IT系の仕事を分野別に紹介!生かせる資格やIT業界に向いている人も解説

ビジネス・プライベートを問わず、今ではITが暮らしに必要不可欠です。それを支えるIT系の仕事も注目されており、IT業界への転職希望者が増えています。

しかし、IT業界には多種多様な仕事があり、具体的な仕事内容がイメージできない方も多いのではないでしょうか。

この記事では、IT系の主な仕事内容をエンジニア職・コンサルタント職・マネジメント職の3つに分けて順番に紹介します。さらに、IT系の仕事で活かせる資格や、IT業界に向いている人の特徴まで幅広くお伝えします。

転職を考えている現役エンジニアの方はもちろん、IT系の仕事に興味がある未経験の方も、ぜひ参考にしてください。

目次

エンジニア職

エンジニア職とは、直接的にITを生み出したり、ITを支えたりする仕事を指します。まずは、エンジニア職の主な仕事を9つ紹介します。

システムの開発や運用を行うシステムエンジニア

「システムエンジニア」とは、企業の要望に沿ってシステムの開発・運用を行う仕事です。

まず、クライアントの要望をもとに作るべきシステムを明確にする「要件定義」を行います。次に、要件定義をもとに、システムの具体的な実現方法を決める「設計」を行います。要件定義や設計は「上流工程」と呼ばれ、システムエンジニアが主に担当する工程です。

設計以降の工程としては、プログラムを作成する「コーディング」、プログラムの動作を確認する「テスト」の順に進めていきます。ただし、コーディングやテストは別の担当者が行うことが一般的です。システムエンジニアは、設計内容を伝えて後述の「プログラマ」やテスター(テスト担当者)と連携を取る形となります。

システムエンジニアの担当作業は、開発チームによって変わることも少なくありません。開発チームによっては、システムを納品した後の稼働を支える「運用」や「保守」を担当する場合もあります。

コーディングを担当するプログラマ

「プログラマ」とは、設計書などに沿ってコーディングを行う仕事です。コーディングでは、プログラムの世界における言葉である「プログラミング言語」を用いてプログラムを記述します。

プログラミング言語の種類はとても多く、開発する分野やサービスに合わせた言語を使う必要があります。また、コーディングのもとになる設計書を作成するシステムエンジニアとの連携も欠かせません。

あらゆるITサービスは、プログラムにしたがって動作しています。よって、それを生み出すプログラマは、IT業界になくてはならない仕事の1つです。

機械を制御するための組み込みエンジニア

この世に存在する機械の大半は、組み込まれたプログラムによって正しく動作しています。こうした機械の制御プログラムを開発するのが「組み込みエンジニア」です。開発の流れは前述したシステム開発と同様ですが、組み込みエンジニアの担当作業は開発チームにより異なります。

プログラミング言語としては、高速なプログラムを開発できる「C言語」がとくにポピュラーです。組み込みエンジニアは家電製品や自動車など、暮らしに欠かせない機械を支える重要な仕事といえます。

サーバーやネットワークを支えるインフラエンジニア

SNSや動画共有サービスなど、インターネットを通して利用できるWebサービスの稼働にはITインフラが欠かせません。こうしたITインフラの設計や構築、運用・保守を行う仕事が「インフラエンジニア」です。

インフラエンジニアには、主に「サーバーエンジニア」と「ネットワークエンジニア」の2種類が存在します。サーバーエンジニアは、Webサービスのデータを管理するサーバーを扱う仕事です。一方のネットワークエンジニアは、サーバーとユーザーをつなぐネットワークを主に扱います。

データを管理するデータベースエンジニア

大量のデータを効率よく管理するためには、「データベース」が欠かせません。データベースの設計や構築、運用・保守を行う仕事が「データベースエンジニア」です。データベースを操作・管理するうえで、多くの場合は「SQL」と呼ばれるデータベース言語を扱います。

