転職活動を進めていると、応募先企業からパソコンスキルを問われることがあります。しかし「具体的にどんなスキルをどの程度取得していればよいのか」わからない方も少なくありません。本記事では、基本的なパソコンスキルの種類や、履歴書への記載方法を解説し、さらにスキルアップのための勉強法や資格についても紹介します。
目次
- 企業が求めるパソコンスキルとは
- 基本的なパソコンスキル一覧
- 履歴書に記載するパソコンスキルはどの程度?
- 履歴書のパソコンスキル記入例
- 履歴書でパソコンスキルを書くときの注意点
- 面接時にパソコンスキルを聞かれたときの答え方
- パソコンスキルを独学で身に付けることは可能?
- パソコンスキルを身に付ける方法・スキルアップ手法
- パソコンスキルを証明するおすすめの資格
- まとめ
企業が求めるパソコンスキルとは
企業が求職者側に求めるパソコンスキルとは、主に「Word」「Excel」「PowerPoint」といったオフィスソフトの操作スキルを指しています。
これらは業種や職種を問わず必要とされる機会が多いソフトです。
とくにWord・Excelスキルは、どんな部署に入るにせよ、前提的な能力として求められることが多いと考えられます。したがって即戦力としての転職を目指すなら「Word・Excelスキルの保有は必須」と捉えておいて差し支えありません。
そのほか、タイピングやショートカットキーといったパソコン操作、ビジネスメール・セキュリティについての基礎知識なども、パソコンスキルとして挙げられます。
基本的なパソコンスキル一覧
これら操作スキルの「基本」レベルについて、一般的には以下のような操作をできることが挙げられます。
- Wordで文字を入力し、フォントサイズの変更などの書式設定を行える
- Wordで画像を挿入し、レイアウトを調整できる
- ExcelでSUMなどの関数を用いた四則演算ができる
- Excelで表やグラフを作成し、見やすいデザインに整えられる
- PowerPointを用いてスライドの作成ができる
- PowerPointで図形を作ったり、画像を編集したりできる
- 保存や印刷など、ショートカットキーを適宜使用できる
- メールを新規作成し、本文に記載する内容をビジネスマナーに基づいて作成できる
- 添付データの圧縮や解凍ができる
- 離席時の画面ロックやパスワードの管理など、セキュリティ意識を持って行動できる
履歴書に記載するパソコンスキルはどの程度?
一般には、以下の事項が可能なら履歴書に記載できるレベルと考えられています。
Excel
- 表作成、四則演算、セルの書式設定、簡単な関数入力を行うことができる
- VLOOKUP、ピボットテーブル、IF関数を用いてデータの整理や集計ができる
Word
- セクション区切りの挿入や目次設定、段落の書式設定などの知識がある
- 表や画像の挿入、印刷設定を行うことができる
PowerPoint
- 画像挿入、図の調整、文字入力ができる
- グラフィック機能の操作、ビデオや音楽の挿入ができる
その他
- ビジネスメールにおいて、TO・CC・BCCの使い分けができる
- 離席時の画面ロックや安全なパスワードの管理ができる
上記のような基礎的なパソコンスキルを持っていると、転職に有利です。多くの企業は、「基本的なパソコンスキルを持った新入社員なら、ほかのパソコンスキルも教えやすい」と考えているからです。
したがって、現状の自分のスキルを明確に提示しつつ、それをベースにして新たな知識やスキルを学ぶ姿勢を示すことも大切です。
履歴書のパソコンスキル記入例
履歴書への記入方法に決まりはありません。ただし、「どのソフトでどんな作業が可能か」がクリアに伝わるように書くことが大切です。
たとえば「Microsoft系オフィスソフトを、業務に差し支えないレベルで使用可能」といった書き方は避けてください。何のソフトをどう使用できるのかが不明瞭だからです。
自分が対応可能な業務の種類や範囲を、ソフト名と併せて明記しましょう。以下のように、対応可能な事柄について箇条書きで記入することも有効です。
Word
- 見積書、請求書、送付状などのビジネス文書作成
- フォーマット作成
- 図表・画像の挿入
- コメントや変更履歴の設定
