ルーチンワークとは|向いている人・代表的な仕事を紹介

転職を検討している方の中には、ルーチンワークの仕事に興味を抱いている方もいるのではないでしょうか。ルーチンワークにはさまざまなメリットがある一方、覚えておくべき注意点もあります。本記事では、ルーチンワークの概要や代表的な職種、向いている方などを紹介します。

目次

ルーチンワークとは繰り返し行う定型業務のこと

ルーチン(routine)は決まった仕事、日常の仕事、ワーク(work)は作業や労働を意味する言葉です。日常的に繰り返し行う業務のことをルーチンワークと呼びます。

やるべきことが決まっているため手順を決めやすく、その都度思考する必要が少ない点が特長です。企業側としては、作業のルーチン化によって業務効率化を図れるほか、品質の安定化、均一化を実現できるメリットがあります。

基本的に毎回同じ流れ、方法で仕事に取り組み、イレギュラーな事態が発生することもほとんどありません。

また、作業の方法や手順がマニュアル化されたケースが多く、新人でもすぐ取り組める点も特長です。

ルーチンワークの対義語

ルーチンワークの対義語として「アドホック(adhoc)」が挙げられます。その場しのぎ、臨機応変にといった意味を持つ言葉です。

また、何らかの問題を抱えた方を社会へ復帰させるための手助けを行う「ケースワーク」も、個々に合わせた対応が求められるためルーチンワークとは対照的な位置となります。

ルーチンワークの対義語としては、「非定型業務」も挙げられます。決まった型がなく、そのときどきの状況に応じた判断や行動が求められる仕事です。営業活動や商品企画、サービスの開発といった仕事が該当します。

ルーチンワークの職業および仕事内容

ルーチンワークの職業としては、決まったルートを走行するケースが多いタクシーの運転手や、同じ作業を繰り返すことの多い一般事務などが挙げられます。また、受付やコールセンターのオペレーター、清掃作業員なども該当します。

タクシーの運転手

タクシーの運転手は、利用者の要望にあわせて目的地まで運ぶ仕事です。走行するルートや配車のエリアが決まっているケースが多く、比較的ルーチンワークが多いです。

タクシーの運転手に向いているのは、車の運転が好きな方、得意な方です。

また、利用者と会話することも多いためコミュニケーション力がある方、接客が好きといった方もこの仕事に向いています。未経験でもチャレンジできますが、普通自動車二種免許が必要です。

一般事務職

一般事務職はオフィスワークの代表格であり、業務の範囲は多岐にわたります。資料や見積書などの書類作成をはじめ、ファイリングやデータ入力、伝票の整理、備品の管理、電話やメールへの対応、来社した方の案内などが主な業務です。

一般事務も、基本的に毎回やることは決まっています。たとえばデータ入力にしても、入力するデータの内容が変わることはあっても、作業の手順や取り組み方は同じです。専門的な知識やスキルを求められるケースが少なく、未経験でもチャレンジしやすい点が魅力です。

受付・窓口

来社した方への説明や取り次ぎ、案内などを行う仕事です。企業の顔となる存在であるため、対応の際には細心の注意を払う必要があるものの、仕事そのものはパターン化していることが多いため未経験の方でもトライしやすい職業です。

受け答えの仕方や内容があらかじめ決められているケースが多く、マニュアル化されていることも少なくありません。

基本的にはマニュアル通りの対応を行い、イレギュラーな事態が発生したときには責任者に代わってもらいます。

コールセンター

コールセンターのオペレーターは、お客様からの問い合わせや相談に対応する仕事です。製品やサービスの使い方をレクチャーする、クレームに対応する、商品に関する情報提供を行うといった業務が多くを占めます。

また、オペレーターから既存顧客へ架電し、新商品の提案や契約更新の案内をするといったケースもあります。

オペレーター業務の内容はマニュアル化されていることがほとんどです。そのため、基本的にはマニュアルにしたがって業務に取り組めば問題ありません。

対応が難しい場合は、スーパーバイザーと呼ばれる責任者へ取り次ぐよう決められているケースがほとんどです。

清掃作業員

清掃作業員は、商業施設や医療施設、宿泊施設などの清掃を担う仕事です。掃除道具を使用してフロアの拭き掃除や吸排気口のクリーニング、ガラス拭きなどを行います。

毎回決まった手順で業務に取り組むことがほとんどなので、清掃作業員もルーチンワークの一種です。

有資格者しか携われない仕事もあり、業務内容は多岐にわたります。しかし、知識やスキルが不要な単純作業も多いため、未経験者でもチャレンジしやすい仕事です。

高収入なルーチンワークはある?

