障がい者採用面接時の退職(転職)理由の効果的な伝え方

一般に、退職(転職)理由を伝えることは非常にデリケートな内容の場合が多く、どこまで伝えたらよいか悩む方も多いと思います。 しかし、面接官の質問意図がわかれば、自信をもって効果的に伝え好印象を残すことができます。

ここでは、障がい者採用面接時における退職(転職)理由の伝え方や考え方を解説します。

面接官は退職(転職)理由で何を判断するのか

1.入社後すぐに辞めてしまわないか
2.入社後に活躍できる人財か

面接官は退職(転職)理由を聞くことで、再び同じような理由で退職することにならないか、仕事に求めているのは安定なのか、スキルアップなのか、給与条件なのか、人間関係を含めた環境なのか等の目星をつけています。また、同時に自社で上手くやっていける人財かどうかも判断しています。

退職(転職)理由の事例<具体的な回答例とポイント>

ここでは退職理由ごとに面接官が抱く不安や疑問などの心理に加え、退職(転職)理由の伝え方のポイントと回答例をあげます。

1.体調を崩したため

<面接官の心理>
・体調を崩した理由やきっかけになったことが、自社でもおきないだろうか
・現在の体調は安定しているだろうか

<ポイント>
「なぜ体調を崩したのか」起因となった事象や環境等をわかりやすく簡潔に伝えましょう。また、現在の体調と、生活の工夫、対処法等、自身で行っている努力も合わせて伝え、就業可能であることを伝えましょう。

◆回答例1
持病のリウマチが悪化し、通勤に1時間以上かかることが体力的に負担となってきたため退職しました。30分以内の通勤なら普段の買い物等でも対応できているため問題ありません。

◆回答例2
エンジニアとして客先常駐で就業していましたが、突発的なトラブルや深夜対応が1か月以上続き、生活リズムが崩れたことにより不眠やうつ病を発症し退職しました。退職後、就労移行支援に半年間ほぼ皆勤で通所できるようになり、体調が安定してきたため転職活動を開始しました。

2.障がい者採用を希望するため

<面接官の心理>
・どのような配慮を求めているだろうか
・現在の体調は安定しているだろうか
・一般採用と障がい者採用の違いをどう捉えているだろうか

<ポイント>
面接官が気にすることは“どのような配慮を求めているか”です。一般採用では就業できない理由や、どのような配慮があれば安定して勤務できると考えているのかを問われます。障がい者採用では、合理的配慮をしていただけますが会社によって対応の可否が異なります。障がい者採用だからと、あらゆる配慮が叶えられると思い、多くの配慮事項を伝えてしまうと、その希望を叶える環境が無いと判断されてしまうので気をつけましょう。

◆回答例1
残業による体調不良が続き転職に至りました。生活リズムを一定にする必要があるため残業は控えたいのですが、一般採用ではどうしても業務を断れず、体調を崩すという悪循環が続いていたため、障がい者手帳を取得しました。残業に配慮して頂きながら、長期で働きたいと考えています。

◆回答例2
健常者として働いてきましたが、聴力が落ちてきたため障がい者手帳を取得しました。補聴器を付けているためある程度は聞こえますが、人によっては聞き取れない場合があります。何度も聞き返すことで嫌な顔をされたり、業務を振られないことが増えてきたため、理解していただける職場を希望します。

3.人間関係が悪かったため

<面接官の心理>
・社内メンバーとコミュニケーションが取れるだろうか
・どんな人と相性が良い/悪いのだろうか

<ポイント>
当事者同士でないとわからないため、とても判断しにくい理由です。ポイントは「一方的に他責(自責)にしないこと」。どのような状況で関係が悪くなったのか、相手のタイプ、自分自身の反省点等、客観的に伝えることで面接官に愚痴と思われないように気をつけましょう。また、できるだけ相手と自分の双方に問題があったことを伝え、反省点や学んだこと等、今後の糧とするポジティブな話をすると、気持ちの切り替えができていると捉えられます。

◆回答例
配属部署は年配のベテラン社員が多く、同年代は一人もいませんでした。皆さんができることが、自分にはわからないことが多く、業務上の質問がしにくい環境でした。それにより自分で仕事を抱えてしまいミスが起き、ますます関係が悪くなるという悪循環となり退職に至りました。もう少し積極的にコミュニケーションを取れていたらよかったかもしれないと反省し、今後は意識を変えていきたいと思っています。

4.障がいを配慮してもらえない

<面接官の心理>
・どのような配慮が必要だろうか。自社は配慮が可能な環境だろうか

<ポイント>
現職(前職)では採用時にどのように配慮事項を伝え、どのような環境で就業していたのか、配慮されていたこととされていなかったことをできるだけ具体的に伝える必要があります。社内環境により配慮が難しいと判断される場合もあるため、面接官の様子を見ながら、可能な範囲で自分でも工夫ができる点を伝えることがポイントです。

◆回答例
心臓の障がいがあるため、重量物の運搬はできないことを伝え、デスクワークでの電話や受付の一次対応として総務部に配属されました。しかし日々業者から荷物が届き、他の方は在宅勤務でほとんど社内にいない中、自分でも荷物を社内で移動させなければいけない状況が続き、相談しても対応して頂けなかったため退職に至りました。コピー用紙1箱ほどなら台車があれば移動させることはできます。

