#転職理由 #給料が上がらない
「給料が上がらない」という悩みは代表的な転職理由のひとつです。しかし、面接で率直に伝えてもよいのか、どのような伝え方であれば企業の印象がよくなるのか不安になる方も少なくありません。そこで、この記事では給料が上がらないことを理由に転職する際の伝え方について、例文とともにわかりやすく解説します。
目次
- 転職理由として「給料が上がらないから」と答えてよいかは場合による
- 企業が転職理由を尋ねる3つの理由を確認しよう
- 【4ステップ】「給料が上がらないから」という転職理由を上手に伝えるための考え方
- 【例文】「給料が上がらない」という転職理由をポジティブに伝える方法
- まとめ
転職理由として「給料が上がらないから」と答えてよいかは場合による
給料の安さを原因として転職を決める方は多くいますが、実際にそれを転職先候補の企業へ伝えてもよいかはケースバイケースです。企業の給料体系や人事評価方法などによっては伝えて問題ない場合もありますが、伝えたことでかえって採用されにくくなる可能性もあります。
また、同じ「給料が安い」という理由でも、伝え方ひとつで企業側の受け取り方も変わってきます。そこで、ポジティブに受け取られるケースと、あまり評価されないケースに分け、伝え方も含めてそれぞれ解説します。
ポジティブに受け取られる場合
成果主義の外資系をはじめとして、不動産業界や保険業界、M&A業界など、成果報酬型の給料体系を採用している企業では、給料アップを目的とした転職は比較的ポジティブに受け取られます。とくに営業職では評価されることが多いです。
成果主義の企業にとって、給料のアップを目指すのはしっかりと成果を出すのと同じ意味になります。企業側は成果を出せる人材を求めているため、稼ぎたいという動機であっても目標達成への意欲やバイタリティが伝われば、評価してくれる可能性が高くなります。
前職の給料に関する不平、不満はネガティブに捉えられるため伝えないほうがよいですが、「より高い給料を稼ぎたい」という前向きな意思は率直に伝えても問題ありません。
あまりよい評価を得られない場合
国内企業の多くは成果主義とは対極にある年功序列型を採用しています。これらの企業では、単純に「給料の高い会社で働きたい」という動機を伝えてもあまりよい評価を得られないケースが多いです。
企業側は、自社で長く活躍してくれる人材を求めています。転職理由が給料の場合、企業側は「もしも給料が想定よりも上がらなかったら再度転職してしまうかもしれない」と判断する可能性が高くなります。
また、企業側は経営理念や将来のビジョンなどに共感してくれる人材かどうかも重視するのが一般的です。金銭だけを理由とすると、自社の事業内容には興味がなく、マッチしないと評価されてしまうかもしれません。
前職で実現できなかったことと転職先で実現したいことは表裏一体です。給料の安さを理由に退職したとそのまま伝えるのではなく、転職先の志望動機に絡めて伝えると企業側の納得を得やすくなります。具体的な伝え方については後述します。
企業が転職理由を尋ねる3つの理由を確認しよう
転職にあたって、面接ではなぜ転職を希望するのかを必ず聞かれます。しかし、そもそもなぜ企業は転職の理由を重視するのでしょうか。
「給料が上がらないから」という転職理由を上手に伝えるためにも、まずは企業側の質問の意図を知っておきましょう。主な理由を3つに分けて解説します。
1. 求職者の持っている価値観を知りたいため
転職理由を聞くのは、企業側と求職者の方が持つ価値観が合致するかを確認するためです。求職者の方が企業に何を求め、企業のどのような点に惹かれ、どのような働き方をしたいのかを聞いた上で、その価値観に共感できるか企業側は判断します。
採用が決まれば、企業側にとってはこれから長くともに働く仲間となります。そのため、価値観が合っているかどうかの確認は重要です。
稼ぎたい求職者の方を歓迎する企業もあれば、金銭を重視する姿勢を不安に思う企業もあります。どのような転職理由が正解なのかは企業によって異なるため、求職者の方は企業の求める価値観をよく確認しておきましょう。
2. 転職理由を自社で実現できるのかを確認するため
求職者の方が転職理由として挙げた内容を、自社で採用すれば本当に実現できるのかも企業は重視します。もし実現可能であれば、採用後もモチベーションを保って活躍してくれると考えられるからです。
