境界が薄くなる「新卒」と「第二新卒」~第二新卒における採用側のメリットと注意点~

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、業績の見通しが立たず、採用人数を絞る企業が出始めています。その結果、採用基準を上げ、自社のニーズによりマッチする人材を獲得するため「第二新卒」が注目されています。

経団連と大学は新卒学生の通年採用を推進する方針で一致しており、新卒と同様の扱いで第二新卒を採用する企業も増え、新卒との境界線がなくなりつつあります。第二新卒採用のメリットやデメリット、採用時に注意すべきことは何か、また第二新卒採用で弊社が提供できる価値について、Spring就活エージェント(現LHH)の川島 香生が解説します。

第二新卒は3タイプに分けられる

そもそも第二新卒とは何でしょうか。厳密な定義があるわけではありませんが、その内実をみると大きな幅があります。

大まかには、新卒で就職した後に「1年以内ぐらいで辞めた人」「2年ぐらいの就業経験があり、社会人としてのベースがある程度できている人」「中途領域でも採用できるレベルに達している人」の3つに分けることができます。三者は同じ第二新卒のくくりには入りますが、採用の考え方やどのようにアプローチすべきかは自ずと違ってくるでしょう。

なお、第二新卒と似た言葉に「既卒」があります。一般に「大学・短大・専門学校を卒業後に就職せずに4月以降に就活をしている人」「3月に卒業できなかったり、海外の大学を卒業して9月卒業となった人」を指し、第二新卒と既卒には「就業経験の有無」という違いがあります。

二極化する学生の就職志向

第二新卒というくくりが生まれる背景には「新卒採用時のミスマッチ」に加え、「キャリアパスについての意識が高まってきたこと」があげられます。厚生労働省の「新規学卒者の離職状況」によると、平成28年度の大学卒業者のうち3年以内に離職した人は14万3,360人で、離職率は32.0%に上ります。ここ20年間、離職率は30%以上で推移しており、「新卒の3人に1人が3年以内に離職する」と言われるゆえんです。

「データに表れない潜在的な転職希望者はもっと多く、新卒の2割くらいが1年以内に辞めたいと感じているように思います。以前に比べ、一つの会社で長く務めようという考えが薄くなってきているのが今の若手人材の特徴です。

現場で実感するのは『優秀な学生ほど早く転職をする』ということです。今の優秀な学生は、大手企業に入ってその会社のメンバーとして一から経験を積み上げていくよりも、どのようなプロジェクトを任せてもらえるかなどの具体的な業務内容に関心があり、自分がやりたいことが実現しやすいスタートアップに就職するケースが増えています。逆に言えば、自分のやりたいことが実現できないと判断すれば、方向転換して離職に踏み切る傾向が強いのです。

その一方で、この数年間は『売り手市場』で、新卒のエンゲージメントを高める選考が主流でした。そのため、就活時に得た表層的な企業イメージを頼りに就職する新卒学生も少なくありませんでした。結果、実際に業務に就いた時に事前のイメージとのギャップが生じ、辞めてしまいます。一口に『第二新卒』と言っても、このように学生の就職志向の違いによっても内実は変わってきます」(Spring就活エージェント(現LHH) 川島)

第二新卒採用のメリット

今、第二新卒を積極的に採用する企業が増えつつあります。なぜ企業は第二新卒に熱視線を注ぐようになっているのでしょうか。

最低限のビジネスマナーを備えた人材を採用できる

企業からの声で一番多いメリットは、「社会人としてのマナーや常識がある程度備わっている」ということです。第二新卒者の採用は、基礎的な研修や教育などにかかる時間やコストなどの企業の負担を抑えられます。また、前職の社風に染まりきっていなく、新しい環境に馴染みやすいという点も魅力のひとつです。「スキルについてはある程度育てられるが、ビジネスマナーなど社会人の基礎から教える余裕はない」という企業からのニーズもあります。

