政府イチ押し!「業種・地域・職種を超えた再就職」とは

「ウィズ・コロナ」「ポスト・コロナ」の時代に対応するため、政府は2021年度の看板政策に「業種・地域・職種を超えた再就職の促進」を掲げました。従来までの「雇用維持型」の支援策と並行して、成長産業への流動と転換を積極的に促す政策で、日本の将来を見据えた画期的な動きとなります。

今回は、政府が「業種・地域・職種」を超えた再就職や転職をどのように進めようとしているのか。背景と合わせて具体的に紹介します。

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「ウィズ・コロナ」「ポスト・コロナ」の働き方

世界で猛威を振るった新型コロナウイルスの感染拡大から数年が経過しました。テレワークや時差出勤などが広がる中で、通勤や職場に対する「こうあるべき」といった従来までの常識に新しい考え方や見方が生まれました。

こうした「働き方」の変化だけではありません。仕事によっては、大きな打撃を被った業種や職種があり、これから感染防止のワクチンが効果を発揮しても、元に戻らない可能性が高い産業も存在します。

このグラフは、過去10年間にわたる有効求人倍率と完全失業率の推移です。コロナ禍の影響を受けた産業の急激な雇用状況の悪化により、2020年は有効求人倍率の大幅な下落と完全失業率の上昇に転じているのが分かります。

そこで政府は、これまでも課題のひとつだった「労働力の過剰な業種から成長産業への人材流動」を積極的に促進する方針を打ち出したのです。

「業種・地域・職種を超えた再就職の促進」とは

雇用調整助成金による雇用維持に対する支援を継続しつつ、政府が注力するのが「業種・地域・職種を超えた再就職等の促進」です。 具体的には、下記の6点があります。その後、民間と連携した支援メニューなどを随時計画しています。

  1. 1
    ハローワークの就職支援ナビゲーターによる業種を超えた再就職の支援
  2. 2
    業種・職種を超えた転換を伴う再就職等を促進する都道府県の取り組み等を支援
  3. 3
    都市部から地方への移住を伴う地域を超えた再就職等の支援
  4. 4
    産業雇用安定センターによる産業間出向・移籍マッチングの推進
  5. 5
    成長企業等への再就職支援
  6. 6
    ハローワークにおける求人の確保と求人充足サービスの充実等

新設・強化など「6つの具体策」

1ハローワークの就職支援ナビゲーターによる業種を超えた再就職の支援
  • ハローワークに就職支援ナビゲーターを配置して、担当者制による再就職支援計画の作成・実施。
  • 「日本版O-NET」を活用したキャリアコンサルティングの個別支援を行い、労働市場の状況や産業構造の変化を踏まえたニーズの高い職種、雇用吸収力の高い分野への再就職支援を推進するための体制を強化。
  • 「日本版O-NET」:仕事内容や求められる知識・スキルなどから情報の検索や参照ができるWEBサイト。厚生労働省が2020年3月スタート。動画コンテンツを含む約500の職業の解説、求められる知識やスキルなどの「数値データ」を盛り込んだ総合的な職業情報を提供。
2業種・職種を超えた転換を伴う再就職等を促進する都道府県の取り組み等を支援
  • ニーズの高い分野への事業転換やキャリアチェンジによる新型コロナウイルス感染症の影響を受けた地域の雇用の再生。
  • 産業政策と一体となって、良質で安定的な雇用機会の確保を行う都道府県の取り組みなど、地域の特性を生かした取り組みに対する支援を強化。
  • 職業訓練を通じた職業スキルや知識の習得では、国や都道府県が設置している公共職業能力開発施設や、専修学校、NPO などさまざまな民間教育訓練機関において、職業に必要な技能と知識を習得するための職業訓練を推進。
3都市部から地方への移住を伴う地域を超えた再就職等の支援
  • 東京圏を中心に、地方就職を希望する求職者に対するハローワークの全国ネットワークを活用した職業紹介や生活関連情報の提供を一体的に展開。
  • 大都市圏に新たに専門の相談員を配置して、コロナ禍における地方への就職希望ニーズが高まることを見据え、業種、職種を超えた再就職も含めた個々のニーズに応じた支援を実施。
4産業雇用安定センターによる産業間出向・移籍マッチングの推進
  • 産業雇用安定センターにおいて新型コロナウイルス感染症の影響で、一時的に雇用過剰となった企業と人手不足の企業等との間で在籍型出向制度を活用したマッチングを行う支援プログラムの強化。
  • 出向または移籍に関するマッチングを推進。
5成長企業への再就職支援
  • 新型コロナウイルス感染症の影響による離職者の早期受け入れを行う企業への助成で、成長企業や異なる業種への再就職を支援。
6ハローワークにおける求人の確保と求人充足サービスの充実
  • 雇用の確保を図るため、ハローワークにおいて積極的な求人開拓を実施
  • 求人の充足に向けて求職者が応募しやすい求人内容の設定や求人条件の緩和の助言をきめ細かく実施し、求人充足サービスを充実させる。

民間人材サービス事業者との連携探る

「ウィズ・コロナ」「ポスト・コロナ」時代を展望すると、雇用・就業機会の確保が最大の課題となります。業種・職種のキャリアを生かした地方への転職の流れは従来もありましたが、新時代においては業種・職種を転換して地方に移していく政策が重要となりました。

このため、政府は雇用政策のなかで「業種・地域・職種を超えた再就職の促進」に最大予算を投じます。紹介した6つの具体策のほかにも、民間の人材サービスの事業者団体と連携を深めながら政策に活かしてくため、年4回の定期的な意見交換会のテーブルを設置しました。

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