#新卒採用 #スケジュール
多様化する就活市場において、企業側の新卒採用は戦略的なスケジュールの立案が重要です。優秀な学生を迎えるためには、年間を通した詳細な戦略を組み立てる必要があります。効率的な新卒採用を進めるため、企業が意識するべき点や具体的な採用スケジュールについて解説します。
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新卒採用における企業側のスケジュール
新卒採用における企業側のスケジュールは、政府の要請に基づいて構築されるべきだとされています。しかし、実際の現場では様々な要因により多様化していることも事実です。
内閣官房発表の「2024年(令和6)年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動に関する要請」の指針に従うと、広報活動のスタートは卒業・修了年度前年の3月1日以降、採用選考活動のスタートは卒業・修了前年度の6月1日以降、正式な内定日は卒業・修了前年度の10月1日以降です。
しかし、多くの企業はこの指針以前から活動を展開しており、サマーインターンシップやWebサイトを通じて情報提供を行っています。
ことに外資系企業、マスコミ、ベンチャー企業などは、早期に新卒採用活動をスタートする風潮があります。これは競争が激しい分野で優秀な若手を確保したいと考え、早い段階から就活生をスカウトし、内定を獲得するための戦略です。
その一方で、中小企業の一部は大企業の採用スケジュールと時期を前後にずらし、2回に分けた新卒の採用スケジュールを実施するケースがあります。大企業と同時期の採用活動を避け、有望な学生を逃さずに採用するためです。
また、大企業の採用活動が一段落した後に内定を出す方針を採る場合もあります。このような選択は、中小企業も競争力を維持し、活躍が期待できる従業員を獲得する戦略のひとつです。
しかし、多くの日本企業は4月入社前提のスケジュールを採用しています。9月入社を行う企業は、遅れる月数分を考慮して計画を立てなくてはいけません。
9月入社の企業は、学生とのコミュニケーションや選考プロセスを調整し、スケジュールを組み立てる際に注意が必要です。新卒採用スケジュールは企業の特性や戦略に応じて異なるため、柔軟性を持ちつつ、政府の要請に基づいたスケジュールを参考に調整していくことが重要です。
新卒採用スケジュールを組む際のポイント
新卒の採用スケジュールを考える際には、前年度の採用についての振り返りや求める従業員像の明確化、効果的な採用戦略を意識する必要があります。
前年度の採用を見直す
採用市場のトレンドは年々変化しています。前年度の手法やスケジュールが今年度も通用するかどうかの確認が重要です。新たな採用ツールやプロセスが登場しているかもしれず、それらを取り入れることで競争力を維持できる可能性も考慮しましょう。
企業の方針や業務内容の変化についても確認が必要です。一定の技術やスキルを持った従業員が新たに必要になる場合も考えられます。前年度と比較して、必要な従業員数やスキル要件の変化を検討しましょう。
また、前年度の新卒採用プロセスに改善の余地があるかもしれません。たとえば内定メンバーへのフォローアップが不足していた、就職説明会の開催回数が需要と一致しなかった、などに気づく可能性があります。前年の反省点を洗い出し、改善策を考えることで、今年度のスケジュールをより効果的に構築できるようになります。
採用したい人物像について決める
採用したい人物要件を明確に定義することは最重要です。何を求め、どのようなスキルや特性を持つ学生を採用したいのかを明示することで、採用チーム全体で一貫したビジョンの共有が可能です。
明確な要件がない場合、採用プロセスで学生が不当に落とされたり、最終面接で合格した学生が不適切であると判断されたりするといった機会損失が生じかねません。
また、入社後のミスマッチを回避しやすくなる点にも注目しましょう。社風や業務にマッチしない場合、早期退職のリスクが高まります。人物要件の明確化は、採用にかかる時間と費用の節約はもちろん、採用した従業員との長期的な関係を築く基盤の構築に役立つはずです。
採用の戦略を立てる
昨今の採用環境では、人材不足や少子化などの要因により、就活生の志向が多様化しています。企業が単に求人広告を出すだけでは優秀な就活生を惹きつけることが難しくなっており、戦略的なアプローチが必要です。
