引き抜き転職とは? 成功例や失敗例、よくある質問

他社からの引き抜き転職の誘いを受けている方々の中には、どう対処すべきか悩んでいるかもしれません。本記事では、引き抜き転職の意味やヘッドハンティングとの違い、メリット・デメリットなどについて詳しく解説します。引き抜き転職に関する知識を習得し、転職を検討する際の判断材料としてご活用ください。

目次

引き抜き転職とは

引き抜きとは、知識やスキル、経験が評価され、他社から入社を誘われることを指します。現職の方が他社からのスカウトを受けて転職することを「引き抜き転職」と呼びます。

ヘッドハンティングとの違い

引き抜きとヘッドハンティングは、実力を見込んだ人材を他社から確保する手段で共通しています。ただし、一般的にヘッドハンティングは人材紹介会社などの仲介業者による引き抜き行為を指すことが一般的です。

ヘッドハンティングでは仲介業者が介在しますが、引き抜きは企業自身が気になる人材に直接アプローチします。また、通常ヘッドハンティングは管理職などの役職に就いている方を対象とする傾向がありますが、引き抜きは一般社員も対象になります。

さらに、類似した人材獲得手法としてリファラル採用もあります。リファラル採用は、企業が自社の社員に対して知人や友人などの人材を紹介してもらう手法です。一方で、引き抜きは企業が優秀な人材であることを見込んでスカウトする手法であり、リファラル採用とは異なる意味合いを持ちます。

引き抜き転職は違法行為?

日本では、憲法によって職業選択の自由が保障されているため、引き抜き転職が違法になるケースはほとんどないと考えられます。引き抜きに応じるかどうかは、基本的に本人の自由です。ただし、これはあくまで勤めていた会社を退職したあとにスカウトを受けた場合を指しています。在職中に引き抜き転職をすると、違法になるリスクがあるため注意しましょう。

違法性が認められるかどうかはケースバイケースです。たとえば、現在勤めている会社で重要なポジションを担い、組織の利益に大きく貢献している場合、引き抜きによって組織に大きなダメージを与える可能性があります。このようなケースでは、違法性が認められるおそれがあります。

引き抜き転職のメリット・成功例

引き抜き転職には、通常の転職にはないメリットがいくつかあります。得られるメリットとリスクを天秤にかけながら、引き抜き転職するかどうかを考えてみましょう。

転職活動をしなくても転職できる

他社からの引き抜き転職では、大掛かりな転職活動が不要となることがあります。通常の転職では、求人サイトの閲覧や検索、転職エージェントへの登録、気になる求人へのエントリー、応募書類の作成、面接など複数のステップをクリアする必要があります。しかし、引き抜き転職ではこれらのいくつかのステップを省略することができます。

また、引き抜きをしてきた企業からは魅力的な人材と見られているため、面接スケジュールを柔軟に調整してもらえることもあります。場合によっては、面接そのものが省略されることもあり、短期間での転職が実現することもあります。

年収や待遇が向上する

現職よりも、年収や待遇が向上する可能性があります。アプローチしてきた企業は、「どうしてもあなたに入社して欲しい」と考えているため、今よりも高い給与、魅力的な待遇を提示してくることが多いです。

もし現職よりも年収や待遇が上がらないのであれば、リスクを冒してまで転職する必要性は低くなります。引き抜きをしようとする企業もそこはわかっているため、優秀な人材を獲得するために魅力的な条件を提示します。場合によっては、条件交渉を行うことで、提示された条件を見直してもらえる可能性もあります。

ある程度の役職・役割を与えてもらえる

企業が他社から引き抜く際には、一定のポジションを用意する傾向があります。現職と同等、もしくはそれ以上のポジションを用意してもらえる可能性があります。

しかし、いくら魅力的なポジションであったとしても、仕事内容や職場の雰囲気が合わなければ長期間働くことは難しいでしょう。面接の際には、仕事内容など、気になる点や疑問点を積極的に質問しましょう。また、できれば職場を見学させてもらい、雰囲気や働く人々との相性も確認することをおすすめします。

引き抜き転職のデメリット・失敗例

引き抜き転職には多くのメリットが存在しますが、デメリットにも注意が必要です。メリットばかりに目を向けてしまうと、転職してから後悔してしまうかもしれません。

成果を出すことを期待されるのでストレスになる

企業が引き抜きを行う際は、優秀な成果を期待しています。そのため、期待に応えるべく即戦力として活躍することが求められます。しかし、その期待に応えられなかった場合、引き抜きをしてくれた担当者や経営者などを落胆させてしまうかもしれません。

常に高い成果を出すことを期待されるのはもちろん、成果を出して当たり前と思われてしまう場合もあります。日常的に過度なプレッシャーを感じるようになり、ストレスになるかもしれません。このような状況では、本来のパフォーマンスを発揮することが難しくなり、失敗が重なる可能性があります。その結果、さらなるプレッシャーを感じ、負のスパイラルにも陥る可能性もあります。

したがって、引き抜きに応じるかどうかを検討する際には、自身のスキルレベルと先方からの期待値のバランスや、ストレスへの耐性などを考慮する必要があります。自身の能力と組織の要求が一致しているかどうかを慎重に判断することが重要です。

