アルムナイ採用とは? 注目される背景やメリット・デメリット

#アルムナイ採用

アルムナイ採用とは? 注目される背景やメリット・デメリット

アルムナイ採用とは、自社を辞めた元従業員を再度雇用する採用手法のことで、近年、採用戦略のひとつとして注目されています。本記事では、アルムナイ採用に興味のある企業担当の方に向けて、アルムナイ採用が関心を集めている背景やアルムナイ採用制度のメリット・デメリットについて詳しく解説します。

給与設定で差をつける採用戦略 職種別給与情報で、魅力的なオファーを 職種別の最新給与情報をチェック

アルムナイ採用とは?

アルムナイ採用とは? 注目される背景やメリット・デメリット

アルムナイ(alumni)とは、英語で「卒業生、同窓生」を意味し、人事の分野では自社を退職した元従業員のことを指します。そこから自社を辞めた元従業員を再度雇用する採用法のことを「アルムナイ採用」と呼びます。

「元従業員を再雇用する」という点では、従来の「カムバック採用」や「ジョブリターン」と共通しています。しかし、これらは一般的に急な人材不足への対応を目的に行われます。また、出産や育児、介護などやむを得ない理由から自社を退職した従業員を再雇用する制度として限定しているケースもあります。

一方、アルムナイ採用は。信頼性の高い人材確保を目的としており、キャリアチェンジなどで自発的に退職した人も含めて広く採用しているのが特徴です。

加えて、アルムナイ採用と並んで注目を集めているのが、社員が優秀な知人や友人を紹介する「リファラル採用」です。

リファラル採用は、採用コストを抑えられる点や、入社後のミスマッチが少ない点でアルムナイ採用と共通しています。しかし、アルムナイ採用が元従業員を対象とするのに対し、リファラル採用は企業と直接関係のない人材を採用する点で大きく異なります。

アルムナイ採用が注目されるようになった背景

アルムナイ採用とは? 注目される背景やメリット・デメリット

もともとアルムナイ採用は、海外の企業や国内の外資系企業で使われてきた採用手法です。しかし近年、日本でも導入する企業が増えています。その理由として以下の2つの事柄が大きく影響しています。

労働人口の不足

アルムナイ採用が注目されるようになった背景のひとつに、日本の労働人口の不足が挙げられます。日本では少子高齢化の進行により、今後、急速な労働人口の不足が見込まれています。独立行政法人労働政策研究・研修機構が公表した「2023年度版 労働力需給の推計(速報)」によると、日本の労働力人口は2020年が6,902万人だったのに対し、2030年には6,556万人、2040年には6,002万人まで減少すると予測されています。

このような労働人口の不足は、企業にとって事業の縮小や労働環境の悪化、競争力の低下などを招きかねません。そのため、現在多くの企業が優秀な人材を確保しようと採用に力を入れています。その中で関心を集めているのがアルムナイ採用です。アルムナイ採用は、ほかの採用方法と異なり、自社を退職した元従業員と定期的に交流することで、優秀な人材を転職潜在層として中長期的に蓄え、採用につなげることが可能です。また、すでに自社の採用基準をクリアしているため、効率的な採用ができる点でも注目されています。

参照元: 独立行政法人 労働政策研究・研修機構「2023 年度版 労働力需給の推計(速報)」
https://www.jil.go.jp/press/documents/20240311.pdf

雇用の流動化

終身雇用が一般的でなくなりつつある現在、キャリアアップや自己成長を求めて転職する方も増え、転職に対するイメージが変化し、雇用が流動化しています。このような雇用の流動化は、人材が企業を移りやすくなることで経済の活性化が期待できる反面、企業は自社の人材流出のリスクも考えなければなりません。そこで注目されているのが、「よい縁があれば転職したい」と考えている転職潜在層のアルムナイです。一般的な中途採用では、転職活動中の方しか応募は見込めませんが、アルムナイ採用であれば転職潜在層まで間口を広げられます。

また昨今、企業では人材を「資本」と捉え、その価値を最大限引き出す「人的資本経営」の考え方が広がっています 。その流れの中で、アルムナイを重要な人材プールの一部と捉える企業が増えており、アルムナイ採用の注目度が高まっています。

