面接で「ぜひ来てほしい」と言われたのに不採用に|面接以外の言動に注意

面接は完璧だったのに、『面接の場』以外での言動が原因で、落とされることなんてあるの?

「面接で失敗らしい失敗をしていないのに、不採用の通知を受けた」、「面接では明日にでも来て欲しいようなことを言っていたのに、蓋をあけてみれば、手のひらを返したように不採用」

書類選考をパスし、面接でも好感触を得ているのに、なぜか落とされてしまう。転職活動では時として、このような一見不可解なことが起こります。しかし、落とされるのには、それなりの理由はあるものです。

まずは、こんな事例からご紹介しましょう。

目次

面接では十分な手応えを感じたものの不採用に…

田中義彦さん 36歳
SE

独立系ソフトハウスでオープン系に強いSEとして活躍してきた田中さん。上流工程に進むことを希望して、某ユーザー系情報システム子会社への転職活動を開始します。

現在の会社におけるプロジェクトリーダーとしての経験や、高い技術力を評価され、最終面接に進むことができました。

事前に入念なシミュレーションを重ねてきたこともあり、面接では仕事に対する意気込みや自身のスキルを上手くアピールでき、十分な手ごたえを感じて会社を後にします。

ところが、数日後に届いたのは不採用の通知だったのです…。

採用条件とキャリアを見る限り、「落ちるはずのない」面接だった田中さん。実は、不採用となったのは、面接での失敗が原因ではありませんでした。

エレベーターの割り込みを面接官に見られてしまって…

田中さんは面接当日、準備に力が入りすぎてしまったためか、うっかり家を出る時間が予定より遅くなってしまいました。面接は午後1時から。なんとか、5分前には会社に到着しましたが、エレベーターは昼休み帰りで大混雑。

「次のエレベーターでは遅れる!」そう感じた田中さんは、混雑する中を強引に割り込み、ギリギリで面接に間に合いました。ホッと一息といったところですが、実は、田中さんが乗ったエレベーターには、面接を担当する重役が乗り合わせていたのです。

田中さんの一連の行動を見た重役は、「社会人としてのマナーや人柄に問題があるのでは?」。そう判断して不採用を決めたのでした。普段の田中さんであれば、きっとそのようなことはしなかったはず。

「運が悪かった」といえばそれまでですが、採用担当者の待つ部屋に入ってから出るまでの間だけが、面接のすべてではないのです。

志望先の会社に一歩入った時点で、すでにさまざまな人が見ているのです。そう意識して、もう少し緊張感をもっていれば、防げたことかもしれません。

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内定が出るまでは、つねに評価中であるという緊張感をもつ

次は、志望先の会社で、他の社員と交わした不用意な一言が、採用担当者の耳に入ってしまったケースです。

面接終了でホッとしたのも束の間…

神田香幸さん 26歳
Webシステム開発エンジニア

中規模のSIerでLAMP系を得意とする神田さん。現在の会社では二次請けが主体ということもあり、ユーザーの顔を見ながら開発から運用までを一貫して行える環境を求めてベンチャー企業への転職を決意します。

一次面接、二次面接と順調に進み、社長との最終面接も無事に切り抜けることができた神田さん。最大の山場である、面接が終わったという気の緩みがあったのでしょうか、帰り際に、受付にいた社員に「このあたりで美味しいラーメン屋さんはありませんか?」とたずねます。

そして、それが原因で不採用となってしまったのです。

その場では何事もありませんでしたが、後から「面接に来ておきながら、昼ごはんを食べる場所を聞くなんて、あまりに緊張感がないのでは?」と漏らした社員の言葉が、めぐりめぐって社長の耳に入ってしまったことが原因でした。

神田さんにとっては、採用とは無関係の社員と世間話を交わしただけのことかもしれませんが、思いがけず足元をすくわれる結果となってしまいました。

協調性やコミュニケーション能力が問われる

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もちろん、最終面接が無事に終了したからといって、内定が約束されているわけではありません。ましてや、人に対する印象や評価は、ささいなことで変わってしまうものです。

会社のビルの中はもちろん、最寄り駅までの道のりは面接の一環だと思い、緊張感をもって振る舞うべきだったといえます。

また、会社によっては最終面接の後に、「現場のメンバーとの顔合わせ」という名目でミーティングや食事会を実施することがあります。

このような場では、アルコールが入ることもあり、つい不適切なことを言ってしまいがちです。内定を得るまでは評価中であるとの意識を常に失わず、たとえ世間話であっても、十分に言葉を選ぶ必要があるでしょう。

リーマンショック以前は、一部に「仕事さえできれば、それ以外の部分については、多少は目をつぶる」という風潮さえありました。

しかし、たとえ技術職であっても協調性やコミュニケーション能力、人間性いかんで、合否が決まるケースも増えています。それだけ、面接における評価が厳しくなっているのが現状なのです。

みなさんも面接の際には、くれぐれもご注意を!

Check Points ~訪問時に思わぬ失敗をしないためのポイント

  1. 1.「面接の場」以外でも、「見られている」ことを常に意識しておく。
  2. 2.ちょっとした気の緩みや失言が、採用を左右することがある。
  3. 3.実績や技術力だけでなく、コミュニケーションスキルを重視する企業が増加している。

Profile

藤田孝弘
藤田孝弘(ふじた・たかひろ)
LHH転職エージェント シニアコンサルタント

大学卒業後、人事系コンサルティング会社に就職。人材採用と教育・人事制度関連のコンサルティングに約10年間従事。その後、IT専門の人材サーチ会社にてITコンサルタントやSEを中心とした人材のコンサルタントを約5年経験。その後アデコに転職し現在に至る。これまでIT業界を中心に4,000名以上の方の転職支援を行っている。

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