RPO(採用代行)は、採用業務を外部の企業に委託することを指します。複雑で工数の多い採用プロセスを省略したい場合に有効なサービスです。この記事では、RPO(採用代行)の概要やメリット・デメリット、導入時の注意点などを解説します。採用活動にかかるコストを抑えて質の高い人材を獲得したい企業の担当者は、ぜひ参考にしてください。
RPOとは
RPO(採用代行)とは、Recruitment Process Outsourcingの略語で、企業の採用活動を代行するサービスです。一般的に、採用代行や採用アウトソーシングとも呼ばれています。RPOで外部の企業に委託できる業務は、採用プロセスのすべて、もしくは一部です。
また、RPO(採用代行)は2000年代から導入が進められており、人材紹介会社や人材派遣会社によって提供されています。
RPOが求められる背景
RPO(採用代行)がなぜ企業に求められているのか、具体的な背景を以下で解説します。
採用の工数増加している
従来に比べ、採用チャネルやWeb媒体などが利用されるようになり、企業の採用活動は多様化しています。コロナ禍の影響もあり、人事担当者はオフラインによる対応だけでなく、オンラインの採用活動にも対応しなければなりません。人材が不足するなかで、人事担当者は採用以外の業務に集中できなくなっていることもあり、RPO(採用代行)の必要性が高まっています。
人材獲得の競争が激化している
採用領域において売り手市場が続くなか、中小企業の採用領域では超売り手市場と呼ばれるほど、企業間での人材獲得の競争が激化しています。求人を出しても必要な人材が集まらないなど、採用活動が長期化しており、コストや人事業務の負担が増えています。質の高い人材を獲得するうえで、採用に関するノウハウや知見が不可欠です。
RPOの市場規模は拡大する見込み
(株)矢野経済研究所が2022年3月に発表した「採用アウトソーシング市場に関する調査(2021年)」によると、採用アウトソーシング市場の2021年度の前年比は11.2%増でした。また、2022年度も引き続き拡大することが見込まれています。しかし、独自の採用活動に限界を感じる企業が増えており、採用アウトソーシングサービスに対する注目が高まっています。
参考:(株)矢野経済研究所「採用アウトソーシング市場に関する調査(2021年)」2022年3月15日発表
RPOで委託できる業務
RPO(採用代行)を利用した場合にどのような業務を委託できるのか、以下で詳しく解説します。
採用計画
採用計画とは、採用活動を円滑に進めるための計画書で、事業の目的を達成するために必要な戦略を策定したものです。具体的には事業計画にもとづき、採用する人材や採用時期、人数、どの部署へ配属するのかなどの具体的な計画を立案します。
採用計画を立てる目的は、企業の現状の課題を把握し、事業の成功に向けて必要な人材を定義することです。また、自社の強みと弱みを明確にできるだけでなく、採用チャネルを企画する際にも活用できます。
母集団形成
母集団とは、採用候補者に該当する人数全体を指す言葉です。母集団の形成のために、企画から会場手配、実施までを担う会社説明会などをはじめとする、さまざまな方法で人材を集めます。企業に興味をもってもらう施策例として、求人広告の掲載や、企業に興味や関心を持つ可能性が高い個人に、スカウトメールなどを送信する方法などもあります。
応募者・内定者の対応
RPO(採用代行)を利用した場合、応募者や内定者への対応も代行してもらえます。たとえば、エントリーシートのチェックや、筆記試験・適性テストによる応募者の選定などです。また、面接スケジュールの調整や面接代行、合否通知などにも対応してもらえます。さらに、定期的な連絡や個別面談などの実施によって内定者をフォローできるため、内定辞退のリスクを減らせます。
RPOのメリット
RPO(採用代行)を利用した場合のメリットについて、以下で解説します。
質の高い人材を獲得できる
採用のプロに自社の採用活動を任せられるため、質の高い人材を獲得しやすくなります。RPO(採用代行)は採用の専門知識を生かし、職種や業種に合わせた採用活動を行えるようにサポートしてくれます。また、自社の状況を把握したうえで効率の良い採用プロセスを提案してもらえるため、自社に合った採用活動をしたい場合におすすめです。
採用にかかるコストを削減できる
RPO(採用代行)を利用した場合、自社の人材を使わずに済むため、採用にかかる人件費や応募者などの管理コストなどの削減も可能です。採用担当者が不足している企業は、採用活動のために新たに人材を雇う必要がありません。採用のプロに任せることで、1人あたりにかかる採用コストを抑えやすくなります。
コア業務に集中できる
