最近よく聞くようになった「スタートアップ企業」。就職・転職先の候補として考えている人も多いでしょう。この記事ではスタートアップ企業とはどのような企業のことをいうのか、そしてベンチャー企業との違い、就業するにあたってのメリット・デメリットから求人に関することまで多角的に解説します。
目次
- スタートアップ企業とは
- スタートアップ企業とベンチャー企業の違い
- スタートアップ企業で働くメリット・デメリット
- スタートアップ企業やベンチャー企業に向いている人の特徴
- スタートアップ企業の主な例
- スタートアップ企業やベンチャー企業の求人に応募するには
- まとめ
スタートアップ企業とは
就職・転職を考える際にスタートアップ企業やベンチャー企業を選択肢に挙げた人もいるかもしれません。どちらもこれからの成長に期待する部分が大きい注目の企業スタイルですが、このふたつに明確な違いはあるのでしょうか。
今回詳しくお伝えしていくスタートアップ企業にはふたつの特徴があります。まず一つ目は「今までになかったアイデアで市場を開拓する点」、そしてふたつ目は「短期で急成長する(またはしようと目標を置いている)点」です。
また他には新規のアイデアを用いた事業展開をするため、創業から2~3年と日が浅い企業が多いのも特徴です。ただスタートアップといっても厳密には創業から日が浅い企業ばかりではないことは頭に置いておきたい点です。
スタートアップ企業とベンチャー企業の違い
前項でも触れましたが、スタートアップ企業は創業からの年数が短いことが多く、急成長を視野に事業目標を置いているため、ベンチャー企業と混同される場合が多々あります。しかしスタートアップ企業とベンチャー企業にははっきりとした違いがあるので、ここからはその違いについて押さえていきましょう。
革新性があるか
まずスタートアップ企業とベンチャー企業の根本的な違いは「革新性(イノベーション)の有無」と言えます。スタートアップ企業は今まで市場になかったビジネスモデルやサービスを生み出し、これまでの常識を覆してビジネスを展開します。
一方ベンチャー企業は、ビジネスモデルなどは既存のものを利用し、そこに不足していた視点・新たな視点を入れることで新しいサービスを生み出します。スタートアップ企業の基盤がイノベーションであるのに対し、ベンチャー企業の基盤は既存ビジネスモデルのブラッシュアップと言えるでしょう。
ゴールまでの期間
スタートアップ企業は創業時に漠然とした目標ではなく、具体的な目的を掲げている場合があります。たとえば「広く世の中に貢献する」という目標ではなく、「〇〇というシステムを構築し、新しいインフラを作る」という具合です。
そしてこの具体的な目的が、これまで社会になかった革新的なアイデアやサービスであることから、短期的に急激な成長を遂げる可能性をもっています。
さらに、スタートアップ企業では、当初の目的を達成した場合に、事業を売却することも珍しくありません。一方でベンチャー企業は、中長期的な目標を掲げ、安定した成長を目指しています。
スタートアップ企業が最終的に事業を売却する例もあるなかで、ベンチャー企業は最終目標を株式公開に置いている場合も多々あります。そしてこの目標を達成するためにベンチャー企業は事業計画を中長期で設定します。
スタートアップ企業で働くメリット・デメリット
スタートアップ企業は急激な成長を見込める反面、目標達成で事業売却の可能性もあります。ではスタートアップ企業で働くメリット・デメリットには具体的にどのようなものがあるのでしょうか。ここではスタートアップ企業で働くメリット・デメリットを詳しく解説します。
メリットは成長できる点
スタートアップ企業は従業員数が少ない場合が多いので、自分が会社を動かしている・自分がいないと事業が動かない、という意識を一般的な企業よりも強く感じられます。
また専門的な仕事だけでなく、自分の担当する事業の全てのフェーズに関わる場合が多いのも特徴の一つでしょう。このため、プロジェクトのスタートからゴールまでを仕切る力も身につきやすいといえます。
このように大きな視点で仕事に関われることで自分自身の大きな成長を見込めるのは、スタートアップ企業で働く大きなメリットです。
さらに事業規模やスタッフの人数によっては、プロジェクトだけでなく、会社の運営に直接意見を出せる場合もあるため、いずれ起業や独立を考えている人にはその後の働き方に役立つ経験ができるでしょう。
デメリットは安定を望めない点
スタートアップ企業のデメリットは大きく2点あります。一つ目は安定を望みにくい点、ふたつ目は任される仕事への責任が大きくなりやすい点です。
スタートアップ企業が根底に置いている革新性は、安定性からはかけ離れる場合が往々にしてあります。スタートアップ企業はこれまでの社会や市場にないサービス・ビジネスモデルに挑戦するため、すべてが当たるわけではありません。
もちろん周到な調査や計画を立てて新規事業に取り組んでいますが、それでも同じ事業を大企業がスタートしてしまえば太刀打ちできず、成長を遂げる前に退却せざるを得ない場合もあります。倒産、賃金未払いのリスクもないとは言えません。
また、任される仕事量が多めだったり、責任を分散しにくかったりするため仕事への責任感は大きくなる傾向があります。仕事のプレッシャーは大人数のスタッフでチームを組める企業よりも強くなることは念頭に置いておかなければいけません。
スタートアップ企業やベンチャー企業に向いている人の特徴
ここまで、スタートアップ企業の特徴を中心に、ベンチャー企業との違いやスタートアップ企業で働くメリット・デメリットを解説してきました。ここからは実際にスタートアップ企業・ベンチャー企業で働くのに向いている人を分析していきます。就職や転職でこうした企業を候補に入れている人はぜひ内容をチェックしてください。
成長意欲が高い
