母集団形成とは|具体的な方法やメリット・新卒採用の対策を解説

母集団形成は必要な人材を獲得するために有効な手段です。今後も採用の競争激化が予想されており、採用活動の見直しが必要になるでしょう。

この記事では、母集団形成のメリット・デメリットに加え、成功のために必要なポイントを解説しています。採用効率の向上に向けて、ぜひ本記事の内容を参考にしてください。

母集団形成とは

母集団とは、自社の求人に興味を持つ採用候補者の集団のことです。統計学で使用されている用語で「調査するデータ全体」を指します。母集団形成では母集団の人数増加を目的とするのではなく、社員として活躍を見込める一定水準以上の人材集めが重要です。求める人物像と人数のバランスが適切なほど、効果的な採用活動が可能になります。

母集団形成の重要性が増している背景

なぜ、母集団形成が注目されているのでしょうか。その背景について解説します。

少子高齢化によって生産年齢人口が減少している

背景のひとつとして、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少が挙げられます。総務省の情報通信白書によると、2015年の生産年齢人口(15~64歳)は7,629万人でしたが、2030年の生産年齢人口は6,773万人まで減少すると予測されています。少子高齢化に伴う人口減少は今後も進むとみられており、さらに人材獲得の競争が激化するでしょう。

※参考:情報通信白書_データ主導経済と社会変革|総務省

質の高い採用活動が求められている

質の高い、効率的な採用活動を実現するためにも母集団形成は重要です。採用活動では企業と候補者が互いに納得できる条件でなければ、採用後のミスマッチが発生しやすく、早期離職のリスクが高まります。しかし、母集団形成を意識した採用活動なら、採用するターゲットと人数を明確にできるため、計画的な採用が可能です。

母集団形成のメリット

母集団形成には、どのようなメリットがあるのでしょうか。考えられる3つのメリットについて解説します。

計画的に採用活動を行える

前述した通り、適切な母集団形成を行うと、計画的な採用活動が可能です。採用する目標人数やターゲットを明確にすることで、採用人数の不足を避け、ミスマッチを防ぐメリットがあります。無計画で採用活動を行うよりも、母集団形成を含めた採用計画を作成したほうが、募集や選考状況について把握しやすく、早期段階で採用活動を見直すこともできます。

採用のコストを抑えられる

母集団形成をもとに計画を立てることで、採用コストの適正化が図れます。応募者が集まらない、あるいは集まりすぎる状況は採用活動の長期化を招き、コスト増加にもつながるでしょう。母集団形成によって採用するターゲットと目標人数を明確にすれば、適切な媒体・手法を選択できます。結果的に採用コストを抑え、採用活動もスピーディーに進められます。

自社に合う候補者の採用確率が上がる

母集団形成は自社が求める人物像、さらには必要なスキル・知識を満たしている人材に絞って採用活動を行える点がメリットです。募集要件から離れた応募者への対応工数を減らし、確度の高い候補者を効率よく採用できます。自社にマッチする人材を採用することで定着率も向上し、採用・人材コスト削減にもつながるでしょう。

母集団形成方法

母集団形成には、さまざまな方法が挙げられます。ここでは母集団形成の方法と特徴について解説します。

方法1人材紹介

人材紹介会社を経由した募集では、母集団形成における負担を軽減できるメリットがあります。また、採用するまでは費用がかからないため、コスト削減にも有効です。応募者の適性や価値観などを総合的に判断することで、より自社が求める人材を採用しやすくなりますが、出会える人材が限られる可能性も考えられます。

方法2リファラル採用

リファラル採用とは、自社の従業員や信頼できる外部の人間から人材を紹介・推薦してもらう採用手法です。自社の社風や文化に適合しやすい人材を採用できるメリットがあり、採用コストの削減やミスマッチの防止、従業員のモチベーション向上が期待できます。ただし、計画的な採用が難しく、制度を導入しても、必ずしも成果が出るとは限らないことも考えなければなりません。また、自社への満足度が低い状態では、協力が望めないケースも考えられます。

リファラル採用とは? メリット・デメリットについて解説

リファラル採用の詳細、メリット・デメリットについて詳しく解説します。

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方法3就職・転職サイトなどの求人媒体

就職・転職サイトの活用は、採用サイトを自社で用意する必要がなく、幅広い地域から募集できるメリットがあります。掲載料金が発生しますが、費用がある程度予測できるため母集団形成に必要なコストをコントロールしやすいでしょう。ただし、競合他社との差別化が難しく、サイト内で情報が埋もれてしまう可能性があります。

方法4合同企業説明会やイベント

合同企業説明会やイベントは、認知度が低い企業でも自社の魅力を直接アピールできる貴重な機会です。属性に特化した説明会なら、ターゲットに近い人材と出会える可能性も高まります。ただし、人材紹介や就活サイトなどよりも候補者を集めにくい場合があり、ブースの準備や当日の対応が必要なことから、採用担当者の負担が増える点がデメリットです。