RPO(採用代行)を利用すると、自社の採用活動の工数を大幅に削減できるため、人事担当者は採用以外のコア業務に集中しやすくなります。面接のスケジュール調整や応募者への連絡などの手間が少なくなり、人事担当者の業務の負担を減らせます。スカウト対象者を選抜するなど、時間がかかる採用業務のみをアウトソーシングすることも一つの方法です。
RPOサービス提供会社の採用ノウハウを活用できる
RPO(採用代行)サービス提供会社には、人材採用のノウハウや知見を持つプロフェッショナルが多数所属しています。最先端の人材採用のノウハウを用いて、企業の採用活動をサポートしてもらえます。また、プロの客観的な視点にもとづいたアドバイスやノウハウを取り入れられるため、自社の採用活動の質を向上させたい場合に効果的です。
RPOのデメリット
RPO(採用代行)を利用する場合、メリットだけでなくデメリットも存在するため注意が必要です。
採用ノウハウが蓄積されない
すべての採用活動をRPO(採用代行)に委託した場合、自社にノウハウが蓄積されないため、内製化の際に自社で人材を採用できなくなるリスクがあります。自社で人材を採用したい場合は、RPO(採用代行)にすべての採用活動を任せるのではなく、人事部門に担当者を置き、採用活動を通して人材の育成を行うことも必要です。
RPOサービス提供会社と採用する人材の認識を合わせる必要がある
RPO(採用代行)との連携がうまくいかず認識にズレが生じてしまうと、自社が求める人材を採用できない可能性が高まります。RPO(採用代行)を利用する場合は、自社の課題の解決に必要な人材のイメージを、しっかりと伝えておくことが重要です。また、定期的に連絡をとり、委託した業務の進捗などを確認し、委託業者との認識のズレを解消するようにしましょう。
内定者とのコミュニケーション不足になりやすい
委託業者に依頼する業務範囲が広いほど、内定者との関係性を築く機会が減ってしまう可能性があります。内定者とのコミュニケーション不足を解消するためにも、電話やWeb面談などの機会を活用し、定期的な交流を欠かさないようにしましょう。内定者とのコミュニケーションが不足した場合、内定辞退や早期離職につながるため注意が必要です。
RPOが向いている企業の特徴
RPO(採用代行)は、採用活動の即戦力になる人材を獲得したい企業や、人材のミスマッチを減らしたい企業、採用の戦略を立案して採用担当者の業務負担を減らしたい企業におすすめです。また、採用プロセスの工数を削減する方法として、人材紹介会社への依頼以外の手段を模索している企業なども、RPO(採用代行)に向いています。
RPO導入の注意点
RPO(採用代行)を自社に導入する際は、以下で解説する注意点に気を付けましょう。
委託する業務を明確にする
RPO(採用代行)にどのような業務を委託するのかは企業によって異なるため、委託する業務範囲を明確にしておくことが重要です。採用に関する業務を洗い出し、外注が可能な業務と自社で担当する業務を分けてから依頼するようにします。依頼時に委託する業務範囲が明確でなければ、後々にトラブルに発展するケースもあるので注意が必要です。
予算を明確にする
RPO(採用代行)を導入する際は委託料金が発生するため、予算に応じて委託業者やサービスを選ぶ基準が変わってきます。委託料金の支払方法は、1か月単位で発生する月額料金型と、業務ごとに料金が変動する従量課金制の2種類があります。RPO(採用代行)の導入を検討する際は、自社の課題の解決につながる業務を委託し、予算をあてるようにしましょう。
業務の丸投げをしない
採用活動は自社が主体になって取り組む必要があり、RPO(採用代行)はあくまでも採用活動の補助にすぎません。RPO(採用代行)を利用する際は、コミュニケーションツールを導入して情報を共有し、委託した業務の進捗を確認できる環境を整備しておきましょう。また、RPO(採用代行)の担当者と気軽に相談できる関係性を築くことも大切です。
まとめ
RPO(採用代行)とは、採用業務の代行サービスです。業務委託により、質の高い人材の獲得や採用コストの削減などのメリットが得られます。ただし、採用ノウハウが社内に蓄積されないなどのデメリットもあるため、どの業務を委託するのかを見極めることが重要です。
LHHは、さまざまな職種・業界の採用業務を代行するサービスです。それぞれの職種・業界に専門性を持つコンサルタントが対応します。採用プロセスのなかで、強化したい業務のみの委託も可能です。RPO(採用代行)の利用を検討している人は、ぜひ気軽にご相談ください。
RPO(採用代行)
- 職種・業界に専門性を持つコンサルタントが即戦力として対応
- 採用プロセスで、強化したい業務だけを切り出して委託可能
- 1名体制から委託可能・早期導入スタートを実現(最短2週間)