また、「自社だからこそ実現できる内容かどうか」も重要なポイントになります。他の企業に入っても実現できそうな転職理由であれば、自社である必要性がなく、採用の優先順位は大きく下がってしまいます。
その点では「給料が高い会社に転職したい」という理由は他の企業でも実現できるため、伝え方を工夫しなければなりません。
3. 同じ理由で退職しないかを判断したいため
前職のときと同じ理由で、採用してもすぐに退職してしまわないかどうか確認する目的もあります。前職での不満が自社でも再現される可能性がある場合、企業側は採用をためらうケースも少なくありません。
たとえば、残業の多さが転職理由だとすると、「もし今後、長時間の残業が発生したら辞めてしまうのではないか」と企業側は懸念します。給料の安さが理由だった場合も、同じように「もし将来的に業績が悪化したら、より業績のよい企業に転職してしまうかもしれない」と採用を見送られてしまうかもしれません。
企業が人材を中途採用するとき、ひとりあたり100万円前後のコストがかかるともいわれています。採用した人材が早期離職してしまうと、採用コストが無駄になるため企業は慎重な判断をしなくてはなりません。
そのため、企業側に採用したいと思ってもらうには、誰もが納得するような転職理由を提示し、今後も長く活躍できる人材であるとアピールする必要があります。
また、給料や待遇、人間関係などの不満に直面したとき、前向きに解決しようと努力する姿勢を持っていることを示すのも重要です。
【4ステップ】「給料が上がらないから」という転職理由を上手に伝えるための考え方
企業側が転職理由を聞く目的を考慮すると、「給料が上がらないから」と正直に伝えるのは避けるのが賢明です。給料を理由にするときは、企業側の印象がよくなるよう、伝え方を工夫する必要があります。そこで、具体的な伝え方を考える上で大切なポイントを、4ステップに分けて解説します。
1.給料を上げたいと思う理由を深掘りする
まずは給料が低い現状がなぜ不満なのか、理由や背景を詳しく深掘りしていきましょう。企業が納得する理由を提示するためには、人生設計(ライフプランニング)と絡めて考えるのがよい方法です。
たとえば現在20代の方であれば、「30歳までに家庭を持ち、32歳頃までに一人目の子どもが誕生して35歳で二人目の子どもが誕生する。さらに40歳までにマイホームを購入したいので、頭金を貯め、借入額の枠を増やすために年収を上げる必要がある。すると、年収で〇百万円が必要になる」と具体的に想定します。
すると、現時点で年収にいくら届かないのかが具体的な数字となり、給料が低いと考える根拠を企業に提示できるようになります。
2. 給料が低い理由を考える
現時点で、なぜ給料が低いのかを具体的に考えてみましょう。給料が低い理由によって、転職や昇進など解決方法が変わるため、応募先企業の納得を得られるかどうかに影響します。
給料が低い理由として考えられるのは、主に次の3つです。
- 人事制度や報酬体系に問題がある
- 市場が縮小している、業績が悪化している
- もともと年収水準の低い業界である
まずは人事制度や報酬体系が自分の働きと合っておらず、上司から評価されないために昇進しない可能性を考えてみましょう。現在の人事制度や報酬体系に問題があるのであれば、自分に合った人事制度や報酬体系を採用する企業への転職は合理的です。
あるいは、斜陽産業で市場が縮小しつつある、業績が悪化しているといった理由がないかも探る必要があります。将来性が見込めないのであれば、今後成長が見込まれる業界への転職理由になり得ます。ただし、たとえば新型コロナウイルス感染症の流行で多くの企業が影響を受けたように、一時的な業績悪化なのか、今後も改善する見込みがないのかは考慮しておくべきです。
他には、もともと年収水準が他の業界より低い可能性もあります。国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査」によれば、年収水準が低い業界のワースト3は次のとおりです。
1位:宿泊業、飲食サービス業(268万円)
2位:農林水産、鉱業(337万円)
3位:卸売業、小売業(384万円)