柔軟性の高い人材を獲得できる

中途採用のなかでも若年層であるため、新しいデジタルツールにも柔軟に対応でき、withコロナ時代のニューノーマルな働き方の推進にも一役買ってくれるでしょう。

都合のいいタイミングで採用できる

企業の都合の良いタイミングで採用できるのもメリットです。新卒は4月入社が一般的ですが、第二新卒であれば新卒に近い若手人材を、例えば10月などに採用できます。

第二新卒採用の注意点

第二新卒は、企業にとって新卒と中途の「良いとこ取り」と捉えることができます。「社会人としてのマナーや常識がある程度備わっている」とされる第二新卒者ですが、期待しすぎるのも禁物。前の会社の教育そのものを受け付けることができず離職に至ったというケースもあります。第二新卒採用の際には、以下の点を確認しましょう。

前の会社の入社理由や退職理由を確認

前の会社に入社した理由、退職した理由、改めて自社に入社を希望する理由の3つについて、本人の労働観やキャリアパスの考え方に照らして一貫性があるかを確認してください。これらの理由がバラバラでは、労働観やキャリアパスの考え方があいまいなまま、行き当たりばったりで就職しようとしている可能性が高く、戦力としての定着は望めないでしょう。

業務内容は、いい面も悪い面も開示

「こんなはずではなかった」と再び離職することのないよう、業務内容について良いことも悪いことも包み隠さずに伝えて欲しいとも思います。会社のプラス面だけでなく、マイナス面もしっかり理解した上で入社を希望しているのか、この見極めは大切です。

Spring就活エージェント(現LHH)は企業・若手人材の双方に価値を提供

Spring就活エージェント(現LHH)は、コンサルタントが企業側と求職者の双方を担当する「360度式コンサルティング」を導入しています。一人のコンサルタントが、求人企業・求職者双方の要望を丁寧に拾い上げ、その情報を一気通貫することで、確度の高いマッチングを可能にし、満足度の高い転職サービスを実現しています。こうしたSpring就活エージェント(現LHH)の特長は、第二新卒採用においても力を発揮します。

「360度式コンサルティング」が企業の人事に支持される理由とは

Spring転職エージェント(現LHH)が実現する「360度式コンサルティング」がどのようなものか、また採用現場で支持されている理由を、Spring転職エージェント(現LHH)のコンサルタントが紹介します。

360度式コンサルティングの記事はこちら

「『理系を専攻していたから、1社目は研究職を選んだ』という若者は多くいます。しかし、デジタルトランスフォーメーションが進み、事務系職種においても『データサイエンティスト』など、理系の強みを生かせる仕事がたくさんあります。『そんな仕事があるのか』と目を輝かせ、実際に入社し、やりがいを持って現場で働いているというケースも珍しくありません。企業側が訴求しきれていない業界や業種を若者とマッチングできるのもSpring就活エージェント(現LHH)の強みだと思います」

また、新卒採用をサポートするSpring就活エージェント(現LHH)では、新社会人向けのコミュニティ活動『Campus Ring』を運営しています。若手社員同士の社外での横のつながりをつくることで早期離職を抑止することを目的としたものです。このCampus Ringを通じてコンサルタントが「かかりつけ医」的な存在として学生のキャリア開発を支援し、第二新卒の採用時にも支援しています。

現在、このCampus Ring出身者が友人や知人を第二新卒としてSpring就活エージェント(現LHH)に紹介するという仕組み作りも始まっています。信頼関係に裏打ちされた紹介なので、実現すれば決定率や定着率が高くなると考えています。

経団連と大学が通年採用を推進する方針で一致するなど、これからは新卒と第二新卒を分けて採用する意味が薄れていくでしょう。今般の新型コロナウイルスをきっかけに、横並びの一括採用の見直しが加速する可能性もあり、第二新卒への注目度はますます高まりそうです。第二新卒採用でお悩みがあれば、ぜひSpring就活エージェント(現LHH)にご相談ください。

【アンケート結果】第二新卒・既卒の採用状況

第2新卒・既卒の採用状況について、人事担当者へアンケートを実施しました。

詳細はこちら

人気コンテンツ

関連コラム

コラム に戻る

貴社のビジネスの成長と人材躍動化を実現を図る、エンドツーエンドの人材ソリューションを提供します

貴社のビジネスの成長と人材躍動化を実現を図る、エンドツーエンドの人材ソリューションを提供しています