ルーチンワークはその都度思考する必要があまりなく、人によっては楽な仕事と感じることも少なくありません。それゆえ、給与が低い仕事が多い場合がありますが、なかには高収入を得られる仕事もあります。

たとえば、公務員はルーチンワークがメインであるものの、高収入が期待できる仕事です。もちろん、公務員の中にも臨機応変な判断や行動が求められる仕事があるため注意が必要です。

ビルや店舗などの不動産オーナーや、自動販売機のオーナーなども、定型作業がメインになるケースが少なくありません。実際の管理は管理会社に一任しているのなら、ほとんど仕事をせず収入を得ることも可能です。

ルーチンワークのメリット

ルーチンワークのメリットとして、スケジュール管理をしやすい点が挙げられます。また、効率的に業務を進められる、ミスの発生が少ないといった点もルーチンワークのメリットです。

スケジュール管理がしやすい

ルーチンワークは、作業にどの程度の時間を要するのかを把握しやすい特長があります。そのためスケジュールを立てやすく効率的に仕事を進められます。仕事の見通しが立てやすいことからプライベートを充実させられる点も魅力です。

また、ほかの作業が発生した際にも、どちらを優先的に進めるべきか判断しやすいメリットもあります。重要度や緊急度などから仕事に優先順位をつけやすく、効率的に取り組めます。

業務効率化につながる

ルーチンワークは仕事の流れやパターンが決まっているため、その都度思考に時間を割くことがほとんどありません。思考を巡らせる時間が少なく効率的に業務を遂行できます。

また、余計な思考が不要であるため集中的に業務へ取り組める点もメリットです。その都度考えないといけない業務では集中が途切れやすく、ミスの発生も招きかねません。

一方、ルーチン化した仕事であれば集中して取り組むことができ、スピーディーに作業を進められます。

ミスが発生することが少ない

パターンや手順が決まった作業を毎日繰り返すため、ミスがあまり発生しません。毎日の繰り返しで作業に慣れており、注意すべき点なども確認できているため、ミスなくスムーズに業務を進められます。

また、このような理由から、未経験の方であっても一定のクオリティを確保できる点がメリットです。

手順や取り組み方がマニュアル化された仕事であれば未経験の方でも問題なく進められ、ミスの発生も抑えられるためベテラン従業員と同程度のクオリティを実現できます。

ルーチンワークのデメリット

毎日同じことの繰り返しなので、人によっては飽きてしまうかもしれません。最初のうちは楽しくても、一定の期間をすぎると退屈になってしまい、やがて仕事を辞めたいと考えるようになるおそれもあります。

モチベーションが上がりにくいのもデメリットです。パターン化された仕事を延々と繰り返すだけといったことが多いため、やりがいを感じられない方も多いです。モチベーションが上がるどころか低下を招いてしまい、長続きしない可能性があります。

無駄に思考する時間を排除できるため、高い集中力のもと仕事に取り組めるのはルーチンワークのメリットです。

ただ、同じ作業の繰り返しであるため、人によってはかえって集中力の低下を招くおそれがあります。集中力が低下した結果、ミスの頻発や効率の低下につながりかねません。

ルーチンワークに向いている方

ルーチンワークに向いているのは、マイペースに働きたい方やひとつのことに取り組むことが好きな方などです。また、単調な作業の繰り返しに飽きることなく、コツコツと取り組める方も向いています。

周りに合わせず作業したい

周りに合わせず、自分のペースで働きたい方にルーチンワークは適しています。仕事に変化が少なく、イレギュラーな事態が発生することも少ないため自分のペースで働けます。

周りに合わせないといけない仕事の場合、知識やスキルに差があるとストレスを感じてしまいかねません。自分が足を引っ張っているのではないか、と不安を抱くおそれもあります。反対に、周りの方が自分についてこれず、ストレスを感じることがあるかもしれません。