現在年収水準が低い業界で働いている場合は、異業界へ飛び込むことの理由付けになります。
参照元:国税庁|令和4年分 民間給与実態統計調査
https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2022/pdf/000.pdf p.20
3. 解決方法を洗い出す
1と2の過程で転職したい理由を整理したら、続いて具体的な解決方法を探りましょう。転職だけでなく、昇進・昇給、異動などの手段はないのかも併せて模索します。
解決方法を探る際には、現状の給料を踏まえてどれくらい足りていないのか、昇進・昇給、異動、転職のそれぞれの手段でどれだけ給料が増える可能性があるのかを整理しておくと、結論を出しやすいです。
4.転職理由を考える
昇進・昇給、異動、転職のうち、転職しかないと結論に達したら、あらためて企業に伝える転職理由を具体的に考えていきましょう。
考える上で重要なのは、「転職」以外の選択肢もある中でなぜ「転職」を選んだのかを企業に対し論理的に説明できるようにすることです。
とくに面接では、転職という決断に至った背景を順序立てて説明できると企業側の納得感を得やすくなります。たとえば、年功序列の人事制度下で給料が低い場合は、「勤めた年数ではなく実力を評価してもらえる環境に移りたい」と伝えてみましょう。
あるいは、業界の将来性がなく、異業界に転職する場合は「業界の将来性を考え、新しい業界で自分のスキルを生かし、更に成長したい」など前向きに伝えることができます。
また、自社の将来性がない場合は、「貴社に転職して、業界のリーダーとして先進的な取り組みに挑戦していきたい」と表現することができます。このように、企業へ伝える転職理由を考える際には、目標の実現には転職が必要不可欠であるという論理的な説明と、ポジティブな言い換え表現を意識することが大切です。
このように、企業へ伝える転職理由を考える際には、目標の実現には転職が必要不可欠であるという論理的な説明と、ポジティブな言い換え表現を意識することが大切です。
【例文】「給料が上がらない」という転職理由をポジティブに伝える方法
では、これまで解説した考え方をもとに、実際に「給料が上がらない」という転職理由を伝えるための例文を紹介します。
▼例文
「現職では毎期、昨年度対比〇%の実績を達成していますが、年功序列を基本とした人事制度のため給料にはなかなか反映されません。成果に応じた評価や報酬を得られるほうがモチベーションを高く保ちながら働けると感じ、そのような環境で働きたいと考えました。成果報酬制度の導入によって毎期売り上げを〇%UPさせている御社の営業部隊の一員になることで、私自身の力を最大限発揮し、さらに御社に貢献できると考え志望しました」
上手く伝えるポイントとして、根拠となる数字を提示しましょう。数字によって客観的な現状を示せれば、企業側の納得感を得やすくなります。
また、退職理由と志望理由の一貫性も重要です。「年功序列型で評価されない」という退職理由に対して、「年功序列型ではなく成果報酬制度のある企業へ転職して評価につなげたい」という志望理由はぶれがなく、一貫性があります。
仮に前職に対して不満があったとしても、ネガティブな表現は使わず、夢や希望を実現していきたいというポジティブな方向性にすることを意識しましょう。例文では「給料が上がらない」という不満を、「正しく評価されたい」という方向に変化させることで、転職理由が給料だけではないことを伝えています。
まとめ
成果報酬型のような一部の企業や職種を除いて、給料が上がらないことをそのまま転職理由にするのはおすすめできません。給料以外の働きたい理由が伝わるよう、ポジティブに言い換えましょう。
もし、退職理由や志望動機をまとめるのが難しい場合は、転職エージェントのサポートを受けてみるのもおすすめです。退職理由の深堀を手助けしてもらえる上、自分の市場価値も把握できます。
たとえばLHH転職エージェントは、年収アップの実績が豊富なので、給料の低さに悩む求職者の方に役立ちます。利用者の3人に2人が平均101万円もの年収アップに成功しているのも特長です。年収アップを実現したいなら、ぜひ一度相談してみましょう。
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