給与設定で差をつける採用戦略 職種別給与情報で、魅力的なオファーを 職種別の最新給与情報をチェック

アルムナイ採用制度のメリット

アルムナイ採用とは? 注目される背景やメリット・デメリット

アルムナイ採用は、企業にさまざまなメリットをもたらします。具体的には以下の3つのメリットが挙げられます。

自社の即戦力となる人材を確保できる

アルムナイ採用は、自社にマッチした即戦力となる人材を確保できることがメリットのひとつです。アルムナイは自社の企業文化や業務内容などを十分に理解しているため、企業の即戦力となります。とくに自社を退職後、他社で得た新しいスキルや知識を生かし、即戦力としての活躍だけでなく、生産性の向上も期待できます。また、新たな人材を採用するよりも入社後のミスマッチが少ないため、再雇用後の定着率が高くなりやすいのも特長です。

採用や育成にかかるコストを抑えられる

採用や育成にかかる費用を抑えられるのもアルムナイ採用のメリットのひとつです。アルムナイ採用では、アルムナイに直接声をかけるか、自社サイトや退職者向けのコミュニティなどで告知して応募を待ちます。そのため、求人サイトや人材紹介会社に求人情報を登録して採用する一般的な採用方法よりも外部コストを抑えられ、採用プロセスの効率化も図れます。また、元従業員であるアルムナイは企業風土や業務のプロセスなどをすでに理解しているため、入社後の育成にかかる費用や時間も抑えられます。

企業ブランディングに役立てられる

アルムナイ採用は、企業ブランディングにも大きく寄与します。元従業員が再び戻って働くことは、「復帰したいと思える企業」「退職後も良好な関係を築ける企業」であることの証明となります。この事実は企業の社会的評価を高めるとともに、採用活動においても「退職後も戻りたくなる職場」としてアピールできるため、優秀な人材の確保につながります。

さらに、企業ブランドが確立されることで、従業員のモチベーション向上や、商品・サービスの売上増加も期待できます。特に、社員の意欲が高まれば業務効率が向上し、ひいては企業の持続的な成長にも貢献するでしょう。

アルムナイ採用制度のデメリット

メリットの多いアルムナイ採用制度ですが、以下のようなデメリットも存在します。そのため、導入には十分な準備が必要です。

人材制度や賃金制度を整備する必要がある

アルムナイ採用を導入するには、既存の人材制度や賃金制度の見直しが欠かせません。アルムナイを採用する場合、アルムナイがほかの組織で身に付けたスキルや経験を適切に評価し、給与や待遇に反映する必要があります。しかし、既存の評価基準では、アルムナイが優遇され、既存従業員が組織に対して不満や不信感を持つおそれがあります。このような状況を防ぐためには、アルムナイと既存従業員の公平性を保てるような、新たな人事制度や賃金制度の確立が必要です。

従業員の理解を得なくてはならない

アルムナイの給与や待遇によっては、現職の従業員が不満を抱くことがあります。特に、長年勤めている社員や、希望していたポジションをアルムナイが獲得した場合、不公平に感じられ、アルムナイ採用への反発やモチベーションの低下につながる可能性があります。

さらに、アルムナイ採用を積極的に進めることで、現職の従業員が「退職しても簡単に復帰できる」と誤解し、退職のハードルが下がるおそれもあります。こうした影響を避けるためには、企業が既存の従業員との対話を大切にし、公平性を保ちながら適切な対策を講じることが重要です。

採用でのお悩み解決ならLHH

アルムナイ採用の導入には、人事制度の再構築や社内のコンセンサスを得るなどの準備が必要です。しかし「自社だけで体制を整えるのは難しい」「どのようにアルムナイ採用を導入すればよいかわからない」など、アルムナイ採用の導入に課題を抱えているなら、LHHにお任せください。LHHは、転職エージェントとしてアルムナイ採用を含めたさまざまな採用をサポートするだけでなく、人材育成や組織開発によって企業を支援します。

まとめ

自社を辞めた従業員を再び雇用するアルムナイ採用は、企業に「即戦力となる人材の確保」、「採用や育成にかかるコストの削減」、「企業ブランディングの向上」といったメリットをもたらします。しかし、安易にアルムナイ採用を進めると現職の従業員が不満を抱くおそれがあります。そのため、導入する際は人材制度や賃金制度を整備し、既存の従業員にも十分な理解を得ることが重要です。

最新のセミナー情報、コラムなどを受け取りたい方は、下記からメールマガジンを登録してください。

人気コンテンツ

関連コラム

コラム に戻る

貴社のビジネスの成長と人材躍動化を実現を図る、エンドツーエンドの人材ソリューションを提供します

貴社のビジネスの成長と人材躍動化の実現を図る、エンドツーエンドの人材ソリューションを提供しています