転職できる40代とは?中高年が転職を成功させるために知っておくべきこと

目次

「40代は転職できない」は嘘!だけど……

かつては「35歳転職限界説」が一定の説得力を持っていましたが、近年は企業が即戦力を求めていることもあり、35歳転職限界説の崩壊説も話題に上るようになっています。そのため必ずしも「もう40代だし、転職は無理だよな」と年齢を理由に転職を諦める必要はありません。

しかし「データ上はまだ『35歳転職限界説』は健在である」とする調査もあり、中高年世代の方が若年世代よりもシビアに評価されるのは同じです。そこでここでは、人材紹介コンサルタント海老一宏さんの著書『40歳からのサバイバル転職成功術』を参考に、40代以上の中高年が転職を成功させるために知っておくべきことを解説します。

「人生二毛作」の発想と中高年を取り巻く状況

海老さんは著書の中で東大大学院経済学研究科の柳川範之教授が提唱した「40歳定年制」について触れています。これは現実的に制度化するという話ではなく、40歳までに今の会社での生活を捨てて、別のキャリアや生き方を作っていくという発想を持とうと呼びかけるものです。

このような発想を海老さんは「人生二毛作」と名付けています。なぜこのような発想が必要になるのかというと、40代を含む中高年を取り巻く状況が厳しさを増しているからです。

公益財団法人日本生産性本部の調査によれば、調査対象上場企業のうち50.6%の企業が「50代は仕事と賃金がミスマッチである」と回答し、40代については25.6%が同様の回答をしています。これは直截に言って「中高年社員は金だけかかって使えない」と企業が感じているということです。

この状況に危機感を覚えた企業の中には、嫌がらせとも言える方法でこうした採算の合わない社員を追い出そうとするところもあります。そうなってもまだ会社にしがみつく精神力があれば別ですが、限りある人生を充実させるためには人生二毛作の発想が必要不可欠になるでしょう。

中高年のニーズはあるが、覚悟と努力は必須

この発想に立てれば、中高年の転職について悲観的になりすぎる必要はありません。全国に400万社以上存在する中小企業もIT化やグローバル化の波にさらされており、そうした現場で経験を積んできた人材であれば十分に働き口はあります。

また経理・人事・総務・法務などの分野で他の企業でも通用するような経験を積んでいる場合も、やはり活躍の場は豊富です。とはいえ、もちろん覚悟しておくべきこともあります。

率直に申し上げて、中高年の場合、一部上場の大企業勤務経験者であっても、転職先の9割方は中小企業になります。大企業から大企業へ転職するケースももちろんありますが、ごく少数です。
引用:前掲書p33

またいくら前職でエリートとしてならしていても、早期退職などで職を失ってから何もアクションを起こさずにいると、あっという間に現役時代の輝きは失われます。「転職できる中高年」でいるためには、自分の世代に求められている仕事を知り、自分のこれまでのキャリアとのすり合わせをしていかなければなりません。

「転職できる中高年」とは?

では具体的にどのような仕事が求められていて、どんな人が「転職できる中高年」なのでしょうか。以下の表は海老さんが著書の中で挙げている、「転職できる中高年」の条件をまとめたものです。

<能力>
条件
ポイント
会社を儲けさせてくれる人 売上、利益を上げるために的確な計画を組み立て、行動する能力。「頑張ります!」ではなく、より具体的に語れるかが重要。
会社や組織を活性化させてくれる人 既存のやり方を破壊するのではなく、調和を維持しながら社員のやる気や能力を引き出す能力。
社長の方針が社内により伝わるようにできる人 社長のビジョンやポリシーを尊重し、素直に受け入れたうえで、これが組織に浸透するように行動する能力。
<経験>

1 会社に大きな売上や利益面で貢献した経験がある。
2 新規事業をゼロから成功させた経験がある。
3 会社の中枢で大きな判断をして貢献した経験がある。
4 部門を統括して数々の難局を乗り切り成果を上げた経験がある。
5 中小企業では経験できない質と量の経験がある。
6 個人よりも組織で戦って成功を収めた経験がある。
※前掲書p98から抜粋

逆に転職先の企業に貢献できるような実力がない人、例えば専門性の低い仕事や、若年世代でもできるような経験の要らない仕事をしている人は、転職を志さない方が無難です。このほか今の業界や会社の中でしか通用しないポストに就いている人なども同様です。

