採用直結型インターンシップとは?

採用直結型インターンシップとは、企業の採用活動と密接に結びついたインターンシップのことを指します。産学協議会によってインターンシップの定義が整理され、2023年度から学生のキャリア形成を支援する取り組みは以下の4タイプに分類されました。
・タイプ1:オープン・カンパニー
企業情報の提供を目的としたプログラム
・タイプ2:キャリア教育
自己分析や模擬面接などを含む教育プログラム
・タイプ3:汎用型能力・専門活用型インターンシップ
汎用的なスキルや専門的なスキルの習得を目的とした実践型プログラム
・タイプ4:高度専門型インターンシップ
特定分野における専門知識や技術の向上を目指すプログラム
このうち、タイプ3とタイプ4のインターンシップについては、所定の条件を満たすことで、学生の個人情報を採用活動に活用することが認められています。これらがいわゆる「採用直結型インターンシップ」です。
学生はインターンシップを通じて企業の本選考へ直接進むことが可能となり、企業側も実務を通じて学生の適性を見極められます。これにより、ミスマッチを防ぎ、採用の精度向上が期待されます。
ただし、採用直結型として認められるには、就業体験要件や実施期間要件などの国が定める要件を満たす必要があります。制度の適切な運用によって、学生と企業の双方にとって有意義なキャリア形成の場となるはずです。
採用直結型インターンシップの変更点
日本におけるインターンシップは2000年代に大きく広がりましたが、2020年度以降、インターンシップで得られた学生情報は、原則として採用活動や広報活動に利用できなくなりました。これは、就活セミナーのような1日~数日の極めて短いプログラムが実施されるケースが多く、「インターンシップの趣旨が本来の目的から逸れている」といった批判や、「学生に混乱を招くおそれがある」といった懸念があったためです。
しかし法的拘束力がなかったため、現実には多くの企業がインターンシップを通じて人材を確保しており、制度と実態の間にギャップが生じていることが課題となっていました。こうした状況を踏まえ、文部科学省・厚生労働省・経済産業省は2022年に方針を見直すこととなりました。
25卒から採用直結型インターンシップが解禁
方針の変更により2025年卒(2025年3月卒業・修了)の学生から、採用直結型インターンシップの活用が公式に認められることになりました。大学3年生の夏にはじまるインターンシップが、実質的な就職活動のスタートとなり、学生と企業の早期接点が公に制度化された形です。
これにより企業は、一定の条件下でインターンシップ中に得た学生情報を採用活動に利用でき、関係構築を深めて志望度を高めてもらえます。学生は準備を早める必要があるものの、早期内定や選択肢の拡大といったメリットが期待できます。
採用直結型インターンシップに多い特長

採用直結型インターンシップは、企業の選考プロセスと深く関連しており、従来のインターンシップとは異なる特長があります。
事前選考がある
採用直結型インターンシップでは、多くの企業が事前選考を行っています。インターン後の採用を見据え、学生の資質や志望度を早い段階で見極める必要があるためです。
書類選考に加え、個人・集団面接、適性検査、グループディスカッションなど、本選考に近いステップを取り入れる企業も珍しくありません。参加してもらうハードルは高いですが、その分、参加者の意欲や能力が明確になり、採用のミスマッチを防ぐ効果が期待できます。選考設計の段階から「採用」を意識したプロセスを構築することが、採用担当の方にとって重要なポイントです。
従来よりも期間が長い
内定を目的に実施される採用直結型インターンシップは、従来のインターンシップよりも長期間にわたるのが一般的です。企業は学生の資質や適性を、時間をかけて見極めることで、採用後のミスマッチを防ぐことができます。
一方、学生にとっても実務をじっくり体験できるため、職場の雰囲気や仕事内容をより深く理解しやすくなります。その結果、企業・学生の双方にとって納得感のあるマッチングが実現しやすくなるのが特長です。
実際の業務内容に近い
採用直結型インターンシップでは、実際の業務に近い内容のプログラムが実施され、学生は入社後を想定した就業体験ができます。企業はその様子を通じて、学生のスキルや適性を見極め、内定の可否を判断します。
テレワークが導入されている企業では、同様の環境での就業体験も可能です。学生は実務を通じて企業への理解が深まり、自信を持って入社を決断できます。企業側も即戦力として迎えられる点が大きな特長です。
採用直結型インターンシップのメリット

新卒採用の競争が激化する中、採用直結型インターンシップはミスマッチを防ぎつつ優秀な人材を早期に確保する手段として注目されています。単なる就業体験にとどまらず、企業と学生が相互理解を深めながら選考に進めるこの仕組みには、多くのメリットがあります。
双方のミスマッチを防げる
企業と学生が互いに理解を深める採用直結型インターンシップは、入社後のミスマッチを防ぐ効果的な手段です。学生は実際の業務を体験することで、企業の雰囲気や仕事内容を具体的に理解し、自分に合った職場かどうかを見極められます。
企業側も、面接だけでは判断しにくい学生の資質や適性を、実務を通じて確認できるため、選考の精度が高まります。インターンシップ中に学生が問題解決能力やチームワーク、コミュニケーションスキルをどのように発揮するかも直接見ることができ、より実務に即した選考が可能です。この相互理解により、早期離職や配属ミスのリスクが減少し、長期的な人材定着にも貢献します。
コストを抑えられる
採用コストの削減にも有効です。ミスマッチを防ぐと早期離職のリスクが低下し、再度採用活動を行う必要がないため、長期的なコスト削減につながります。
また、インターンシップ期間中に学生の適性や能力を見極められるため、採用後の研修期間を短縮できます。これにより、研修にかかるコストの抑制にも貢献します。選考段階での判断精度が高まることで、採用活動全体の効率化も期待できます。
採用直結型インターンシップのデメリット
企業と学生の双方にとって魅力的な採用直結型インターンシップですが、一方で見落とされがちなデメリットや課題も存在します。
採用までの工数が多い
採用直結型インターンシップは、採用効果を高める一方で、運営にかかる工数が増えるというデメリットがあります。プログラムの策定や広報活動、選考準備には多くの時間とリソースを割かなければなりません。とくにプログラム設計では「どのような体験を学生に提供すべきか」や「現場社員の協力範囲」などについて悩むことが多いはずです。
また、インターンシップ中の学生指導や評価も、採用担当の方や現場社員の負担となり、通常業務に支障をきたす可能性があります。この負担を軽減するためには、早期に計画を立て、効率的な運営方法を確立することが重要です。
必ずしも採用につながるわけではない
インターンシップが採用結果に必ずしも結びつくわけではありません。その内容次第では、学生の志望度が下がることがあります。たとえば、会社の自慢話や業務に関連しないワークショップ、単調な作業体験などは、学生にとって魅力を感じにくい要素です。
また、実際の業務や職場環境にギャップを感じると、学生の志望度が低下し、最終的に採用には結びつかないこともあります。インターンシップでは、理想と現実のギャップを適切に伝えることが大切ですが、ネガティブな部分を過度に強調し過ぎると逆効果になりかねません。さらに、指導が不十分だったり、受け入れ体制が整っていなかったりすると、学生の企業への志望度が低くなるおそれもあります。
まとめ
採用直結型インターンシップは、企業が優秀な学生と早期に出会い、実務を通じて適性や能力を見極められる制度です。これにより、採用ミスマッチを防ぎ、採用活動の効率化やコスト削減といった効果が期待できます。しかし、プログラムの設計や運用には相応のリソースが求められるため、戦略的な取り組みが欠かせません。
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