多くのユーザー情報を扱うWebサービスはもちろん、ビジネスのデータ活用にもデータベースは必要不可欠です。情報社会と呼ばれて久しい昨今の日本において、データベースエンジニアは需要の高い仕事といえます。

動作を確認するテストエンジニア

「テストエンジニア」とは、アプリケーションやシステムの「テスト」を専門にする仕事です。テストの計画や設計、実行などを幅広く担当するため、テスト技法や品質管理といった知識が求められます。テストで不具合が見つかった場合には、プログラマやシステムエンジニアとの連携も必要です。

また開発チームによっては、テストを自動化するためのプログラム作成を担当する場合もあります。高品質なITサービスを提供するうえで、高品質なテストが欠かせません。その実現に必要不可欠なのがテストエンジニアです。

情報を保護するセキュリティエンジニア

多くのユーザーが利用するWebサービスには、サイバー攻撃のセキュリティリスクがともないます。サイバー攻撃を許してしまえば、情報漏えいなどによる企業へのダメージは計り知れません。こうしたセキュリティリスクから情報を保護する仕事が「セキュリティエンジニア」です。

セキュリティエンジニアは、セキュリティ性の高いシステム実現に向けた幅広い業務を担当します。セキュリティに配慮したシステムの設計や構築から、クライアントのセキュリティ課題に対する解決策の提案までさまざまです。サイバー攻撃は年々高度化しており、セキュリティエンジニアの需要も高まっています。

自社システムを管理する社内SE

「社内SE」はシステムエンジニアの一種で、自社システムの開発・運用を担当する仕事です。通常のシステムエンジニアとは異なり、社外のクライアントから仕事を請け負うことは基本的にありません。企業の情報システム部門などに所属して働くことが一般的です。

自社システムの設計や構築、運用・保守に加えて、社員からのシステムに関する問い合わせ対応も行います。ただし企業によっては、システムの設計や構築をベンダーに依頼する場合もあります。システム開発に関する知識・スキルはもちろん、コミュニケーション能力なども必要です。

HTMLやJavaScriptなどを扱うフロントエンジニア

「フロントエンジニア(フロントエンドエンジニア)」とは、Webサービスの「フロントエンド」部分を開発する仕事です。フロントエンドとはWebユーザーの目に見える部分のことであり、Webブラウザ上で動作するプログラムの開発となります。

フロントエンドの開発は、Webデザイナーが作成したデザインに沿って進めていきます。コーディングでは、Webページの表示内容を定義する「HTML」、デザインを定義する「CSS」、動的な処理をプラスする「JavaScript」の3言語が必須です。

またコーディングを効率化するために、フレームワーク(ひな形)の知識・スキルも求められます。目に見える部分を扱うため、ユーザー視点で見やすさ・使いやすさを考えることも大切です。

コンサルタント職

コンサルタント職は、直接的にITを扱うよりもクライアントとのやり取りの方が多い仕事です。ここでは、コンサルタント職の中でもポピュラーな「ITコンサルタント」を紹介します。

問題の分析や解決のための提案をするITコンサルタント

ITコンサルタントとは、クライアントの経営課題をITで解決するためのサポートを行う仕事です。まず経営課題の洗い出しや、解決策を見つけるための調査・分析を行います。そして、調査・分析の結果をもとに導入すべきシステムや運用方法などを検討し、最適な解決策を提案します。

ITコンサルタントは、プログラムを設計したり記述したりすることは基本的にありません。しかし、クライアントに最適なITソリューションを提案するうえで、ITに関する幅広い知識が求められます。また、分かりやすく自分の考えを伝えるためにプレゼンテーション能力も必要です。

マネジメント職

マネジメント職は、開発プロジェクトやチームメンバーの管理がメインとなる仕事です。ここでは、マネジメント職の主な仕事を2つ紹介します。

企画全体の管理を担当するプロジェクトマネージャー

「プロジェクトマネージャー」とは、企業の開発プロジェクト全体を管理する仕事です。プロジェクトの予算やメンバー、スケジュールなどを決定します。チームとのコミュニケーションはもちろん、クライアントとの交渉も欠かせません。

