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転職先が決まったら、現職の最後の仕事として業務の引継ぎを抜かりなく行う必要があります。この記事ではこれから業務の引継ぎをする方に向けて、引継ぎ期間の目安や引継ぎの基本的な流れ、引継ぎをスムーズに行うコツなどについて詳しく解説します。
目次
転職時の引継ぎ期間は1ヵ月が目安
転職先が決まったら自分が行っていた業務の引継ぎをします。引継ぎにかかる時間の目安はおおよそ1ヵ月です。しかし、営業やコンサルタントなどの職種で顧客へのあいさつ回りが必要な場合や、役職のある地位で業務量が多かったり、後任者の着任に時間を要したりする場合には、引継ぎ期間が1ヵ月以上かかることもあるため注意が必要です。
転職時の引継ぎの流れ
引継ぎ業務は限られた時間で抜かりなく行わなければなりません。効率的に引継ぎを行うためにも基本的な引継ぎの流れを把握しておきましょう。
1.業務内容を洗い出して引継ぎのプランを立てる
引継ぐ業務内容は、現時点で自分が関わる業務すべてが対象です。まずは担当しているプロジェクトや業務を洗い出してまとめます。さらに顧客情報やアクセス権限、文書、パスワードといった引継ぐべき情報もピックアップしてまとめましょう。
引継ぐ業務内容をまとめたら、いつまでに引継ぐか、どの業務から優先的に引継ぐかなど、引継ぎのプランを立てます。
2.新しい担当者に引継ぎ作業を行う
先ほどのプランを参考に、上司や部署・チームのメンバーと話し合い、誰にどの業務を引継ぐか、後任者を決めます。後任者は一般的に以前業務に関わっていたり、一緒に業務を担当していたりする従業員がなることが多いです。
後任者が決まったら、日ごろの業務を整理した「引継ぎ書」などの資料を作成します。引継ぎ書には、業務内容だけでなく、業務の頻度や作業時間、締め切り日などもまとめておくと後任者に伝わりやすいです。
資料が完成したら、スケジュールに沿って引継ぎを行います。このとき、資料やスケジュールの進捗状況は上司や後任者と共有し、後々トラブルにならないようにしておきましょう。さらに必要があれば、後任者のスキルを培うためのトレーニングや、後任者を同行しての取引先へのあいさつ回りを行います。
3.システムのアクセス権限を変更する
近年は機密データ流出リスクを最小限に抑えるため、業務の担当者のみがシステムへのアクセス権限を有するようにセキュリティ対策を行っている企業が多くなっています。引継ぎの際は、前任者から後任者へアクセス権限の設定変更も行います。変更が問題なく完了した後は、機密情報の持ち出し防止のため、前任者のアクセス権限は削除します。
4.引継ぎに漏れがないかチェックする
引継ぎ作業が完了したら、再度見直しを行って漏れなく業務の引継ぎができたかをチェックします。このとき、自分だけでのチェックでは思い込みや勘違いがあるかもしれません。上司や部署・チームのメンバーにも一緒に確認してもらうとよいでしょう。
また、当たり前ですが自分の退職後は後任者が業務を担当しなければなりません。そのため、後任者の業務への理解度を確認しておくことも重要です。引継ぎ時にもこまめに声掛けをして業務内容をきちんと理解しているかどうかを確認しながら進めましょう。
完璧に引継ぎができたと思っても、退職後に引継ぎした業務について問い合わせが来ることは少なくありません。顧客など周囲に迷惑をかけないためにもしばらくの間は後任者や上司、部署・チームのメンバー、取引先と連絡を取れるようにしておき、質問やトラブルがあれば適宜対処しましょう。
転職時に引継ぎをスムーズに行うコツ
引継ぎを円滑に進めるためには、細かくスケジュールを組んで後任者と密にコミュニケーションを図りながら業務をわかりやすく伝えることが重要です。ここでは引継ぎをスムーズに進めるための3つのコツを紹介します。
具体的な引継ぎプランを作成しておく
業務を洗い出し、引継ぎのプランを立てる際には、「誰に」「どの業務を」「いつまでに」「どうやって」引継ぐのか、具体的なステップや期間を明確にすることが重要です。