- 差し込み印刷設定
Excel
- 表やフォーマット、リスト作成
- 書式や印刷設定
- 関数を用いた四則演算
- フィルタによるデータの絞り込み
- VLOOKUP、ピボットテーブル、IF関数などを利用したデータ作成、集計、分析
- マクロによる業務効率化
PowerPoint
- 社内外向けプレゼンテーション資料作成
- 営業スライド作成
- スライドテーマの設定
- アニメーション効果、画面切り替え効果の設定
- 図形、表の作成
履歴書でパソコンスキルを書くときの注意点
パソコンスキルは、業種によって求められるソフトや習得レベルに違いがあります。
したがって、まず重要なことは「転職を希望する業種や企業で、何のソフトのどんな業務遂行能力が求められているのか」をきちんと把握しておくことです。
その上で、自分の経験・実績を振り返り、アピールにつながる要素を洗い出してください。
業種によってアピールポイントが異なる
希望職種によって、アピールにつなげられる要素は異なります。ただしおおむね以下のように分けることができます。
- 総務・事務職は、文書作成のためWordや管理表作成のためExcelを求められることが多い
- 経理職は、会計システムの使用経験が重視されるほか、経費精算の管理などのためExcelのスキルも求められる
- 人事職は、 WordやExcelに加え、説明会や社内研修用の資料作成におけるPowerPointのスキルや、人事システムの取り扱い経験も求められる
- 営業職は、WordやExcelに加え、提案やプレゼン資料の作成におけるPowerPointのスキルや、コミュニケーションツールやスケジュール共有ツールといった社内外のやり取りに関連するツールの使用経験も求められる
上記はあくまで一般的な目安です。応募先の職種・企業について業務内容をリサーチし、必要とされるスキルを整理しておきましょう。
求められるスキルやスキルレベルを把握したら、それを満す自分のスキルや経験を記載しましょう。仮に満たせない場合でも、それらに関連するスキル・経験をアピールすることが重要です。
使用経験があるツールを記載する
オフィスソフト以外でも、使用経験があるソフト・ツールは記載しておきましょう。
会計ソフト、人事管理システム、プロジェクト管理ツール、また昨今のテレワークで導入が進んでいるチャットツールやビデオ会議ツールなどが代表例です。応募先企業で使用しているものと一致していれば、安心感を持たれやすくなります。
企業によっては、特定ツールの使用経験を詳しく提示するよう強調している場合もあります。
そうしたツールでの実務経験がある場合は、業務で担当可能な範囲や、過去の実務例などを詳細に記載することで、よりいっそうのアピールにつながります。
自分のスキルレベルを把握しておく
転職活動にあたって、自分のスキルレベルを把握しておくことがとても重要です。自分が現職で当たり前に使っているスキルが、他企業からは希少スキルとして評価される可能性もあります。
自分のアピールポイントを見落とさないためにも、自分のスキルを見直し、レベルを客観的に把握しておきましょう。
なお、応募先企業から求められるレベルに達しておらず、履歴書への記載が難しいと感じる方は少なくないかもしれません。
そうした場合は、現状のレベルを書いた上で、「これから勉強します」「勉強をはじめています」などを書き添え、学習意欲が高いことを伝えてください。
面接時にパソコンスキルを聞かれたときの答え方
面接でパソコンスキルを問われた際も、「基本操作はできます」「初級レベルです」など抽象的に回答することは避けてください。
「どのソフトでどんな業務を行えるのか」を具体的に返答する必要があります。併せて使用経験年数も伝えることが有効です。
たとえば「PowerPointは○年の使用経験があり、図や表を用いた○○の資料作成を行ってきました」「Excelは○年の使用経験があり、VLOOKUPやピボットテーブルを利用してレポートの集計を行ってきました」といった形で、何をどれくらいの期間使用し、どういったものを作成できるのかを明確に伝えます。
当然、企業側が求めているソフトやスキルレベルについては、面接前に頭に入れておきましょう。
パソコンスキルを独学で身に付けることは可能?
