オウンドメディアリクルーティングとは?

オウンドメディアとは、自社が保有するメディアのことを指します。具体的には、自社のホームページや運営しているX(旧Twitter)、YouTubeなどがこれに該当します。そして、オウンドメディアリクルーティングとは、オウンドメディアを活用して採用活動を行う手法です。
オウンドメディアリクルーティングは、求人サイトや人材紹介サービスに依存せず、企業が求職者と直接接点を持つことで、企業の文化や価値観に共感する人材を見つけやすくなるという特長があります。その結果、企業に適した人材を効果的に集められ、従来の採用手法と比較してターゲットを絞った採用が可能です。
オウンドメディアリクルーティングが注目される背景

近年、オウンドメディアリクルーティングが注目を集めている背景には、採用市場の変化や求職者の行動の変容など、さまざまな要因があります。ここでは、主な理由を詳しく紹介します。
採用の難易度が高くなっている
少子高齢化の影響を受けて、従来の採用手法では優秀な人材の確保がますます難しくなっています。求人サイトや人材紹介サービスでは、限られた層にしかアプローチできません。
一方、オウンドメディアリクルーティングでは、自社サイトやSNSを活用して広範囲に情報を発信できるため、より多くの求職者にリーチできます。とくに、すぐに転職を考えているわけではない「転職潜在層」にも情報を届けられる点が大きな強みです。企業のビジョンや社風、働き方などを事前に伝えることで、求職者の関心を引き、将来的な採用にもつなげられます。
価値観が多様化している
近年、働き方の多様化が進み、リモートワークやフレックスタイム制、副業・兼業の解禁など、新しい働き方を採用する企業が増えています。その結果、求職者の企業選びの基準も変化しており、「給与の高さ」だけでなく、「企業の理念や価値観」「ワークライフバランス」「働きやすさ」などを重視するケースが強まっています。
このような変化に対応するため、オウンドメディアは有効なツールです。自社の理念やビジョンをオウンドメディアで発信することで、求職者に企業の価値観を直接伝え、採用のミスマッチを防げます。
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求職者の情報収集方法が増えている
スマートフォンの普及により、求職者の情報収集手段が大きく変化しました。以前は求人サイトや人材紹介会社が主流でしたが、現在ではSNSや企業の採用ページ、口コミサイトなど、多様な情報源を活用して企業研究を行う求職者が増えています。
特に求職者は、「職場環境」や「企業の価値観」への関心が高く、実際に働く社員の声や企業の取り組みを積極的に調べる傾向があります。企業の採用ページや公式ブログ、SNSなどを通じて、社風や働き方を詳しく確認する傾向が顕著になっています。
こうした動きに対応するため、多くの企業が自社の魅力を伝える手段としてオウンドメディアを活用するようになっています。企業文化や価値観を具体的に発信することで、求職者との共感を促し、より効果的な採用活動につなげることが可能です。
オウンドメディアリクルーティングのメリット