また能力や経験だけでなく、人柄や性格が致命傷になることもあり得ます。例えば自分の経験を持ち出して会社の方針にまで口を出したり、仕事ができるからといって会社の空気を乱したりするような雰囲気を感じ取られてしまうと、まず採用されません。

社長や既存社員の価値観を柔軟に吸収しながら、それに合わせて自分の能力を発揮できる人材が必要とされているからです。これは能力が高い人や、経験が豊富な人ほど陥りやすい落とし穴と言えそうです。

「転職できる40代」になるために若年世代が今できること

最後に今後年齢を重ねて40代になっていく20代・30代が将来「転職できる40代」になるために、今できることについて考えたいと思います。少子高齢化が進み、今後の雇用状況の悪化が予想される若年世代にとって、将来の自分のキャリアについての不安は、考えれば考えるほど厳しいもののように感じるかもしれません。

しかし中高年のエグゼクティブの求人に限った場合、海老さんが人材紹介の仕事を始めてから前掲書を出版した2013年3月までの15年間の間、あまり大きな波はなかったというのが海老さんの体感だそうです。

これはつまり中高年の求人状況は好不況に左右されないということです。海老さんが著書の中で書かれているわけではありませんが、これは適切な能力と経験さえ備わっていれば「転職できる40代」になれるということでもあります。

海老さんは20代に対して「未完の大器であれ」と言います。社長や上司に「こいつは磨けば光る大器になる」と思われるような魅力を養うべきだということです。そのためにはMBAやTOEICなどの資格や勉強ではなく、時間をかけてこそ磨かれる人間力を高める必要があります。それは例えば上司との飲み会や社員との親睦旅行、嫌な上司や苦手な同僚との折り合いから身についていく形のない能力です。

海老さんいわく、こうした能力を磨くためには、5年あるいは7年程度1つの会社で働き続けるべきなのだそうです。長い期間働き続けるにはきちんと自分や仕事と向き合って、困難を乗り切っていかなくてはならないからです。

ビジネスパーソンとしての基礎を徹底して磨くのが20代だとすれば、それを利用して実績を残すのが30代です。少なくとも40歳になるまでには社内でも有名なプロジェクトの中心人物として、成功を収めている必要があります。並大抵の努力ではこのクラスの成功を収められません。自分の能力を発揮するのはもちろん、周囲をうまく巻き込まなくてはならないからです。

その経験は間違いなく大きな財産になります。またそうした経験の中で手に入れた人脈は、大切にしておかなくてはなりません。それは将来転職をするときに、大きなアピールポイントになるでしょう。

もちろん海老さんの見解はあくまで一つの見方です。海老さんの見解に当てはまらなくても、転職に成功している人はいるでしょう。しかし自分が40代、50代になったときにどうなっていたいのか、どうなっているべきなのかを今からイメージしておくことが重要なことに変わりはありません。40代になって途方にくれないためにも、今から準備しておきたいものです。

転職できる中高年についての確認問題

転職できる中高年の条件は?

嘆いていても始まらない

この記事を読んで今の状況を嘆きたくなる人は少なくないのではないでしょうか。しかし厳しいようですが、嘆いていても現状は決して変わりません。自分の能力と年齢、置かれた状況を冷静に理解して、その中でやるべきこととできることを実行していくほかないのです。キャリアの棚卸しからはじめるもよし、転職エージェントに相談するもよし。とにかくも行動に移すところから始めましょう。

利用者の声から分かるLHHと他社の違い

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40代の転職成功事例

40歳男性(大学中退で2級電気工事施工管理技士等を所持)
サブコンにて電気工事施工管理職
年収525

部署解体に伴い、違う部署へ異動辞令が出たため。

セキュリティシステムの施工管理職
年収650
年収
125
Up

サブコンから事業会社での施工管理職へ転職。

42歳男性(私立大文学部卒)
電子部品メーカー人事(採用・研修)
年収560

業績不振で早期退職に応募。専門性を高めキャリアの閉塞感を打破したい。

総合商社シェアードサービス会社人事管理職候補(教育・研修企画)
年収660
年収
100
UP

グループ会社全体の教育や研修を担当。自ら企画・運営することでより専門性を高められる環境に。

40歳男性(私立大工学部卒)
外資系科学メーカー営業部長
年収850
外資系大手エネルギー海外営業部立ち上げ
年収1200
年収
350
UP

参考文献『40歳からのサバイバル転職成功術 ~決まる人と決まらない人との差はココにある! ~ 』

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