リファラル採用とは? メリット・デメリットについて解説

リファラル採用は従業員の紹介によって、求める人材を採用する手法です。日本でも2015年ごろから専用ツールなどが提供されはじめました。一方で、導入はしたもののうまく活用できていないという企業も少なくありません。そこで今回はリファラル採用のメリットやデメリットについて詳しく解説します。

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リファラル採用とは?

リファラル採用とは、端的にいうと従業員の紹介による人材採用の手法です。リファラル(英語:referral)は推薦や紹介という意味をもち、企業が求める人材に合う友人や知人を従業員が組織に推薦します。主に欧米で盛んですが、最近では日本でも導入を検討する企業が増えつつあります。

その背景としてまず、「労働人口減少による採用競争の激化」があげられます。新型コロナウイルス感染症拡大の影響により2020年の採用市場は大きく落ち込みましたが、厚生労働省の「令和元年版労働経済の分析」によると2018年度の有効求人倍率は1.62倍でした。人材不足は深刻化し、採用効率にも影響を与えてきました。

もうひとつは「若手人材の早期退職の増加」です。新卒で入社した社員の3年以内離職率はおよそ3割と高止まりぎみ。Adecco Groupが2018年に実施した調査によると、最も大きな要因は「自身の希望と業務内容のミスマッチ」でした。

こうした社会的な背景からも、リファラル採用への関心度合いが高まっているのです。

縁故採用との違い

リファラル採用と混同されがちなものとして「縁故採用」があります。日本でも昔から紹介による採用は行われており、そのひとつが家族などの血縁者を雇用する縁故採用ですが、リファラル採用とは大きく異なります。縁故採用は基本的にその能力に関係なく、採用が決まっているのに対し、リファラル採用では職務に求められるスキルや能力、カルチャーフィットなどを重視し、採用が確定しているわけではありません。

リファラル採用に比較的近い制度としては、新卒採用におけるリクルーター制度があげられるでしょう。リファラル採用では新卒社員だけでなく中途社員も対象になり、家族や友人、知人などが対象になります。

リファラル採用のメリットや効果

リファラル採用のメリットを紹介します。

企業側のメリットとしては採用コストの抑制や、早期離職の減少などがあげられます。それぞれ詳しくみていきましょう。

採用コストの抑制
リファラル採用をうまく活用することで、民間の求人紹介サービスなどを利用するのに比べ、採用コストを抑制できます。求人紹介サービスを利用する場合、広告費用や紹介手数料などが必要になりますが、リファラル採用で必要になるのは採用時のインセンティブや採用活動費のみ。それらも広告費用などに比べると低コストで済むケースがほとんどです。
早期離職の減少
リファラル採用では早期離職を減らす効果も期待できます。上述の調査結果にもあったように、早期離職は希望と実態のミスマッチに起因するものが最多。リファラル採用では、現場で働く従業員の話を通して企業や職場、業務内容をしっかりと理解できるため、入社後のミスマッチを減らす効果が期待できます。結果として、早期離職の減少につながるのです。
従業員エンゲージメントの向上
リファラル採用によって従業員エンゲージメントの向上も期待できます。リファラル採用を促進する際には、紹介者と人事との間でオリエンテーリングなどを行い、自社のビジョンやミッション、強みなどの理解を深めたうえで進めるのが一般的。自社のことを再認識したり、新たな気づきを得られたりする機会となります。
候補者に自社について自分の言葉で話すという行為自体も、企業理念の理解や魅力の再確認につながり、組織への帰属意識を高める効果が期待できます。
転職潜在層へのリーチ
紹介者を通して、転職活動をまだスタートしていない「転職潜在層」へリーチできるのもメリットのひとつ。一般的に、企業がアプローチできるのは転職情報サイトに転職する意志をもって登録した、転職顕在層です。リファラル採用では、転職情報サイトにもまだ登録していない、どこからのアプローチも受けていない優秀な人材に出会える可能性があり、独自の母集団を形成できます。
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リファラル採用のデメリットや注意点

リファラル採用にはメリットだけでなくデメリットや注意点もあります。

報酬制度などの仕組みが別途必要
リファラル採用を導入するには、別途報酬制度などを整備する必要があります。単に社員へ人材を紹介してほしいと依頼しただけでは、リファラル採用はうまく機能しません。適切なインセンティブ、告知や情報共有の仕組みなどを整えることで、従業員も動機付けがなされ、リファラルが継続的にうまれやすい環境ができます。
不採用や退職時に配慮が必要
紹介された候補者が不採用になったり、退職になったりした場合は、紹介者へのフォローも必要でしょう。縁故採用とは異なり、リファラル採用は雇用が決定しているわけではありません。面接をしたものの求めている人材と違った、面接官から話を聞くと思っていた仕事と違ったなど、双方の理由で見送りになるケースもあります。
そうしたケースが続くと、紹介する側も紹介しにくくなりますので、紹介者に経緯や理由をしっかりと説明するなどの配慮が必要になります。
通常業務への影響
リファラル採用では従業員の時間を一定割合、確保する必要があり、通常業務に影響が出る可能性も考えられます。社内での打ち合わせだけでなく、業務時間外で候補者と会い、採用活動をするといったこともあり得ます。
社員の時間を奪ってしまうことで、通常業務に支障が出ないように、所定労働時間外での活動をどうするのかなどをあらかじめ決めておく必要があるでしょう。
採用の長期化
リファラル採用では転職潜在層にアプローチできますが、転職を検討していないために選考が長期化するケースもあります。優秀な人材は待遇もよいことが多く、現状に満足していることも少なくありません。
こうした場合はすぐに選考プロセスへは進めず、タレントプールとして社内のデータベースに登録し、定期的にコンタクト状況を管理するなどの仕組みが別途必要になります。

まとめ

リファラル採用だけでなく、どの採用手法においてもメリット・デメリットはあります。それぞれの特徴を理解し、自社に合った複数の採用手法を取り入れることも、採用を成功に導くコツでしょう。

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