ルーチンワークであればこのような心配がありません。また、作業に慣れてくればどんどん仕事のスピードや精度が高まり、効率的に業務を進められます。

集中してひとつのことに取り組むのが好き

ひとつのことに黙々と取り組める方にルーチンワークは向いています。基本的に、ルーチンワークの多くは地味な作業の連続です。それに飽きることなく、黙々と作業に取り組める方はこの仕事に向いています。

マルチタスクな働き方が苦手な方にもおすすめです。多くのルーチンワークはひとつの仕事、もしくは決まった流れの業務に取り組むため、集中してじっくりと取り組めます。

毎日の同じ作業が苦にならない

毎日同じ作業を繰り返しても嫌にならず、その仕事の中に楽しさや面白さを見出せるような方がルーチンワークに向いています。手順が決まっている作業でも、やり方次第でもっとスピードや精度を高めることは可能です。自分の中で課題を設け、それをクリアする楽しさを見つけられるような方に適しています。

安心して仕事に取り組みたい方にもルーチンワークはおすすめです。パターン化された仕事は変化が少ないため、落ち着いて安心した状態で仕事に取り組めます。

ルーチンワークの今後と転職の考え方

ルーチンワークの仕事に転職しようかと考えているのであれば、将来性があるのかどうかは気になるところです。また、転職する際に覚えておくべき大切なポイントを押さえておく必要があります。

将来性が低いことを考慮する

先端テクノロジーの進歩によって、誰でもできるような仕事はITやAIが代行する時代へと変化しています。今後、ますますこのような動きは加速すると考えられます。

このような理由から、将来性が高いとはいえません。ただ、すぐにITやAIに取って代わられることはないため、自分にマッチしていると考えるのならルーチンワークへの転職も選択肢のひとつです。

地道な作業を楽しむ意識を持つ

地道に取り組む業務が苦手な方に、ルーチンワークは適していません。反対に、地道な作業の中に楽しさを見出せるような方にはおすすめです。

過去の経験から、自分が地道な仕事に向いているかどうか考えてみてはいかがでしょうか。学校やアルバイトなどの経験から、地道な作業をどのような感覚でこなしていたかを思い出してみましょう。

業務形態の変化を覚悟する

マニュアル化されたルーチンワークに慣れてしまうと、今後仕事の流れや取り組み方が大きく変化したとき対応できないおそれがあります。たとえば、会社内の組織変更により上司が変わり、マニュアルに大幅な変更が入るような場合です。

しかし、業務形態の変化がいずれあると想定しておけば、いざそのような事態に陥っても柔軟な対応が可能です。ルーチンワークに就くのなら、今後そのような事態に直面することも想定しておくのが無難です。

ルーチンワークの仕事に転職したい人が知っておくべきこと

デジタル技術の進歩やAIの躍進は目を見張るものがあります。

これらの技術は今後ますます進歩すると考えられ、単純な仕事はAIやITツールに取って代わられる可能性が少なくありません。事実、PC作業を自動化できるRPAというツールを活用し、ルーチン作業の自動化に取り組んでいる企業は多々あります。

ただ、AIが進歩したところで人間にしかできない作業があるのもたしかです。

たとえば、人とのコミュニケーションが挙げられます。コミュニケーション力が求められる仕事であれば、AIに取って代わられる心配は少なく、長く働ける可能性があります。

自分にマッチした仕事を重視するのなら、ルーチンワークも選択肢のひとつです。将来性が高くとも、自分にあわない仕事を続けるのは苦痛です。自分にあった仕事をしたいと考えるのなら、ルーチンワークへの転職もよいかもしれません。

不安なら、キャリアアドバイザーなど転職の専門家に相談するのもおすすめです。

まとめ

自分のペースで仕事に取り組め、集中して効率的に業務を進められるなどルーチンワークにはさまざまなメリットがあります。

一方で、飽きてしまうおそれがある、モチベーションが低下しやすいといった注意点があることは覚えておきましょう。

また、今後多くのルーチンワークはAIに取って代わられるおそれがあるため、将来的に見通しが明るいとはいえません。それも踏まえたうえで転職を検討する必要があります。

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