ブラック企業や過重労働への社会の目が厳しくなってきており、過酷な労働環境によって体調を崩してしまった方への理解が、社会全体として深まっています。
身体、知的、精神の3種類の障害者手帳をお持ちの方の中で、就職できている方の割合が一番少ないのが精神障がいですが、さまざまな取り組みにより雇用率が引き上がってきています。転職のポイントなどをご紹介します。
仕事に就くことへの追い風
仕事をしようかと一歩踏み出そうとしているあなたに、追い風が吹いています。
きっと今年法改正され企業の雇用率が引き上げられたことや、官庁での雇用人数水増しのニュースは耳にしているかもしれませんね。
当社にはSocial Partnersという障がい者をお持ちの方向けの転職エージェントの部門がありますが、ご登録者の手帳の種類として一番多いのは精神です。
わたしたちのもとへ訪れるお客様から届く声は、その誠実さや責任感の高さ、やさしい性格からご自身のキャパを大幅に超えるような懸命な仕事ぶりによって、体が悲鳴をあげてしまったんだなと思うようなケースがたくさんあります。
- 残業100時間超えで体調を崩した
- 毎日怒鳴られるような環境にいた
- ニュースになるような大トラブルの処理を裏方でずっとしていた
- 到達不可能と思われるような高すぎる営業目標を負わされていた
文字にしただけでも、過酷さが目に浮かぶような職場環境です。
そこからもう一度仕事をしようと思うことは、大きな勇気がいることと思います。
私たちは、それでも前向きな一歩を踏み出そうとしているあなたを、ぜひお手伝いさせていただきたいと思っています。
精神障がい者の雇用者数が大幅に増加
ブラック企業や過重労働への社会の目が厳しくなってきており、過酷な労働環境によって体調を崩してしまった方への理解が、社会全体として深まっています。
身体、知的、精神の障害者手帳をお持ちの方の中で就職できている方の割合が一番少ないのが精神障がいであることから、政府も精神障害者手帳をお持ちの方の就職の後押しをしているため雇用率が引き上がってきています。
- 障害者雇用促進法の改正
従業員が一定数以上の規模の事業主は、従業員に占める身体障害者・知的障害者・精神障害者の割合を「法定雇用率」以上にする義務があります。
(障害者雇用促進法43条第1項)
障害者雇用の法定雇用率は2012年に1.8%から2.0%に引き上げられて以降、数年ごと引き上げが行われている背景もあり、公的機関・民間企業での実雇用率も右肩上がりで上昇を続けています。
その中でも特に精神障害者の方の雇用の伸び率が著しい状況です。
- 障害者雇用率制度
雇用義務を履行しない事業主に対しては、ハローワークが行政指導を行います。
- 精神障がいをお持ちの方の意識の変化
企業だけでなく就職活動をする精神障がいをお持ちの方の意識も大きく変わってきている点も見逃せません。2016年度にハローワークに申し込んだ方の数は、8万6000件と10年前の4.5倍にもなっています。
- 採用企業の意識の変化
働き方改革や長時間労働への意識の変化によって、従業員の心身の健康を意識する企業が増えています。
この背景には、障がいをお持ちの方が増えていることのみならず、障がいは隠すものではなくオープンにしていく、という社会の変化があるといえるでしょう。
障がいではありませんが、LGBTや過去のつらい生い立ちなどをオープンにする方も増えている気がします。多様性への理解が進んできているようにも思えます。
それによって本来の自分でいること、周囲の理解が進むことで、お互いに居心地のよい関係性が築きやすくなるのかもしれません。
仕事の探し方
- 就職のためのポイント
就労移行支援所や就労支援センターなどの支援機関、就労へのアドバイスをくださる主治医など、職場以外の相談先はありますか?
たとえば、就労移行支援所を利用すれば、就職に必要な知識やスキル向上のためのサポートを受けることができます。また、同じ障害を持って就職を目指す仲間もできるため、自分の障害を客観的にとらえることができるようになった、というお声も耳にします。
就労移行支援所に3カ月以上、毎日安定して通所できれば、その実績が就活にも有利に働きます。離職中であっても就労移行支援に毎日通えていることは、朝決まった時間に起きる、という規則正しい生活が送る為の体力と生活リズムが身についているという客観的な証明になるのです。
職場以外の相談先を設けておくメリットとしては、職場の方との関係性が構築できるようになるまでの間に発生する発生する些細な悩みや困りごとを相談できることです。
現職中の方や離職して間もなく前職で長期間安定して勤務ができている場合も再就職が決まりやすいといえます。
厚生労働省職業安定局の資料によると精神障がいのある方の中には、入社から1年以内での早期離職される方も多いため、安定して就業できるかどうかもポイントとなります。就労移行支援所など支援機関のサポート、企業に勤務していた実績は、その不安を払拭する大きな材料となります。
内定のためのポイント
一緒に働きたいと思える人柄が採用のカギです。きちんと自己コントロールできるかという点も、採否を決定する大きなポイントとなります。
- うつ、双極性障害、統合失調症などで定期通院・服薬にて治療中の場合
治療を継続できているかが大切です。
また、自分の病気と真摯に向き合っており、生活習慣やストレスを抱えすぎないための息抜きの仕方などを工夫して体調のコントロールに努め、もし体調が悪くなる時には予兆など体調の変化に自分で気づけるかという点も重要なポイントになります。
- 発達障がい(広汎性発達障害、ADHD、学習障害、アスペルガー障害など)の場合
自分はどんなことが得意なのか、自分に向いているのはどんな業務なのかなどのご自身の障害特性について自己分析がしっかりできていることが大切です。
また、自分が苦手なのはどんなことなのか、どう工夫して苦手なことに対処したのかという経験についても把握しておくこと、採用する側もまかせる仕事、避けるべき業務のイメージが湧きやすいようです。
自分の特性を自分の言葉で採用担当者に伝えることができれば、採用される可能性は大きく高まるでしょう。
そして、何よりも大切なのがお人柄です。採用担当者は、一緒に働きたいと思えるお人柄かどうかを判断します。どんな障がいであっても、仕事を長く続けていくためには職場の理解と協力が欠かせません。これは仕事をする上での共通する資質です。
一度はじめた仕事は、長ければ何十年も続きます。
採用されることを過度にあせり、入社後に実力以上に頑張りすぎてしまって結局はまた体調が悪化してしまうということは、大きなダメージを負ってしまうのではないでしょうか。
私たちは、心身に大きな不安がない気持ちが安定しているなかで仕事をすることが、大切だと思っています。
人生100年時代、想定外のことが起こらない人はいないと思います。
あせらずに歩んでいけたらいいですね。
Social Partners(ソーシャルパートナーズ)の強み
今回ご紹介した事例以外にも、障がいをお持ちの方の実績事例があります。障がい者採用転職をお考えの方はぜひLHH転職エージェントまでお気軽にご相談ください。
コンサルタント
証券会社でリテール営業を経験後、転職エージェントの転職コンサルタントへキャリアチェンジをする。現在は、障がい者採用と管理部門系の転職支援を行う。とくに障がい者採用領域においてのサポート実績は、のべ300名以上ある。求職者の障がい特徴と企業の職場環境に応じた、双方への丁寧なフォローを大切にしている。