スタートアップ企業もベンチャー企業も、創業から日が浅い場合が多いので、社員の平均年齢も若い傾向にあります。ですから、上司にあたる人が新卒2年目、3年目ということもありますし、社長が30代や40代ということも珍しいケースではありません。このため、若手でも責任が重い仕事を任せてもらえる機会があり、業務の裁量権をもたせてもらえることもよくあります。
転職の場合であれば、これまで勤めていた会社ではいくつもの会議を経てやっと承認が通っていた新規アイデアの事業が、社長を含むメンバーでの話し合いで「では計画ができたらすぐはじめてみよう」となることもあります。
スピード感をもった仕事ができるという意味では、これまでの自分を変えたい人や、自分のスキルを存分に使って成長したい人、これまで以上にスキルアップをしていきたい人に最適な環境と言えるでしょう。
新しいことに興味がある
スタートアップ企業で働くために向いている素質には「新しいことに興味がある・物怖じしない」という点が非常に重要になるでしょう。スタートアップ企業が目指しているのは「革新」なので、前例を踏襲する・マニュアルがあるものを遂行したい、という人はスタートアップ企業で働くことは難しいと考えられます。
今までにないものやビジネスモデルでも、楽しんで取り組める、挑戦しがいがあると思える人に向いている職場です。また業種によっては最先端のテクノロジーを使った事業を立ち上げることもあるので、流行や技術の最新部分に触れたい人にも向いています。
将来は起業・独立を考えている
スタートアップ企業は社員数が少ない場合が多いので、経営者と身近に接することになります。経営者自身もスタッフを仲間と思っているケースが多いので、社員からの声をすくい上げようとしてくれる人が多いです。
このため、将来的に起業や独立を考えている人にとっては、経営者の視点や考え方を学ぶ非常によい機会を得られるでしょう。経営の具体的なノウハウや投資・資金繰りも間近で学ぶことも可能です。また経営者の人脈ともつながりやすいので、人脈を広げていきたい人も向いています。
スタートアップ企業の主な例
ここまで、スタートアップ企業について解説してきましたが、ここで実際にスタートアップ企業の例として挙げられる企業をふたつご紹介します。いずれも目や耳にする機会の多い企業ではないでしょうか。ではどこがスタートアップなのか見ていきましょう。
株式会社メルカリ
一般的な知名度も非常に高いフリマアプリである「メルカリ」ですが、このメルカリを運営している株式会社メルカリは日本のスタートアップ企業の一つです。
株式会社メルカリは2013年に創業し、2022年3月現在ではまだ創業から10年未満の企業です。企業のIR情報によると2022年6月期 第2四半期決算短信は375億円の売り上げを見込んでいるようです。
では株式会社メルカリのどこがスタートアップ企業と言えるかというと、「スマホアプリでフリマができる」という点です。今では他のフリマアプリもありますが、この「スマホアプリでフリマ」というシステムを確立したのはメルカリが最初であり、このシステムはこれまでありませんでした。
株式会社メルカリも数人から始まった企業ですが、創業5年目の2018年ですでに従業員数が1,000人を超える企業に急成長しました。
【参照元】株式会社メルカリ
freee株式会社
クラウド会計ソフト「freee」をご存知でしょうか。今では多くの企業が会計管理のために取り入れているソフトなので耳にしたことがある人もいるはずです。会計管理というと、これまでは専門家に依頼するか、もしくは高額の専用ソフトを導入するかといった選択肢でした。そこに、まさに革新の志をもってできたサービスが「freee」です。
創業は2012年、当時は顧客も個人事業主や小さな企業が中心でした。しかし月額の安さ(個人では月額980円)が奏功し、サービス開始から約半年後には利用事業者が1万件を超えたサービスに成長しています。さらに2019年12月には東証マザーズ市場へ上場し、近年のフリーランス市場の伸びなども追い風に売り上げを大きく伸ばしています。
このように、創業当時はまだシェアや必要性が広がらずとも、時代が追いつくことで急成長を遂げた状況はスタートアップ企業の最たるものと言えるでしょう。
【参照元】freee株式会社
スタートアップ企業やベンチャー企業の求人に応募するには
ここまで解説してきたように、スタートアップ企業やベンチャー企業は一般的な企業に比べて特殊な社風や文化をもつ場合が多くあります。経営者との距離の近さ、プロジェクトのスピード感はその代表例でしょう。
こうした内部事情はどうしても個人の情報収集だけでは拾いにくく、自分に合っている企業かどうかを判断するのは難しいのが現状です。このため、転職エージェントを利用し各企業のより詳しい情報を得ることが、スタートアップ企業・ベンチャー企業への就職を成功させるカギと言えます。
転職エージェントに登録することで多岐にわたる分野の企業情報やアドバイスを得られるので、スタートアップ企業やベンチャー企業への転職を考えている場合には、まず登録をして、それぞれの企業を吟味した後に求人へ応募することをオススメします。
まとめ
イノベーション精神が強いスタートアップ企業、そしてブラッシュアップからの成長を見込むベンチャー企業、このふたつはいずれも、今ないもの・新しい価値観の創造、という視点を根底にもつ企業です。安定性の面では大企業や歴史ある企業に劣るかもしれませんが、自分自身の成長を強く望む人、見たことのないサービスを生み出したい人、そして今後起業や独立を考えている人には非常に適した職場でしょう。。
こうした企業への転職を考えている人は、まずは転職エージェントへ相談してみてはいかがでしょうか。そして幅広く情報を収集し、ご自身の希望にかなう転職を実現してください。
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