アニメーターとは? なる方法や必要な画力、年収・仕事内容

日本のアニメーションはいまや世界に誇れる文化のひとつです。そのアニメーションを手がけるアニメーターは文化の担い手と言っても過言ではありません。クリエイティブ系の仕事としても注目を集めています。本記事では、アニメーターになる方法や必要なスキル、年収、将来性などについて詳しく解説します。

目次

アニメーターとは?

アニメーターとは、アニメーションの制作において「作画」を主に担当する職業のことです。

アニメーションを作るためには複数枚の絵(静止画)が必要です。複数の静止画を連続で映し出すことにより、動きが生み出され、静止画とは異なる表現を行います。映像の長さにもよりますが、その枚数はとても多く、何百枚、何千枚もの絵が使われることもあります。

その絵を1枚1枚描くのがアニメーターです。絵コンテを含む脚本の通りに絵を描きます。指示にそった表現をする必要があり、そのためには一定のスキルが必要です。

同時に、キャラクターの心情や世界観の把握が求められることもあるため、作画的なスキルのほか、多方面のスキルが求められるクリエイティブな仕事です。

【関連記事】クリエイターとはどんな仕事? 意味、主な職種、仕事内容を紹介

アニメーターの仕事内容

アニメーターは、絵を描くことによって動く映像を作る基盤を受け持ち、脚本や絵コンテをビジュアル化します。コンセプトやストーリーを反映した絵を描かなくてはならない立場です。

アニメーションは映像であり、その映像はアニメーターが描く1枚1枚から生み出されます。アニメーターはアニメーション制作になくてはならない重要な部分を担当する立場です。

また、アニメーターは「原画マン」と「動画マン」に分けられます。

原画マンは文字通りアニメーションの原画を担当します。日本のアニメーション界において、原画とは「動画のもとの絵」を指します。

まずは絵コンテをベースに簡単なラフやレイアウトを作成し、それをもとに監督や演出家が細かい指示を付け加えます。その後に詳細な原画を作成する流れになります。

原画マンが原画を仕上げたあとに作業をするのが動画マンです。原画と原画の間をなめらかにするための「中割」を作成します。

一般的に、原画マンはそれなりに経験と実力が重視される一方、動画マンはどちらかと言うと経験の浅い方が担当するポジションです。動画マンで経験を積み、実力が認められれば原画マンとしての仕事を任されるようになります。

アニメーターの給料・年収

アニメーターの給料や年収が気になる方もいるでしょう。

2022年のアニメーターの平均年収は455万円です。月給にすると455万円÷12ヶ月

=約38万円です。

この数値は、日本の平均収入をやや上回ると言える範囲です。しかし、あくまでも平均年収であるため、年齢や待遇、契約内容などでのばらつきがあることは確かです。

職場・待遇によって日本の平均収入よりも高い場合があれば、低い状態も見られます。

【参照元】アニメーション制作者実態調査報告書2023(p.46)|一般社団法人日本アニメーター・演出協会(JAniCA)

アニメーターの将来性

アニメーターの活躍の場となるアニメーション業界には注目が集まっており、今後も市場は成長が可能と考えられています。その理由としては、動画配信のスタンダード化が挙げられます。かつて各国のアニメーションは見られる手段が限定されていました。

しかし、インターネットや動画サービスの普及と一般化により、世界中の方々が手軽に各国のアニメーションを楽しめるようになりました。

日本のアニメーションも例外ではなく、グローバルレベルでの動画サービスの充実とともに海外ファンを獲得しやすくなっています。

その一方、アニメーション制作側が必要とするスキルも拡大しつつあります。

近年はCGを用いて制作されたアニメーションが増加しています。CG制作のため、パソコンやソフトを使いこなす技術も必要になりました。

とは言え、手描きが廃止されたわけではありませんし、CGならデッサンなどのスキルが不要というわけでもありません。従来のアニメーション制作に求められるスキルは今後も必要とされていきます。

つまり、スキル的には「従来の必要スキル+パソコンスキル」が求められる時代になってきています。

アニメーターに向いている人

ここからは、アニメーターに向いている人の特長について、ポイントごとにご紹介します。

絵を描くことが好き

アニメーターは絵を描き続ける仕事です。絵を描くことが好きでなければ精神的に厳しさを感じることになってしまいかねません。

また、CGの普及とともに、技術の向上や情報のアップデートが求められる時代になっています。向上心の原動力として、「絵を描くことが好き」という一面は重要なポイントです。

根気強さを持っている

アニメーターには安定して絵を描き続けられるタフさ、根気強さが求められます。手描きとCGのどちらでも大量の作画をする必要があり、1枚ずつコツコツと完成させていかなくてはなりません。

