「今の仕事にどれくらい満足していますか?」と聞かれたら、あなたはどのように答えるでしょうか。
これまで多くの方と面談をしてくる中で見えてきたこと。それは、給与を上げたい、経験や資格を生かしたい、専門的なスキルを身に着けたい、在宅勤務の割合を増やしたいなど、おひとりお一人にそれぞれ考えがあり、叶えたい夢や、働き方も百人百様という希望や本音です。
しかし、お話を聞いていると本音の向こうには「特別なスキルも無いし・・・」「休職期間が長いから・・・」「障がいの特性上の問題で・・・」などのように、チャレンジする前から諦めが入っているように感じることもあります。 「全ての希望を叶える事は難しいかもしれませんが、トライする前に諦めるのは早い。」私は、そのように感じながら、目の前の転職希望者の方の話に耳を傾けています。
これまでの実例を踏まえ、実際どのような転職希望条件を叶えてきたか、いくつかの事例を基に紹介いたします。
【事例①】これまでの専門スキルを生かして働きたい~Aさんの場合~
転職前:大手人材サービス業での事務職 年収280万円
転職後:上場企業メーカーでの経理職 年収350万円
40代後半 精神障がい
Aさんは、大学を卒業後一貫して経理職に従事されてきました。
順調にキャリアを重ね、上場企業の経理マネージャーとして忙しい日々過ごし、業務量も多く、それに伴い残業時間も多い状況でした。
Aさんが体調を崩されたのはある日の通勤時、電車で移動中に体調が悪くなり、急きょその日は会社に連絡をいれ、休むことにしました。しかし、翌日以降も倦怠感や不眠などの症状は悪化していったそうです。
何かおかしいと感じ、精神科で診察を受けたところ、うつ病と診断されました。
当時、Aさんが勤務されていた会社では精神障がいに対する理解や受け入れ体制が整っておらず、Aさんは、さまざまな部署を異動する事に。真面目なAさんは異動先でも業務に慣れようと一生懸命に取り組みましたが、業務に慣れる頃には再度異動が続き、就業環境が安定しない状況のなか、体調も一向に回復せず、結果的に退職する運びとなりました。
その後、移られた別の会社にて、経理職からは離れ事務職として働いていましたが、これまでキャリアの中で築いてこられた「経理をしたい」という想いから、もう一度、転職活動を開始しました。
初回面談では、Aさんの経理への想いは伝わったものの、同時に、Aさんがどこか諦めているようにも感じました。私が転職の面談をした時には、ご自分でいくつか企業へ既に応募されていた状況でしたが、書類選考段階でほとんどの企業で見送りとなり、面接まで進んでも、直近の経験が経理ではないことから見送りとなっていました。
そのような状況にあっても、ご自身のビジョンと可能性を信じて登録して下さったAさん。初回面談の終わりに「諦めずにやり切りましょう!」と明言して面談を終えたのをはっきりと覚えています。
その後、障がい者採用の求人だけでなく、当社に一般枠として経理ポジションでご依頼を頂いている企業のいくつかに、募集中の経理ポジションに障がい者採用として採用が出来ないか、交渉を行いました。
交渉後、大手メーカー企業より、受け入れ出来るかもしれない、とお声がけをいただき、すぐにAさんに連絡し、レジュメを送ったところ、正式に書類選考は通過。無事に面接に進むことが出来ました。
面接では経理職としてブランクはあるものの、上場企業で経理マネージャーとしての経験が評価され、契約社員スタートではありましたが、無事内定を獲得。
Aさんからも、改めて経理職としてチャレンジできる環境であり、ご自身の障がい配慮についても理解くださったという理由から受諾いただきました。
今回の交渉は、Spring転職エージェントの強みである、「360度式コンサルティング(1人のコンサルタントが求職者と企業の両方を担当する事)」と「障がい者採用の人財紹介と一般枠の人財紹介両方を対応している事」だからこそ実現可能となった交渉だったと言えるでしょう。
その後Aさんからご入社後に連絡をいただき、「始めは簡単な業務からスタートさせていただき、徐々に業務範囲を広げていく予定です」と嬉しそうにおっしゃっていたのが印象に残っています。
【事例②】同じ業務ばかりは嫌だ!主体的に仕事をしたい!~Bさんの場合~
転職前:大手企業の特例子会社にて事務職 年収350万円
転職後:大手インフラ系企業にて人事総務職 年収500万円
30代前半 身体障がい
30代前半のBさんは、若々しく、はつらつとした印象を面談でいだいた記憶があります。
幼い頃に内部障がいを患い、その後移植手術を経て、日常生活においての配慮は特別必要なく、健常者同様の生活を送っていました。
特例子会社とは、障がいをお持ちの方の雇用促進及び安定を図るために設立された会社で、就業時間や業務量など、サポート体制が整っている事が特徴です。
同社で5年の経験から、Bさんはチームリーダーとして障がいをお持ちの方の指導・教育をしながら自身の業務も行う、責任ある立場を任されていました。
責任ある立場の一方で、担当業務は定型作業が多く、毎日同じ業務の繰り返しが続いていました。
さらに、在籍した5年間、給与もほとんど上がらず、特別なスキルも身に付いていないのではないかと、日を追うごとに不安感が高まり、その不安から転職への想いが強くなっていたようですが、自身の障がいの事を考えると、特例子会社以外での就業は難しいのではないかと思うようになっていたということでした。