プロジェクトの始動以降は、プロジェクトが予定通りに完了できるようサポートを行います。たとえばプロジェクトの進捗が遅れている場合には、メンバーの補充や納期の調整といったサポートが必要です。プロジェクト完了後には進め方の問題などを振り返り、次期開発に向けてフィードバックを実施します。

現場を指揮するプロジェクトリーダー

「プロジェクトリーダー」とは、担当する開発チームを現場でまとめる仕事です。プロジェクトマネージャーの直属であることが多く、開発チーム単位でメンバーの進捗管理やサポートを行います。メンバーの成果物をレビューするのも大切な役割です。

要件定義から設計、コーディング、テストにいたるまで、幅広い開発工程の知識が求められます。また、全メンバーをけん引するためのリーダーシップや、不測の事態に素早く対応するための問題解決能力も必要です。

IT系の仕事で活かせる資格

IT系の仕事に必須の資格は基本的にありませんが、IT業界に転職する際のアピールポイントとしては有効です。ここでは、IT系の仕事に活かせる資格を5つ紹介します。

基本情報技術者試験

「基本情報技術者試験」は、IPA(情報処理推進機構)が主催しているIT系の国家資格です。ITに関する幅広い知識を証明できる資格のため、取得すれば幅広いIT職種で役に立ちます。IPAが主催している資格の中では基礎的なレベルであり、未経験でもしっかり対策すれば合格は可能です。

試験は上期・下期の年2回開催されます。午前試験・午後試験のいずれも選択式の問題となっており、両方を通過することで初めて合格となります。

応用情報技術者試験

「応用情報技術者試験」もIPAが主催しているIT系の国家資格です。基本情報技術者試験よりワンランク上の試験であり、その名のとおりITに関する応用的な知識を証明できます。ただし、経営戦略などのより深い知識が求められるため、合格のハードルはかなり上がります。

試験は春期・秋期の年2回開催されます。午前問題は選択式ですが、午後問題は記述式となるため十分な対策が必要です。

HTMLやJavaScriptなどを扱うフロントエンジニア

IPAの国家資格には、応用情報技術者試験よりも高度な試験区分が下記の9つあります。

  • ITストラテジスト試験
  • システムアーキテクト試験
  • プロジェクトマネージャ試験
  • ネットワークスペシャリスト試験
  • データベーススペシャリスト試験
  • エンベデッドシステムスペシャリスト試験
  • ITサービスマネージャ試験
  • システム監査技術者試験
  • 情報処理安全確保支援士試験

これら高度試験の合格を目指す場合、なりたい仕事に合わせて試験区分を選びましょう。たとえば、データベースエンジニアを目指す場合は「データベーススペシャリスト試験」を目指すのがおすすめです。

ただし、いずれも非常に難易度が高いため、対策学習に加えてそれなりの業務経験もないと合格は難しいでしょう。

シスコ技術者認定資格

「シスコ技術者認定資格」は、ネットワーク機器の大手メーカーであるシスコシステムズ社が主催している資格です。シスコシステムズ社のネットワーク機器に関する知識や、一般的なネットワーク知識が試されます。

シスコシステムズ社のネットワーク機器は、国内外を問わず広く使われています。こうした機器に触れる機会が特に多い、インフラエンジニアやネットワークエンジニアにおすすめの資格です。

2022年6月現在、シスコ技術者認定資格には「エントリー」「アソシエイト」「プロフェッショナル」「エキスパート」の4区分が存在します。記載の順に難易度も上がるため、自分のスキルレベルに合わせて受験する区分を選びましょう。

オラクルJava認定資格

「オラクルJava認定資格」は、プログラミング言語「Java」の知識・スキルを証明できる資格です。Javaは需要・汎用性が高いプログラミング言語のため、さまざまな開発分野で活用できます。