人間関係のトラブルが生じやすい

他社から引き抜かれて入社した場合、周囲からは大きな期待が寄せられることがあります。仕事の能力やスキルについて高い期待が寄せられ、些細な失敗でも職場の方をがっかりさせる可能性があります。

このような状況が続くと、人間関係が悪化する可能性があります。「どうしてこの程度の人材をわざわざ引き抜いたのか」と社員から陰口を叩かれ、ギスギスとした雰囲気の中で仕事に取り組まなければならなくなるリスクもあります。

また、知人が引き抜きに関与している場合、このような状況に嫌気がさして会社を辞めたいと思っても、辞めづらいのが懸念点です。

前の勤め先と揉める可能性がある

憲法で職業選択の自由が認められているとはいえ、場合によっては前の職場とトラブルに発展するおそれがあります。特に、前職で知り得た機密情報や顧客情報を転職先で使用した場合には、競合避止義務や機密情報保持規定に違反しているとみなされるかもしれません。

このようなリスクを避けるためには、前職の業務で知り得た情報を慎重に扱う必要があります。特に、同じ業界の企業へ転職する場合は、情報の取り扱いに十分な注意を払う必要があります。トラブルを避けるためには、前職の同僚や上司との関係を良好に保ちつつ、転職することが重要です。

【Q&A】引き抜き転職に関するよくある質問

引き抜き転職には、さまざまな疑問や不安がつきものです。引き抜き転職に関するよくある質問と回答を整理したので、目を通しておきましょう。

引き抜かれるのはどのような人ですか?

引き抜きの対象はケースバイケースです。なぜなら、企業によって求める人材像は異なるためです。そのときの経営環境や人材リソースによっても、引き抜く人材に求めるスキルや知識、経験などは変わります。

一般的には、実務のスキルに長け、なおかつ優れたマネジメント能力を持つ人材が引き抜きの対象となることが多いです。また、コミュニケーションスキルや協調性が高く、マナーのある人物など、「この方と一緒に働きたい」と思われるような方も引き抜かれることがあります。

確認事項はありますか?

引き抜き転職に限らず、気になる企業を見つけた場合は、労働条件を細かく確認しましょう。勤務時間や勤務地、休日、基本給など、労働条件を念入りに確認しておかないと、入社後に後悔しかねません。

特に、引き抜き転職の場合は実力が認められた高揚感などから労働条件の確認がおろそかになってしまうケースがあります。しかし引き抜き転職でも、「部長のポジションを用意してくれると言っていたのに、入社したら話が違っていた」といったことは起こり得ます。こうしたトラブルを避けるために、労働条件は書面で確認しましょう。口頭での約束だけでは、あとから「言った言わなかった」の水掛け論になるおそれがあるため注意が必要です。

給料などの交渉は可能ですか?

先方は魅力的な人材としてアプローチしているため、給料など条件面の交渉が可能であるケースが多いです。給料や待遇面を妥協してしまうと後悔する可能性があるため、納得がいくまで話し合いましょう。

自分と相手企業の希望条件にギャップがある場合もあるので、そのギャップを埋めるために話し合いを行います。妥協できる部分は妥協し、譲れない部分はしっかりと主張しましょう。ただし、あまりにも法外な給料や、実力に見合わない金額を要求してしまうと、非常識だと思われてしまい、転職そのものが失敗するおそれがあるため注意が必要です。

引き抜き転職の注意点はありますか?

引き抜き転職が決まったら、まずは上司に相談し、その後部署の同僚や部下などに転職の意思を伝えるタイミングを慎重に選びましょう。どのタイミングで伝えるのかは、上司の指示を仰ぐのが賢明です。

転職が決まったからといって、直ちに同僚や部下などに伝えることは避けましょう。同僚や部下たちの口から、他社に引き抜かれて退職することが広まってしまうかもしれません。

引き抜き転職の事実が、早い段階で職場全体に知れ渡ると、退職までの期間、職場に居づらくなってしまうおそれがあるので、注意が必要です。

引き抜き転職は迷いが生じるもの!悩む場合はプロに相談を

実力や経験を高く評価してもらえるのは嬉しい反面、引き抜き転職には迷いが生じるものです。引き抜き転職に不安や疑問がある場合は、転職のプロに相談してみましょう。転職のプロである転職エージェントへ相談することで、自分の市場価値を知ることができ、状況に応じた適切なアドバイスを受けることができます。また、他の企業にも目を向けてみることで、引き抜こうとしてくる企業よりも好条件で採用してくれる企業が見つかるかもしれません。

プロへの相談によって、自分自身についてより客観的に理解することができます。自分では気づいていなかった適性や向いている仕事などが明確になり、本当に働きやすい職場を見つけることができるかもしれません。転職エージェントへの相談は無料なので、まずは気軽に話を聞いてもらうことをおすすめします。

利用者の声から分かるLHHと他社の違い

LHH転職エージェントは、引き抜き転職を含めた様々な転職相談に対応しています。LHHの経験豊富なコンサルタントが、あなたの市場価値を正確に評価し、最適なキャリアパスを提案します。

また、無理な転職を勧めることなく現職での成長や転職の選択肢を含めて最適な道を一緒に考えます。LHHの専門コンサルタントが、あなたの成長をサポートし、安心してキャリアの一歩を踏み出せるよう全力で支援します。

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