「自分の現在の経験ではアピール力が足りない」と感じている方や、よりいっそうのスキルアップを考えている方は少なくありません。
先述してきたようなパソコンスキルは、独学でも十分に習得可能です。
紙の参考書はもちろん、インターネット上で勉強できるサービスも存在します。それらサービスには、無料のものや月額1,000円未満のものなども展開されています。
オフィスソフトについては、上記のように教材・情報が比較的豊富です。したがって独学しやすい状況にあると考えられます。
ただし独学の場合は、疑問や課題を自分で解決していかなければなりません。勉強の目的やスケジュールを明確に定めていないと、学習効率が下がり知識が適切に身につかない恐れもあります。
大切なのは「自分が身に付けたいスキル・知識をはっきりとさせ、いつまでにそれを習得するか決め、計画的に勉強すること」です。
パソコンスキルを身に付ける方法・スキルアップ手法
パソコンスキルの具体的な習得方法や、資格取得の道筋を紹介します。
参考書を買って独学で勉強する
自分で購入した参考書で勉強する方法です。とくにオフィスソフトなら、入門から応用まで多くの書籍が出版されているため、自分のレベルにあわせて学習を進めやすいです。
学んだことはすぐに業務で実践するよう心がければ、スキル・知識が定着しやすくなります。参考書を選ぶ際には、「実務で活かしやすいかどうか」を基準にしてみるのも有効です。
パソコンスクールに通う
独学が難しい場合は、パソコンスクールに通うという方法もあります。
パソコンスクールの場合は、専門講師によって練られたカリキュラムが用意されており、それに沿った指導が行われるため、スキルを効率的に身に付けることができます。
またITに関する応用的な知識まで教えてくれるスクールが多いため、しっかりと学習しながら広い知識を身に付けたい方におすすめです。
ただしカリキュラムが決まっているため、すでに習得している内容の講義も含まれていることがあります。自分のレベルと学びたい内容にあわせたスクールやコースを選ぶことが大切です。
資格を取得する
パソコンスキルに関連する資格取得を目指すのも有効な学習方法です。
勉強を通してスキルアップが見込めるだけでなく、資格を取得することで転職において有利になる可能性があります。
下記も参考にしつつ、自分の状況にフィットした資格を見つけてください。
パソコンスキルを証明するおすすめの資格
パソコンスキルを証明する資格について、企業からの信頼が高く、転職活動にも役立つ代表的なものを3つ紹介します。
マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)
Word・Excel・PowerPointなどマイクロソフトオフィス製品のスキルを証明できる国際的な資格です。
MOS はWord・Excel・PowerPoint・Access・Outlookの5科目がありますが、まずは、Word・Excel・PowerPointの取得がおすすめです。これら3ソフトは、事務・総務・営業などさまざまな職種で使用されているためです。
これらのソフトについて資格を保有していれば、幅広い企業にアピールできます。
難易度は一般レベル「スペシャリスト」と上級レベル「エキスパート」の2種類が用意されています。スペシャリストの合格率は約80%、エキスパートの合格率は約60%ほどです。
【参照元】マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)|株式会社オデッセイコミュニケーションズ
ITパスポート試験
ITパスポート試験とは、ITに関する基礎的な知識が証明できる国家資格です。
国家試験のため認知度も高く、企業からの信頼も厚いことが特長です。取得することで、転職の際もアピールになります。
合格率は毎年50%前後で、国家資格の中ではそれほど高くない難易度と言われています。
【参照元】ITパスポート試験|独立行政法人情報処理推進機構
Access®ビジネスデータベース技能認定試験
Access®ビジネスデータベース技能認定試験とは、Microsoft Accessの実務能力について、幅広い出題内容で実用的な能力を測定・評価する試験です。
Accessは製品管理や売上管理・顧客管理などの機能を持つ、データ管理のアプリケーションです。したがってAccessスキルを持っていれば、事務、営業、財務、マーケティングなどさまざまな職種で活用できます。
とくにデータベースを扱う企業への転職においては有利に働く資格です。
【参照元】Access®ビジネスデータベース技能認定試験|株式会社サーティファイ
まとめ
転職活動で求められるパソコンスキルとは、Word、Excel、PowerPointの操作や、ビジネスメールの基本を指すことが一般的です。転職に際して、自分の各スキルレベルを客観的に把握しておきましょう。
履歴書を作成する際には、応募職種で必要とされるスキルを把握し、マッチする経験を具体的に記載しましょう。パソコンスキルに自信がない場合でも、独学で学べる教材は豊富です。自分に合った学び方を探してみましょう。
また、資格取得などさらなるスキルアップを行っておけば、転職時のアピールにもつながります。
パソコンスキルのアピール方法がわからない場合や、スキルアップについて悩んでいる場合は、キャリアコンサルタントに相談してみるのもひとつの方法です。
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