とくに取引先へのあいさつ回りなど、後任者だけでなくクライアントとのスケジュール調整が必要な場合は、余裕をもったスケジュールを設定し、周囲に迷惑をかけないよう心がけましょう。
引継ぎ内容は文書化して形に残るようにする
引継ぎ内容は、たとえ後任者がすぐに辞めても仕事に支障がないよう、文書化しておきましょう。
たとえば、業務の一連の流れを手順書やマニュアルといった形でまとめるほか、名刺交換した顧客情報や顧客への提案・対応履歴、メールのフォーマットなどの情報も整理して後任者に渡します。とくに自分が担当していた顧客の情報は、その顧客の特徴や性格といった業務を行う上で知っておくべき情報も加えておくことで、後任者が安心して業務を行えます。
なお、引継ぎ資料は誰が読んでもわかるように書かれていなければなりません。自分だけしかわからない表現になっていないか注意しましょう。
後任者とのコミュニケーションを密に保つ
引継ぎの際、一方的に業務内容を説明するだけでは、後任者が引継ぎ業務をしっかり理解できたかどうかわかりません。
業務に支障をきたさないためにも、業務に対して質問がないか問いかけたり、定期的にミーティングを行ったりして、後任者と積極的にコミュニケーションを取ることが大切です。
とくに後任者が新入社員や他部署からのメンバーである場合、密なコミュニケーションが必要です。
後任者が忙しかったり、他部署に在籍したりして直接的なコミュニケーションが取りにくい場合には、ビジネスコミュニケーションツールを活用することをおすすめします。
転職で引継ぎを行う際の注意点
最後に引継ぎを行う際、後々トラブルが生じないよう、留意するべきポイントについて解説します。
後任者がいない場合でも引継ぎ作業の準備を進める
会社に転職の意思を伝えた際、すぐに後任者が見つかれば理想的です。しかし、なかには「後任者がいないから」と退職を引き止められるケースもあります。民法第627条第1項で、従業員は2週間前に解約の申し入れをすれば退職できると定められており、企業が無理やり従業員を引き止めることはできません。とはいえ、引継ぎを行わず企業に損害を与えた場合、損害賠償を請求される可能性もあります。
そのため、後任者が見つからないと想定される場合には、なるべく早く退職の意思を伝え、引継ぎ書を作成して上司に提出しましょう。また、転職活動をはじめたらいつでも退職できるように日ごろから業務を整理して引継ぎ書を作成するなど、準備を進めておくのもおすすめです。
出典 e-GOV 法令検索「明治二十九年法律第八十九号 民法」
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC000000008, 第六百二十七条(参照2023/10/13)
業務量が多い場合はスケジュールを綿密に立てる
業務量が多い場合も退職を引き止められることがあります。業務の滞りを避けるため、転職先が決まったらなるべく早く上司に退職の意思を伝えましょう。そして退職日から逆算し、いつまでにどの業務の引継ぎを完了すべきか、緻密にスケジュールを立てることが大切です。とくに勤務年数が長ければ長いほど引継ぐ業務も多いため、注意が必要です。
口頭だけで引継ぎをしない
タイトな引継ぎスケジュールでも、口頭だけの引継ぎは避けましょう。簡単な業務であれば口頭だけでも構いませんが、すべての業務を頭で覚えるのは後任者の負担になり、ミスする確率も高くなります。
たとえ後任者がメモを取っていたとしてもその内容が間違っているケースもあれば、後で言った言わなかったでもめる可能性もあります。退職後のトラブルを防ぐためにも先述したように詳細な引継ぎ書を準備するのが有効です。
まとめ
転職に伴う引継ぎ期間は約1ヵ月が一般的です。職種や役職によってはそれよりも長くかかるケースもありますが、どのような場合でも退職が決まったらできるだけ早めに退職の意思を伝えることが重要です。
引継ぎを行う際には、業務の内容や流れを書面にまとめ、スケジュールを組んで計画的に行いましょう。また、後任者と密にコミュニケーションを図り、質問や疑問には丁寧に対応することを心がけましょう。
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