そのためには従来の採用手法だけでなく、新たなアプローチも視野に入れるべきです。たとえば、積極的に就活生にオファーを出したり、社内のリファラル採用を活用したりすることで、優秀な就活生と接触できる機会を増やせます。
他社と差別化し、就活生にアピールする魅力の強調も大切です。競合他社にはない独自の強みや価値提供をよく考えることが優秀な就活生を惹きつけ、効率よく求める人材を確保できます。
新卒採用で企業がすべき期間ごとの準備
新卒採用の準備は短期間で進めるものではありません。時間をかけた入念な準備が必要です。
春季の準備:4月~5月
春季(4月~5月)の準備期間では、新卒採用の具体的なプランを練ります。どのような人材が必要であり、何人採用するかを明確にしましょう。また、採用基準や就活生への要件を詳細に定めることも重要です。書類選考や面接のフローもこの段階で設計しましょう。
春季の準備期間は前年の採用プロセスや成果を振り返るよい機会でもあります。前年度の問題点や課題を徹底的に分析し、その原因を特定して、今後の新卒採用プランの改善につなげましょう。
夏季の準備:6月~8月
夏季(6月~8月)の準備期間の有効活用で、新卒採用プロセスを強化し、優秀な学生との接触機会を増やしやすくなります。インターンシップの活用や秋冬のプログラムの準備、採用サイトの改善など、戦略的なアプローチを進めましょう。
夏季休暇を利用し、多くの学生がインターンシップに参加することが予想されます。企業はこの機会を積極的に活用してインターンシッププログラムを用意し、優秀な学生との出会いを促進しましょう。参加した学生のフィードバックを収集し、採用プロセスの改善に活用することも重要です。
夏季の経験を踏まえた秋冬のインターンシッププログラムの準備も大切です。早期計画によって優秀な学生を引き寄せるための手順を整える余裕が確保できます。
また、採用サイトや採用ツールを更新し、最新の情報と応募プロセスの情報提供も進めましょう。昨今の学生は採用サイトを通じて企業を評価し、応募するかどうかを決定するケースが多いため、ユーザビリティの向上と最新情報の充実は必須です。
秋季の準備:9月~11月
秋季(9月~11月)の準備期間では、新卒採用の求人票を準備しましょう。その場合、就活生に提供する情報を明確かつ魅力的に伝えることが大切です。また、採用サイトや採用プラットフォームの本格的な運営と更新を行い、就活生のスムーズな応募プロセスを確保しましょう。
秋季には企業セミナーや採用イベント参加計画の策定も行います。このようなイベントは、学生と直接対話し、企業の魅力を伝える絶好の機会です。参加計画を策定し、どのイベントに出展するか、どの学校で企業セミナーを行うかなどを検討しましょう。
夏季にインターンシップを実施していたのであれば、参加した学生との接点を維持し、関係を深める施策を検討します。インターンシップ参加学生とのコミュニケーションを継続することは、彼らが企業への興味を維持し、応募を検討しやすくする一助になります。
直前期の準備:12月~2月
3月からはじまる広報活動や企業セミナーに向けて、最終的な準備を行います。企業セミナーの内容やプレゼンテーション、資料の整備などを確認し、学生に魅力的な情報を提供できるように準備しましょう。
この時期には採用スケジュールに関する情報を社内で共有し、スムーズな採用プロセスを確保します。必要であればOB・OG訪問や現場単位の面接など、内部スタッフとの連携や調整を行いましょう。
また一部の企業ではこの時期に早期選考を行ったり、内定を出したりする場合があるため、面接官のスケジュール調整や選考プロセスの最終調整も必要です。
採用活動スタート:3月~
3月からは新卒採用活動の本格的なスタートです。企業は採用活動に関するセミナーや説明会を開催し、学生との接触の機会を作ります。また、選考プロセスもスタートさせます。書類選考や面接などの選考活動、そのための就活生との連絡・コミュニケーションも必要です。就活生との円滑で無駄のないやり取りは、彼らの応募意欲を高め、好印象を残す効果が期待できます。
設定した新卒採用の目標に対する進捗確認も行いましょう。応募数や選考合格数、内定数などのデータを収集し、目標達成に向けて必要な調整や戦略の見直しを行います。
まとめ
自社とマッチする優秀な学生を採用するためには、綿密な新卒採用スケジュールの立案と実行が必要です。より精度を高めたければ、自社内部だけの立案・実行以外の選択肢を検討することも有用です。
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