オウンドメディアリクルーティングを導入することで、求職者とのミスマッチを減らし、採用コストを抑えるなど、さまざまなメリットがあります。以下では、具体的なメリットについて解説します。
ミスマッチを減らせる
企業は自社のオウンドメディアを活用して、職場環境や業務内容を詳しく紹介できます。たとえば、社員の1日や職場の雰囲気を伝えるコンテンツを発信することで、求職者が入社後のイメージを具体的に持ちやすくなり、入社後のギャップを最小限に抑えることが可能です。
また、自社の理念や文化を発信することで、求職者が事前に企業との相性を見極められるようになります。その結果、入社後の定着率が向上し、早期離職のリスクを低減できます。ただし、実態とかけ離れた期待をさせてしまうと、かえってミスマッチを招く恐れがあるため、誠実かつ正確な情報発信を心がけることが大切です。
自社の認知度を高められる
オウンドメディアを活用して企業の魅力を発信することで、Web検索やSNSからの流入が増え、多くの求職者に自社の存在を認知してもらうことが可能です。とくに、求職者が日常的に利用しているSNSなどのプラットフォーム上で情報を発信することで、さらなる認知度向上が期待できます。
発信内容としては、事業内容や企業文化、従業員インタビューなど、求職者が関心を持つ情報を充実させることが重要です。このようなオウンドメディアの活用は、採用活動だけでなく企業ブランディングやマーケティングにも良い影響を与え、長期的な知名度向上にも寄与します。
採用コストを削減できる
一般的な求人サイトでは、掲載期間やオプション費用がかかり、人材紹介サービスを利用すると、採用者の年収の一部を成功報酬として支払う必要があります。そのため、採用活動が長引くと、コストが膨らむリスクがあります。
一方で、オウンドメディアは初期投資こそ必要ですが、一度運用が軌道に乗れば、長期的に低コストで運用することが可能です。また、作成したコンテンツは繰り返し活用でき、長期にわたって採用活動に役立つ資産となります。さらに、オウンドメディアの運用を内製化すれば、外部サービスに依存せず、より費用対効果の高い採用活動ができます。
オウンドメディアリクルーティングのデメリット
オウンドメディアリクルーティングは、多くのメリットがある一方で、導入や運用にあたって注意すべき点もあります。ここでは、主なデメリットについて解説します。
軌道に乗るまでに時間を要する
オウンドメディアリクルーティングは、短期間で結果が出るものではなく、効果が現れるまでに時間を要するのが一般的です。とくに、新たにメディアを立ち上げる場合、サイトの構築からコンテンツの充実までに数カ月、場合によっては1年以上かかることもあります。
また、SEO対策したとしても、検索エンジンで上位表示されるまでには時間がかかるため、短期間での成果は期待しにくいのが実情です。運用を開始した後も継続的な施策が求められるため、初期段階では求人サイトや人材紹介サービスを併用するのが現実的です。
オウンドメディアを活用した採用は長期的な視点で取り組みましょう。
社内の協力が必要である
オウンドメディアリクルーティングを成功させるには、社内の協力が欠かせません。自社の文化や従業員の声を発信するためには、経営陣や社員の積極的な関与が必要です。とくに、インタビュー記事を通じて企業のビジョンや価値観を伝えることは、求職者にとって有益な情報となります。
しかし、通常業務に加えてコンテンツ制作にも協力するとなると、社員の負担が増え、抵抗を感じるケースもあります。そのため、採用活動の重要性を社内で共有し、協力体制をしっかりと築くことが大切です。社内の協力を得ることで、リアルで魅力的なコンテンツを発信でき、オウンドメディアの効果を最大化できます。
マーケティングの知識が求められる
オウンドメディアを効果的に運用するには、マーケティングやサイト運営の知識が不可欠です。ただコンテンツを増やすだけではターゲットとなる求職者に届かず、応募につながらない可能性があります。
そのため、「採用マーケティング」の視点から、自社に最適な人材像を明確にし、その人材に響くコンテンツを提供することが重要です。このような戦略を立てることで、より多くの求職者を引きつけることが可能です。
一方で、マーケティングやSEOの運用ノウハウが社内にない場合には、専門スタッフを採用するか、外部のサポートを活用することも検討しましょう。
まとめ
オウンドメディアリクルーティングは、自社の採用サイトやSNSを活用し、人材採用の効率化を図る手法です。導入することで、求職者とのミスマッチを減らし、自社の認知度向上や採用コストの削減にもつなげられます。
また、オウンドメディアを通じて企業の魅力を発信することで、より質の高い応募者の獲得が可能になります。ただし、成果を上げるには一定の時間とリソースが必要で、専門的な運用ノウハウも求められます。そのため、初期段階では求人サイトとの併用がおすすめです。
採用業務の負担を軽減したい場合は、LHHの人材紹介・RPO・採用コンサルティングを活用することで、より効率的に採用活動を進められます。
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