技術の向上のために日々の練習も必要です。そのような場合にも、やはり根気強さが大きく影響します。

責任感

アニメーション制作はひとりで完結する仕事ではありません。ひとりの遅れは全体のスケジュールに悪影響を与えることになるため、納期通りに仕事を進める必要があります。

仕事がきついと思っても投げ出さず、納期を目指して最後までやり遂げる責任感が重要です。

周囲の意見を柔軟に受け入れる姿勢

アニメーターの仕事は自分の成果物(作画)に修正を入れられたり、厳しい批評を受けたりすることもあります。

その時に意固地にならず、周囲の指示や批評を素直に受け入れ、成果物をさらによいものにしていく柔軟な姿勢が必要です。

アニメーターに必要な画力

アニメーターは何と言っても画力が必要な仕事です。具体的には以下のスキルに注目しましょう。

空間把握

消失点、目線の高さなどに注目し、平面に奥行きを持たせるスキルです。パースとも呼ばれます。

画面構成

レイアウトとも呼ばれます。対象物を画面の中に適切に配置し、見る側の印象をコントロールする効果があります。

デッサン力

対象物の形や構成を分析・確認し、立体的に描くスキルです。アニメーターは老若男女、動物、食べ物、建物などをあらゆる角度から描くことが求められます。その時に求められるのがデッサン力です。

アニメーターにおすすめの資格

アニメーターになるために、特別な資格を取る必要はありません。無資格でもアニメーターとして働けます。とは言え、昨今はフルCGのアニメーション制作も珍しくなく、デジタル技術が求められる時代です。

対応した資格を持っていれば、「業界の動向を把握している」「即戦力になる」というアピールにも繋がるため、就職や転職に有利になる可能性が高まります。

アニメーターの仕事に役立てたいと考えるのなら、以下の2つの資格がおすすめです。

CGクリエイター検定

デジタル作画に対応できるスキルを問う検定試験です。2DCGについての基礎、3DCGについての手法・理論についての知識が求められます。

アニメーション理論をはじめとしたアニメーション制作に役立つ内容も多いため、アニメーターにとって有益な検定です。

【参照元】CGクリエイター検定|CG-ARTS

色彩検定

アニメーション制作とは切っても切り離せない「色」についての知識を測る検定です。色彩は感覚やセンスが重視されるイメージがあるかもしれませんが、実際には理論が深く関わっています。

色彩検定に向けた勉強をすることにより、理論的、体系的に裏付けされた色彩の知識が得られます。

【参照元】色彩検定|公益社団法人 色彩検定協会

アニメーターにおすすめの本

以下では、アニメーター技術を求める方におすすめの本を3冊ご紹介します。

「アニメーターが教えるキャラ描画の基本法則」toshi 著

画像出典:Amazon

現役アニメーターとして活躍中のtoshi氏による著作です。線の選び方、描き方によるキャラクターの魅力の際立たせ方をはじめ、キャラクター作画についての基本的な法則を詳しく解説しています。

「やさしい人物画」A.ルーミス 著

画像出典:Amazon

徹底的な理論を作画に取り入れたい方向けの本です。人物画の描き方について、図解を用いた論理的解説によって詳述しています。

論理的と言っても決して難解ではありません。デッサンや遠近法など、基礎技法を把握したい未経験の方でも読みやすいようにまとめられた1冊です。

「アニメーションの本」アニメ6人の会 著

画像出典:Amazon

アニメーターによる、アニメーターのための1冊とも言えるのがこの本です。プロとして活躍するアニメーターが、アニメーションの基礎・原理・技術について実例を挙げながら解説しています。

アニメーション制作現場で用いられているスキルが理論化されているため、現場に必要なスキルを身につけるためにもおすすめの1冊です。

アニメーターになるには?未経験でも可能?

必要なスキル・画力さえあれば未経験でもアニメーターになることは可能です。

ただし、実力が問われないというわけではないため、採用側にアピールできるデッサン力やCG関連のスキルがあれば採用されやすくなるはずです。

アニメーターになるための準備として有効な手段を2つご紹介します。

大学・専門学校でスキルを身につける

大学や専門学校で美術やデザインを専攻したり、アニメーション制作の専門コースを卒業したりしてからアニメーターとして就職する方法です。

プロ講師の指導のもと、アニメーターに必須の画力や専門知識を体系的に学べます。理論を学びつつ、着実に画力を上げるための一般的な方法です。

独学で練習し、ポートフォリオを作る

独学でもアニメーターにはなれます。そのためには、相手に評価されるスキルを身につける必要があります。

得意分野だけではなく、老若男女、動物、メカ、背景など、どのような対象物でも指示通りの絵が描けるように技術を磨きましょう。デッサンやトレース、模写を何度も繰り返します。

そして、練習で培われた実力で作成したポートフォリオ(作品集)を持って、志望する会社へ持ち込みます。求められるスキルに達していると判断されれば、仕事に繋がる可能性が上がります。

日本のアニメーション技術は世界から注目される水準にあります。アニメーションが好きな方にとって、アニメーターとして働くことは大きなやりがいを感じられるはずです。

日本では各種検定や本、学校、独学用のコンテンツなどが充実しているため、未経験の方でもスキルを上げれば十分に就職・転職を目指せます。

まとめ

アニメーターについて解説してきました。スキルさえあれば、未経験の方でもアニメーターとしてキャリアスタートできる会社を探せます。

最近は、デッサン力をはじめとした絵画的技術のほか、CG関連のスキルも重要になりました。参考になる本を読んだり、各種学校を学びの場として活用したりし、効果的にスキル習得に努めましょう。

また、転職エージェントに相談するのもおすすめです。あなたに合った方法で、ぜひアニメーターになる夢を実現して下さい。

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