5.業務量が少ない・暇な時間が多い

<面接官の心理>
・PCスキルはどれくらいあるだろうか
・どのような業務が適正だろうか

<ポイント>
なぜ業務量が少ないのかは、求職者側からの説明では判断がつかないことがあります。例えば、想定していた業務に対してPCスキルが足りなかった。お願いしてみたが適性ではなかった。そもそも会社側で担当業務を用意していなかった等の理由があります。面接時にはどのような説明があったか、担当していた業務や時間配分等を簡潔に伝えましょう。同時に、今後どのような業務を希望するのかも伝えると、面接官は採用後のポジションや業務を想定しやすいです。

◆回答例1
人事・総務のサポートとして入社し、主に求人応募の対応や面接調整を行っていました。しかし応募や面接が減ったことにより、依頼される業務量が減り始め、在宅勤務であったためそれ以外に与えられる業務もなく退職しました。

◆回答例2
総務部の事務として、備品管理や会議室の予約管理・整備、社員データの管理、その他サポート業務を担当していました。元々紙ベースで管理していたものを、Excelで管理できるように改善しました。それにより1日かかっていたものが半日で完了するようになったので、他の業務をアサインしてもらえないか相談しましたが、社内に業務が無く、結果的に時間を持て余すことになり転職を決意しました。

6.スキルアップがしたい

<面接官の心理>
・具体的にどんなスキルアップがしたいのか
・現職(前職)ではなぜスキルアップができないのだろうか

<ポイント>
現職がマンネリ化し漠然と将来に不安を抱えている方もいるでしょう。職場が変わればスキルアップになると考えることもあると思います。面接官側の視点は、具体的に何をしたいのかがわからないと、希望は叶えられないと判断します。
ひとえに「スキルアップ」と言っても、専門職種としての業務スキルなのか、PCスキルなのか、コミュニケーションスキルなのか、具体性のある理由を説明する必要があります。それと共に、なぜそのスキルアップを望むのか、将来のビジョン等も合わせて伝えると、面接官にとっては求職者が自社で働くイメージが膨らみ、選考を進めやすくなります。

◆回答例1
現職では人事採用担当として勤務してきましたが、人事のキャリアの幅を広げるために、労務にも携わりたいと考えています。しかし現職では労務はアウトソースしているため希望を叶えることができません。社労士資格取得も目指して勉強に励んでおり、知識に加え経験を積みたいと思い転職を考えました。

◆回答例2
現職では未経験から事務職に就きました。初めは全く使えなかったExcel操作を少しずつ習得し、現在は自身の仕事の業務効率化をするために関数を組んだりすることができるようになりました。現在Excelを使う仕事は1日の半分にも満たず、残り半分は軽作業的な業務も含まれているため、今後はデスクワークでよりPCスキルを生かせる仕事に就きたいと考え転職を希望しています。

7.年収を上げたい

<面接官の心理>
・現職(前職)はどれくらいの給料をもらっていたのだろうか
・現職(前職)は年収が上がらないのだろうか
・年収を上げたい理由
・将来設計をどのように考えているか

<ポイント>
現職(前職)でどのような業務でいくらもらっていたのか。なぜ現職(前職)では年収が上がらないと判断したのか、転退職してまで年収アップを希望する理由、具体的な将来設計等があれば伝えましょう。漠然とした将来像は伝える必要はありません(例/30代になったので結婚や新居購入等がいずれあるかもしれない、など)。

◆回答例1
障がい者採用で入社し、事務職として3年勤めています。現在は時給制ですが入社から全く変わらず、その間業務の幅が広がり量も増えました。上司に相談したものの障がい者雇用では今後も上がる予定が無いと言われ、親からもそろそろ自立するようにと促されており、1人暮らしができるほどに給料を上げていきたく転職を考えています。

◆回答例2
障がい者雇用で人事職として勤務しています。経験を重ね少しずつ年収も上がり、現在600万円程いただいていましたが、会社の業績悪化により賞与支給がなくなったため、100万円の年収ダウンとなりました。業界的に市場競争が激化しており今後も当分支給される見込みがなく、子供の学費や家のローン等、家計的にも苦しくなるため転職を考えています。

第三者の視点に立った客観性を意識しよう

仮に、自分が採用担当者や一緒に働く同僚だとしたら、あなたの転職理由・退職理由を聞いてどのように感じますか。
あなたが職場で「一緒に働きたい」と思う人はどんな人でしょう。

上記回答例やポイントに共通する点は、

1.面接官に安心して「仕事を任せたい」「仕事を続けられそうだ」と思ってもらえるようにする
2.「働きたい熱意」や「働き続けるための具体的な工夫」を具体的にしっかりと伝える

ことです。回答を準備する際は、第三者の視点に立った客観性を意識しましょう。
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今回ご紹介した事例以外にも、障がいをお持ちの方の実績事例があります。障がい者採用転職をお考えの方はぜひLHH転職エージェントまでお気軽にご相談ください。

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