WEB担当者に求められるスキルとは|WEB系専門職担当の転職エージェントが解説

目次

WEB業界のいま

WEB担当やWEBディレクターと一言でいっても、その業務領域はとても広い。事業会社のデジタル化が年々すすんできており、WEBの担当者に求められるスキルや知識も年々変化してきています。

いま、WEB領域では、どんなスキルを求められているのか、より有利な転職を可能にするためにどんな専門スキルを磨く必要があるのか、業界の最新事情に詳しい「LHH転職エージェント」の山泉理紗さんにお話を伺いました。

自社で内製する流れに

−ITのシステムエンジニアは慢性的な人不足だと思いますが、それ以外の、いわゆるWEB担当者といわれる領域の求人状況はいかがですか?

数年前までは制作会社の求人が多かったのですが、ここ数年は事業会社が自社でWEBマーケティングやサイト制作を内製するところが多くなってきているので、事業会社のWEB担当の求人が増えています。

−なぜ内製するところが増えているんですか?

予算的な面ももちろんありますが、最近では自社でデータをストックして、そのデータをビジネスに活用したいと考える企業が増えてきていることもあり、内製でよりスムーズ且つスピード感を持った企画・改善を求める声が多くなっており、社内にWEB専門家をおきたいという声が多くなっています。

−では、それにともなって求められる役割も変化しているんでしょうか?

そうですね、WEB担当者に求められる役割も変化しています。数年前の求人には必ず「ベンダーコントロール」や「進行管理」という文字がありました。

いまもその要素もありますが、それは当たり前として、それにプラスしてどんな専門性があるのかが問われるようになってきています。

例えば、広告運用の経験がある、コンテンツ制作の経験がある、ライティングができる、SEOに強い、サイト構築の経験があるとか。最近多いのが制作や広告代理店あがりのディレクターを求めているところです。

また、以前は、ディレクターであればHTML、CSSのレビュー程度でよかったのが、自分でコードを書ける人がいいという要望が多くなっています。WEBデザイナーからディレクターへの転身を遂げる人も増えてきています。

専門領域に特化していく

−幅広い業務の担当ではなく、WEBの専門領域に特化した求人は増えていますか?

そうですね、大きな企業だと役割が細分化されてきていて「SEO担当」、「WEBディレクター」、「コンテンツディレクター」、「データ分析」といった感じに細かく分けて求人を出しているところもあります。

そこまで大きくない中小企業だと「WEBディレクター」と「EC担当」で分けたりとか。

今までだとざっくりWEB担当者とくくられていて、どんな人材を求めているのかわかりづらい求人も多かったのですが、企業も求人側もリテラシーが高まってきて、求められるスキルが明確になってきていますね。

WEB担当に求められるスキルや経験

−転職の際に一番見られるポイントはどこになりますか?

やはり結果に関する数字ですね。どのような課題に対して、どのようなアプローチや改善をして、どのような数字が出せたのか、コンバージョン数やPV数などの具体的な目標数字をどのように達成したのかを提示する必要があります。

クライアントの関係で、具体的な社名や数字が出せない場合は◯◯業界のこういったサービスで、何パーセント数字が改善したといったような形で、パーセンテージで成果を提示していただく場合もあります。

−WEB担当に求められるスキルや経験はどんなものが評価されますか

企業やポジション(制作寄り、マーケ寄り…など)によって様々なので、一概には言えないのですが、まずはなにかしら、自分で手を動かしていた経験がある人ですね。

例えば広告代理店で実際に広告運用を自分で回していた経験、制作会社で実際にゴリゴリ制作を担当していた経験とか、集客できるコンテンツを自分で企画・制作できるとか。

WEB担当者として幅広く、なんでもやっていたという人は、逆にどこまで自分でできるんですか、発注していただけじゃないんですかと聞かれると思います。

また、システムディレクターを求めているところも増えてきています。サーバー側のことを理解して、いろんなシステムと裏で連携させられる知識がある人、例えばSIerでサーバーサイドエンジニアをやっていた人が、企画から携わりたいからという理由で、システムディレクターに転身したりもします。

マーケティングだと集客や広告運用などの知識があって、データをもとに戦略を練り、次の打ち手を実行していける数字に強い人ですかね。

WEB担当者はどのようなキャリアアップ

−WEB担当者はどのようなキャリアアップのパターンがあるんですか?

