2020年 IT人材不足が20万人弱に拡大
経済産業省の調査結果(2016年公表)によると、中長期的にもITに対する需要は増加が見込まれるが、人材の不足が深刻度を増すと指摘しています。
IT人材は、2020年には不足数が20万人弱に拡大。先端IT人材は、不足数が4.8万人に拡大すると試算しています。
IT人材の活用・確保に向けた方策
経済産業省は、IT人材の育成や確保に向けて取り組むべき方策として、次の5つをあげています。
- より多様な人材として、女性・シニア・外国人材の活躍促進
- 高付加価値領域への戦略的人材配置
- 個々のIT人材のスキルアップ支援の強化
- IT人材への処遇やキャリアなど、“産業の魅力”の向上
- 先端IT人材、情報セキュリティ人材、IT起業家などの重点的な育成強化
とくに期待が集まっているのが、(1)の「より多様な人材の活躍促進」です。
外国人活用の“今”と課題
2008年から2015年の7年間で情報通信業に就労している外国人数は約2倍に拡大。外国人IT人材はIT関連産業で存在感を強めています。
今後は、先端IT技術を担う外国人IT人材の獲得・活用が重要なカギになると見られています。一方で、外国人IT人材の活用に関する課題として、「制度や環境の未整備よりもマネジメントの難しさ」を挙げる声が多くみられます。
企業が抱える課題
外国人材が企業に改善を求める課題
外国人採用時の留意点
コミュニケーション
日本のビジネスマナーが外国人にも当てはまるわけではありません。マネジメントの難しさは当然あると考えて、コミュニケーションを心がけることが大切です。自分が海外でその国の企業に勤めたと想像すると、相手の呼吸感もつかみやすくなるでしょう。
文化の違い
宗教を含む文化の違いを尊重し合うことが求められます。外国人の生活習慣に合わせてしまうと、日本人従業員の不満や摩擦が生じる可能性もあるので、採用後は文化の融合に努める必要があります。
就労資格
入国・採用において手続きをおろそかにすると、在留資格が認められず強制送還もあり得ます。また不法就労させた場合は、事業主も処罰の対象となります。
不法就労させた事業主に対する処罰
不法就労させたり、不法就労をあっせんした人※ | 不法就労助長罪 (3年以下の懲役・300万円以下の罰金) |
不法就労させたり、不法就労をあっせんした外国人事業主 | 退去強制の対象 |
ハローワークへの未届出、虚偽の届出をした人 | 30万円以下の罰金 |
- 外国人を雇用しようとする際に、当該外国人が不法就労者であることを知らなかったとしても、在留カードを確認していない等の過失がある場合には、処罰を免れません。
採用側である企業が用意しておく書類や、採用内定者との事務作業が生じることを念頭に、外国人を迎え入れる事務的整理が不可欠です。日本人を採用する場合と同じイメージで、職場環境の改善だけでは足りません。
外国人採用のメリット
他国との結びつきで商機が生まれる
社員の出身国や留学先などとの結びつきのきっかけができます。優秀な外国人を紹介・推薦してもらえるチャンスも広がる可能性があり、海外進出先での商機が生まれます。
働き方改革の促進
仕事とプライベートの切り替えを大切にする外国人の採用で、長年にわたり改善できなかった労働慣行を変えるきっかけにできます。
ダイバーシティの推進
ダイバーシティ(人材の多様性)の推進を飛躍的に加速できます。異なる価値観や教育を受けた人材の融合によって、イノベーションを起こす環境づくりが進みます。