方法5SNSを活用した採用

近年はSNSを活用した採用も一般的です。自社の自然な姿をアピールできることから、ブランディングの一環ともいえます。直接採用につながる可能性は低くなりますが、候補者との接点づくりに役立つでしょう。一方で、定期的な情報の発信が必要なため、採用担当者の負担が増えるほか、運営には長期的なコストがかかる点には注意が必要です。

母集団形成に成功するポイント

ここからは、母集団形成のポイントについて解説します。成功には「ターゲットの明確化」や「採用計画・戦略の立案」が必要です。

Point1採用するターゲットを明確にする

採用目的をはっきりさせたうえで、ターゲットの明確化が必要です。「採用目的を達成するために、どのような人材が必要か」という点を意識しながら決定します。その際には、人事・当該部門などの採用関係者と認識のすり合わせも行いましょう。認識にズレが生じると、不必要な工数・採用単価が増える可能性があります。

Point2採用の計画を立てる

採用人数から内定、研修までの採用スケジュールを作成しましょう。求める経験やスキルによって必要な人材と人数は変わります。1人当たりの採用単価や業務内容なども考慮しながら、計画に合わせて採用人数を決定しましょう。また、期限の設定も大切です。募集開始日や選考期間などを逆算することで、効率よく採用活動が行えます。

Point3採用の戦略を立てる

採用戦略では、より具体的なターゲット像をイメージします。経験・スキルの水準・年齢・学歴・職場や仕事に求めるものなど、条件の具体的な言語化が必要です。採用活動は自社に合った人材を採用し、活躍してもらうことを目的として行います。入社後のミスマッチや内定辞退などを防ぐためにも、求める人物像をしっかりと描いておきましょう。

母集団形成に失敗する企業の特徴

母集団形成が、思うように進まないケースもあります。ここでは、母集団形成の失敗にみられる原因について解説します。

採用目標数に対して、必要な人数を集められていない

十分な人数を集められないことが失敗の原因と考えられます。採用を成功させるためには、採用目標人数の10~20倍程度の母集団が必要になります。解決法としては、採用計画・採用戦略の見直しを行いましょう。使用する求人媒体や募集条件など原因を分析し、改善することが重要です。

採用ターゲットがあいまいに設定されている

採用ターゲットが不明確なケースも失敗につながります。求める人物像を明確にしたうえで、採用候補者の絞り込み、あるいは募集内容のハードルを見直すなど採用水準の調整が必要です。人材紹介を利用すると欲しい人材を獲得しやすくなりますが、ターゲットに向けて確実に訴求できる媒体・内容を検討することが大切といえます。

自社の認知が取れていない

企業の認知度が低いと、採用候補者は集まりにくくなります。このケースでは認知度の向上に加え、自社の魅力をアピールすることが大切です。候補者が選びたくなる企業にするために、競合と自社の応募条件を比較し見直しを行う、あるいは説明会や面接を通して自社の雰囲気を感じてもらうといった対策が必要といえるでしょう。

母集団形成を増やすには?

これまで成功と失敗のポイントについて解説してきましたが、母集団形成を増やすためにはどのような対策が必要になるのでしょうか。

企業の方針に一貫性を持たせる

企業が一貫した考えや価値観のもとで、発信・活動することが重要です。方針にブレがあると、求める人材とはかけ離れた候補者が増えてしまいます。自社の強みや文化を伝えることで、ターゲット像にマッチした人から応募されやすくなるでしょう。また、採用担当者同士で方針の認識を合わせたり、発信する内容を適宜見直したりといった作業も大切です。

採用の方法を組み合わせる

採用方法を1つに限定する必要はなく、ターゲットに合わせた方法の選択が必要です。複数の採用方法を組み合わせる、または媒体を変更するなどを試してみましょう。前述したように、就職サイトや人材紹介など母集団形成の方法はさまざまあり、SNSと並行した運用も有効です。自社に合う方法を模索し続けることが重要といえます。

母集団形成にはRPOの活用がおすすめ

RPOは、母集団形成に関わる業務を人材採用のプロに一任できるサービスです。求人票や求職者向けスカウト文面の作成など、採用担当者の業務負荷を軽減できるメリットがあります。自社対応におけるコスト削減にもつながるうえに、プロの力を借りることでスピーディーかつ質の高い人材確保の可能性が高まるでしょう。

まとめ

企業の採用活動において、母集団形成は重要な取り組みといえます。あらかじめターゲット像や採用計画を設定することで、自社にマッチした人材確保を限られた予算内で効率よく行えるでしょう。しかし、母集団形成における業務は採用担当者の負担増加となるため、RPOの活用がおすすめです。

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