WEB担当者のキャリアアップは、本当に人それぞれなんですよね。歴史が浅い職種且つ、変化が激しい領域なので、良くも悪くもこれといったキャリアのロールモデルが決まっていません。

例えば、ITエンジニアで転職を希望される場合は要望がはっきりしていて、条件を変えたい人がほとんどです。

年収をあげたい、今よりも安定した会社で働きたい、常駐の仕事ではなく、社内で仕事がしたい、自宅で働きたい、土日休みたいといったようにはっきりしています。

それに対してWEB担当の人たちは、どちらかと言うと自分の業務幅を広げたい、自分がどういうものを作りたいといった、自己実現的な要望が強いので、いちがいには言えないんですよね。

最近傾向として多いのが受託で制作や運用をする側から、メーカーや自社でサービスを提供しているような事業会社に行きたいと希望する人たちですね。でも、いったん事業会社側にいって、また制作会社・代理店側に戻ってくる人たちもいます。

−制作会社側と事業会社側で、それぞれ業務として経験できることの違いはどんなことですか?

よくお話していることとして、20代で制作会社・代理店と事業会社で迷っているんだったら制作会社・代理店側に行ったほうがいいとすすめています。

事業会社で学べることも非常に多く、1社に深く入り込むことにより、よりビジネスに近い立ち位置でWEBに携わることができますが、逆に考えると、外部の情報が入りづらくなり、スキルや知識の成長が止まってしまう可能性があります。

その点、制作会社や代理店側にいると、幅広い業界の仕事に触れることができるので、企業ごとのクリエイティブに対しての価値観の違いや、業界ごとのデータの特徴などを体感することができます。

なので、迷っているのであれば、若くて体力があるうちはそこで経験を積んで、事業会社側に移るのは、もうちょっとあとでいいんじゃないのっていうお話をしています。

ただ、事業会社側にいくと、より経営に近いところで仕事ができるので、事業企画や、より経営に近いところでスキルや経験をつけたい人は事業会社で働いた方がいいと思います。

WEB担当者が年収を上げていくには

−なるほど、事業会社側に移りたいという要望が多いんですね。ただ、一般的には事業会社のWEB担当者の方が給与は安い傾向がありますよね。WEB担当者が年収を上げていくにはどうしたらいいですか?

事業会社のWEB担当者として年収をあげていくのであれば、その会社でマネジメント経験を積んでいくか、もしくは給与水準の高い別の事業会社に転職することをお勧めします。

もしくは、お金をつくっている部署のWEB担当になることですね。商用のWEBサービスをやっている企業や、WEBインテグレーターなどの制作会社など、自分が動くことで直接利益を生むようなところの方が年収は上がりやすいですね。

あと最近だとコンサル会社のWEBの部署の募集がきていて、そこは年収が高いですね。

制作会社の場合、2次請けや3次請けの仕事が多いところもあります。直クライアントからの仕事が多いところの方が年収も高い傾向があるので、年収を上げたい人は意識された方がよいかと思います。

エージェントに聞いていただければそのあたりの情報もお伝えすることができます。

−WEB担当者やディレクターが、これを使いこなせればあと5年は通用するという知識やスキルはありますか?

これも一概には言えないのですが、制作の方であれば自分でコーディングができるようになっておいた方がいいですね。

マーケ寄りの方であれば、データを見てそこから次のアクションを選定できるような知識や経験ですね。意外とこの経験があまりない人が多く、あるとアピールできる経験の一つです。

業務的にデータは別の部署が扱っているという制作よりの人もいると思うのですが、Google Analyticsは見れると思うので、最低限そのあたりのデータは活用できるようになる必要があります。

転職コンサルタントの効果的な使い方は

−転職コンサルタントの効果的な使い方を教えてください

変化が激しい業界なので、可能であれば定期的に転職コンサルタントと会って、自分のスキルの棚卸しをやった方がいいと思います。

新しいことが好きな人たちが多いので勉強熱心な人はとても多いのですが、客観的に見たときに、意外といま自分にどんな経験やスキルが足りてないかということに気づいていない人が多いんですね。

その必要性があるのかは、その人が最終的にどうなりたいのかによっても変わってくるので、そこから逆算して考える必要があります。

ただ実際には、まだ最終的にどうなりたいのかが見えていないという人も多いので、やりたい方向性をヒアリングさせていただいた上で、キャリアプランの選択肢を提示することができます。

WEB担当者の方はフィーリングも大切にされている方も多く、ひとことで面白い会社と言っても、面白いの感覚が人それぞれ全然違います。

そこをうまくマッチングさせていくのは大変な面もあるんですが、コンサルタントとして、とてもやりがいを感じる部分でもあります。気軽に相談してみてください。

山泉理紗
専門・担当領域:WEBクリエイター、WEBマーケティング・WEBシステム開発全般
IT業界を専門に手掛けるIT&エンジニアリング紹介部に所属。Webアプリケーション系エンジニア・Webディレクター・Webデザイナー・WebマーケティングといったWeb系専門職種全般のコンサルティングを担当している。

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