ全体を変えてきたのは確かです。まだまだ過渡期の部分もありますけど、そこも自分たちが変えていかなきゃ、一緒に変えていこうよ。そんな風に考えています。
NTTデータへの転職希望者にメッセージ「まずは来てみて!」
濱口:最後に、御社の採用活動における今後の課題点について教えてください。
堀:まず一つ課題として取り上げたいのが、女性社員の中途採用でしょうね。新卒採用の女性比率は35%近くにまで増えましたけど、一方で今の転職市場で弊社を希望する女性の母数はまだまだ少ない印象です。職業柄なのか、弊社が理系の会社というイメージが強いからなのか……。スキルを持っている女性にどうしたらもっと良いアプローチができるのか、ここは工夫する必要がありそうです。
やはり、ダイバーシティに富んだ組織はプロジェクトもより盤石になるので、経験豊富な女性社員も多いに越したことはないというか、「いてくれないと困る」というのが本音です。
濱口:なるほど。これまで仕事をされてきた育休中の女性が次のキャリアを考えるとき、今の職場に戻るのか、はたまた転職するのか、一つの節目になりうると思うんです。もし育児中で時短勤務を選んだら、キャリアを諦めなくちゃいけない職場ならば、それはご本人とってももったいない。私たちキャリアコンサルタントも、“諦めなくていい”環境探しをお手伝いしていきたいと考えています。
そして、先ほどの採用課題についてですが、転職を希望される方が採用面接時に「仕事を頑張りたいです。でも時短勤務希望です。」と申告するのは、かなりハードルが高そうだということ。そんなことを言うと「採用担当者にやる気がないと思われるのでは?」という不安にかられてしまうと思います。
堀:確かに不安ですよね。
濱口:御社でもすでに実施されているかもしれませんが、その不安を払拭する解決策の一つとして、たとえば「うちは長期的に候補者様のキャリアを優先して考えている会社だから、時短勤務からのスタートもOKですよ」ということを伝えたり、面接の段階から、現場社員の方との対話の場を設けて、そのなかで「スーパーフレックス制度もあるから、子育て中でもウェルカムですよ」といったメッセージを伝えることができれば、御社に惹かれる方はもっと増えてくるかもしれません。
すでに実施中の内定者向けフォロー面談も効果的ですよね。実際にどんな働き方ができるのかを知ってもらうことで、ミスマッチなく入社いただけると思います。
堀:なるほど。ご意見、ぜひ参考にしたいです!
濱口:では最後に、御社へ転職を希望される方にメッセージをお願いできますか?
堀:はい。NTTデータに応募しようか悩んでいる方へ。軽いかもしれませんが「まずは、一度来てみればいいんじゃない?」とお伝えしたいです。もちろん、投げやりではなく前向きなお誘いですよ(笑)。弊社には、今回お話させていただいたような柔軟な働き方を支援する制度も整っていますし、それを存分に利用、活用するカルチャーやマインドが根付いています。
もちろん、仕事のやりがいもありますから、皆さんの志にお応えできる企業だと思います。もしちょっと違うかなと思っても、会社自体は大きいのでいろいろな組織がありますし、他の部署に異動してキャリアを築いていくことも可能です。弊社に少しでも興味を持っていただけそうであれば、まずは気軽に応募していただけたら嬉しいです!
コンサルタント
ITセールス&マーケティング課 シニアコンサルタント
アデコ株式会社LHH転職エージェント・シニアコンサルタント。株式会社りそな銀行を経て2018年アデコ株式会社に入社し、LHH転職エージェントにて人材紹介サービスに従事。国内大手SIerやコンサルティングファームへの採用支援を行いながら、それらを志望する人材のキャリア開発支援を行う。「職種・業界の専門性」と「360度式コンサルティング」を駆使し、質の高いサービスを追求している。また、スキルに加えてビジョンや価値観もつなぎ合わせ、人材が躍動できる支援を心掛けている。2020年度には、第13回ビズリーチ 日本ヘッドハンター大賞 会員満足度部門を受賞。