「このままここにいて、よいのだろうか」。大手メーカー系列企業でITエンジニアをしているお客様は、長く悩んでいるといいます。いまの環境や条件を考えたときに、ずっとここにいることが得策な気がする。でも、もやもやは止まらない…。
紆余曲折を経て、品質コンサルティング会社のITコンサルタントの道を選びました。
「このままここにいて、よいのだろうか」
「現職に大きな不満はありません。むしろ恵まれている方だと思っています。ただこのままでよいのかなと不安で。技術者としてもっと新しいことに挑戦したいという思いが日に日に増していって」
お客様は45歳の男性で、勤務先はメーカー系の大手SIerにてプロジェクトマネージャー(PM)をしています。そこでは、主に製造業関連のプロジェクトを経験。大規模かつ複数のクライアントへの提案や、PJ(プロジェクト)管理に強みを持っていました。
年収は850万円、同世代の中でも順当に評価を得ています。
…大手メーカーの系列企業でのITエンジニア。
これが指す意味を、転職コンサルタントとしては十分理解しているつもりです。
ITエンジニアのキャリアパスとして人気なのは、企業の情報システム部門にいる社内SE、それに類似するのがユーザー系といわれる大手メーカーや金融機関系列のSIerでのポジションです。
同じ環境に置かれているなら、このまま退職まで続けるという選択をする人は多いでしょう。
お客様の現職も安定しているといえるもので、このままでも順当なキャリアを歩むことができそうです。
本音は、なにか
45歳含む40歳代頃は、キャリア理論によると「中年の危機」「ミッドライフクライシス」とも呼ばれる年代で、職業や人生における大きな転機の時期といわれています。
公私に渡り、今後の生き方について転機を迎えるようなできごとがあったり、自らそれを作り出すような気持ちの変化が起こったりするようです。
実際、転職コンサルタントとして日々お客様の話を聞くなかで、それを実感することは少なくありません。
一方で現在恵まれた環境の方が、その環境を変えるような転職をするということは築いてきた待遇を手放すことになります。転職に現実味を増すと現在の待遇や環境のよさを再認識されて、転職をやめる方をたくさんみてきました。
今回のお客様はすでに転職サイトや他社エージェントにも多数登録されて転職活動をされていましたが、それを見越してか他社の転職エージェントでは、大手SIerでのPMや事業会社での社内SEといったポジションを多数紹介されています。
現在のITエンジニア不足の環境下、45歳の1社経験のPMというキャリアは、引く手あまたで同じ転職エージェントとしてその提案をする気持ちはとてもわかります。
私はお客様の話を真摯に受け止めながらも、一方では「Why?」「How?」「本音は?」「覚悟は?」といくつもの「?」が頭を駆けめぐりました。
そのひとつひとつを、お客様にぶつけました。ここでブレがあるということは、やはり転職することは正解ではないですし、応募してからも企業に見抜かれて内定は獲得できないからです。
しかし、私の懸念に反してお客様の思いは本気でした。「PMとして他者と差別化するスキルがない」と不安と物足りなさを感じていること。良くも悪くも安定した環境であるため、新しいチャレンジをしたいという思いが強まっていること。恵まれた環境を捨てる覚悟もしていること。それをブレなく一貫性をもって語ってくれました。
この挑戦は45歳では遅いと思う方は少なくないと思います。
しかし45歳だからこそ、あえてリスクを受け止めて臨みたい、転職を決めたとお客様はいいます。
少なくとも定年まで15年以上はあると考えたときに、このままエンジニアとして成長できないことこそがリスクであると。
ITエンジニアになり20年以上が経過し、キャリアの折り返し地点にいるともいえる今だからこそ、仕事をする意味や、成し得たいことに向き合いたいという思いが高まったそうです。
本気に向き合う
本当に転職を実現されました。
転職先は、品質コンサルティング会社のITコンサルタントで年収は750万円です。
100万円の年収ダウンですが、品質保証という新しい分野で急成長を遂げている企業です。
企業の将来性に魅力とやりがいを見出せたこと、PM経験を活かしながら品質保証という新たな強みを身に付けられる環境です。
初めての転職ですが、経験を活かし新しいスキルまで期待できるという条件に、内定承諾への迷いはありませんでした。また、成長企業で裁量権やスピード感があり、社内でのチャンスをイメージできたことも理由に挙げています。
今回、私がご提案したのは、まだ業界としては新しい「品質保証分野の企業」と、「小規模でも裁量権があり新規投資が積極的なシステム会社」という2つの方向性です。現職に留まることも選択肢に含めたうえで転職活動を続けるということも決めていました。そのなかから今回ご縁のある転職先にめぐり会えたのです。
実は採用企業側はキャリアに関しては高く評価されていたものの、45歳まで転職経験がなく1社だけでの経験であることを心配されていました。企業文化になじめるのかという点においてです。
しかし在職企業はM&Aを繰り返した経緯があったため、同じ企業にいながらも文化や風土が変わるタイミングを何度も経験していたのです。これで企業の懸念点は解消されました。なにより本気度が伝わり、内定を得ることができました。
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LHH転職エージェントの強み
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コンサルタント
大学情報学部在学中、学生ベンチャーにてWebエンジニアとして就業を経て、新卒では技術系人材サービス会社に入社し、営業・人事・システムエンジニアを経験する。
実体験の基づくキャリアコンサルティング、IT・人事領域についても知見が豊富。
現在はITコンサル・SIer・大手事業会社を中心に主にミドル~ハイクラスの転職支援を得意とする。