Bさんのキャリアビジョンを軸に、弊社からは現職と同様の特例子会社での求人や一般事務、庶務といった求人は紹介ではなく、より専門的なスキルが身に着く求人、または、オープンポジション*で募集している求人の紹介に徹することにしました。
*オープンポジションとは、企業がその方のスキル等を確認したうえで、自社で受け入れが可能な部署が無いか探してもらえるポジションのこと。
実際、Bさんは紹介の中から何社か応募し、複数社と面接に進みました。直近5年間安定的に就業出来ている点や、障がい配慮も少なく自走して就業いただけそう、という理由から、最終的に大手インフラ系企業より内定をいただき、入社を決断しました。
ポジションは人事総務となり、まずはサポートからスタート。
企業からは、将来的にはチームの要となっていただく予定という嬉しい言葉もいただきました。
キャリアチェンジだけではなく、年収も大幅アップを実現し、Bさんの希望を全て叶える事が出来た、素晴らしい転職へとつながりました。
【事例③】これといったスキルが無い・・・ 将来が不安・・・ ~Cさんの場合~
転職前:教育業界にて清掃・庶務 年収200万円
転職後:IT企業にてエンジニア職 年収280万円
20代後半 精神障がい
20代後半のCさんは、学生時代に人間関係で悩むことが多かったと言います。
大学を卒業し、就職、営業職として毎日忙しい日々を過ごしていましたが、同僚や営業先とのコミュニケーションは上手くいかず、結果的に早期退職となりました。
その後も営業職で転職をしますが、前職と同様の理由で退職を繰り返すことが続きました。
ある日、電車の広告で発達障がいという障がいを知り、Cさん自身の特徴に当てはまる事が多かったため、専門の病院で診察し調べたところ、発達障がいの診断を受けました。
それからは、自身の障がいをオープンにして清掃の仕事をしていましたが、30代を目前に、ふと、この先何十年と今の仕事を続けることが出来るのか、といった不安からいてもたってもいられなくなり、弊社へ相談に来られました。
「一生もののスキルを身に着けたい。」熱心な口調で想いを語るCさん、何とか就労支援をしたいと思わせる方でした。
面談では、これまでの経験を棚卸し紐解いていきました。PCを使用した経験もなく、人とのコミュニケーションも正直苦手、何か仕事に役立つ資格も持っていない...どのような紹介につなげるのがCさんにとってベストなのだろうか、と悩んだのは事実です。
なかなかご紹介が出来ずに何日か経過した頃、「未経験から始めるITエンジニア」の求人をいくつかの企業から依頼をいただきました。
Cさんが面談で話していた「一生もののスキル」とは、まさにこのことだと感じ、すぐにCさんに連絡をし、ITエンジニアとして一生やっていく気持ちはあるか確認したところ、是非チャレンジしたいと即答いただきました。
そして、一緒に「なぜITエンジニアを志望するのか」をテーマに志望動機を作成し、企業の書類選考に進みました。
CさんのITエンジニアになりたいという熱い思いが通じ、書類選考を通過。
採用面接の場では、コミュニケーションが苦手だったCさんでしたが、終始一生懸命に伝えようとしている姿勢とITエンジニアへの想いが採用企業担当にも届き、無事に内定をいただく事が出来ました。
入社後、数カ月して連絡をしましたが「まだ研修中ですが、1からじっくり学ばせていただいています」と嬉しそうに話す姿が心に残りました。Cさんも数年後には立派なエンジニアとして活躍している事でしょう。
現在、未経験でITエンジニアにチャレンジ出来る求人は増えており、若手中心に志望する方も増えつつあります。
「本当に未経験で大丈夫なの」との疑問の声もあるかもしれません。もちろん、未経験の仕事に挑戦する場合には日々勉強の連続ですが、入社後フォローアップとして、数週間から数カ月単位でしっかりとトレーニングや研修を行う体制の企業が多いので、「一生もののスキルを身に着けたい」と考えている方におすすめしたい職種の一つです。
Aさん、Bさん、Cさんそれぞれ叶えたい夢があり、現在置かれた状況に日々思いめぐらせ悩んでいましたが、一歩踏み出すことで企業との縁をつかみ、最後まで納得のいく転職活動を実現する事が出来ました。
ひと昔前の障がい者雇用と言うと、「軽作業」、「一般事務」といった簡単な業務がメインだったかもしれません。
しかし、現在では、障がいをお持ちの方に、より専門的な分野で活躍していただきたい、と考える企業が増えています。
今の仕事に不満がある、現状を変えたい、スキルを身に着けたい、など、あなたの中にも叶えたい夢や希望があると思います。諦めて終わらせる前に、是非一度、LHHソーシャルパートナーズにご登録、ご相談下さい。
豊富な実績と経験、幅広い専門知識を持つ専門コンサルタントが親身になって面談と就労支援を致します。
Social Partners(ソーシャルパートナーズ)の強み
今回ご紹介した事例以外にも、障がいをお持ちの方の実績事例があります。障がい者採用転職をお考えの方はぜひLHH転職エージェントまでお気軽にご相談ください。
コンサルタント
大学を卒業後、都内を中心に小売業を展開する企業に7年間従事。
LHH転職エージェント(アデコ株式会社)入社後は、経理、人事、総務といった、管理系職種の紹介を業界問わず幅広く対応。現在は障がい者手帳をお持ちの方向けの紹介も兼務しており、障がいの種別問わず、業界・職種横断的に幅広く対応している。特にミドル~シニア層の紹介には強みを持っており、自身の強みをいかに面接で表現するか等、面接対策を得意としている。