この資格を主催しているのは、データベース管理システムを提供しているオラクル社です。そのためJavaプログラマはもちろん、データベースエンジニアを目指す方も取得しておきたい資格といえます。

難易度はブロンズ・シルバー・ゴールドの3区分あるため、自分のスキルレベルに合わせて選びましょう。

大人気!ITエンジニアのメリット・デメリット

ITエンジニアは魅力的なメリットが多いため、人気が高まっています。ただしデメリットもあるため、それぞれ把握しておきましょう。

ITエンジニアのメリット

ITエンジニアになるメリットは、主に次の3つです。

①自由な働き方がしやすい
ITエンジニアの職種の多くは、パソコンとインターネット環境があれば働けます。そのためオフィスワークにとらわれることなく、在宅ワークなどの自由な働き方がしやすいメリットがあります。

②需要が高い
冒頭でもお伝えしたとおり、今やITは暮らしに欠かせないものです。そのITを支えるITエンジニアの需要は当然高く、スキルを身に付ければ仕事に困ることは少ないでしょう。

③収入アップを狙いやすい
IT業界は、実力が重視されることが多い世界です。そのためスキルアップすれば、収入アップも狙いやすいでしょう。

ITエンジニアのデメリット

ITエンジニアになるデメリットは、主に次の2つです。

①繁忙期の負担が大きい
ITエンジニアは、忙しさの波が激しい仕事です。繁忙期には、残業や休日出勤が増えることも少なくありません。その結果生活リズムが乱れて、身体的・精神的な負担が大きくなることも考えられます。

②継続的な勉強が必要
IT業界における技術は日々進歩しており、数年後には自分のスキルが廃れてしまうこともあります。IT業界で生き残るためには、継続的な勉強が必要となるのもデメリットです。

IT系の仕事に向いている人とは

IT系の仕事に向いている人の特徴4つについて、順番に解説します。

自主的に勉強できる

前述のとおり、IT系の仕事を長く続けるうえで継続的な勉強が必要です。現状の知識・スキルだけで満足していては、業界の変化に対応できません。

その点、自主的に勉強できる人であれば、トレンドの知識・スキルを自ら増やしていけます。そのため、IT業界における市場価値を高めやすいでしょう。

柔軟性があり変化に対応できる

現在トレンドとなっているスキルでも、数年後には廃れてしまうこともあります。技術の進歩が速いIT業界では、状況の変化に対応できる柔軟性が必要です。

柔軟性・対応力のある人は、業界の変化を素早くキャッチアップできます。また、業務で発生したトラブルにも迅速な対応が行えるでしょう。

コミュニケーション能力がある

IT系の仕事では、チームメンバーやクライアントとのコミュニケーションが欠かせません。自分の考えを正確に伝えたり、相手の考えをヒアリングしたりすることが求められます。

コミュニケーション能力がある人は、スムーズなやり取りで開発をスムーズに進めることが可能です。特に、システムエンジニアやプロジェクトマネージャーなどではコミュニケーション能力が重要となります。

体力がある

前述のとおり、IT系の仕事では繫忙期に残業や休日出勤が増えることも少なくありません。繁忙期には生活リズムが乱れやすく、体力に自信がない人だと不調をきたすことも考えられます。繫忙期でも健康を維持するためには、十分な体力が求められます。

まとめ

IT系の仕事には、さまざまな職種があります。それぞれ求められるスキルも異なるため、どの職種を目指すかまず明確にすることが大切です。これからIT業界への転職を考えるのであれば、今回の内容をぜひ参考にしてください。

IT業界への転職を成功させるうえで、スキル習得だけでなく転職活動も重要です。たとえ優れたスキルがあっても、自分の強みをうまくアピールできなければ転職の成功は難しいでしょう。ITエンジニアを目指す方には、転職活動をしっかりサポートしてくれる転職エージェントの利用がオススメです。

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