#外資系 #退職金
外資系企業は、一般的に退職金制度がありません。退職金の代わりに給与が高く、さらにインセンティブ、RSUなどの代替制度が設けられています。
外資系にはなぜ退職金制度がないのか、また外資系の制度内容や取り組みやすい資産形成について詳しく解説します。
目次
外資系企業では退職金制度がない理由
外資系企業では、日本の企業のような退職金制度が一般的にありません。日系企業では退職金が定着していますが、外資系企業では他の方法で従業員の報酬を確保するケースが多く、退職金がない理由はさまざまです。
給与水準が高く設定されているから
外資系企業はすべてが高年収の企業ばかりではありません。しかし、一般的に外資系企業は給与水準が高く設定されています。
なぜなら、日本に進出している外資系企業は、グローバル市場で競争力を持つための必要な資金力を有しているからです。このため、優秀な人材を確保し、維持するために、高い給与を支払うケースが多いです。
多くの外資系企業では、通常より高い給与、インセンティブ報酬、さらに株式報酬などの形で支給されます。これらは業績や成果に応じて支払われるため、給与水準が高い一方で、成果主義の考え方も色濃く反映されます。
外資系の報酬体系は、企業内の業務の効率や個人の成果を重視する文化を作り上げ、企業としての競争力を高める役割を果たしています。
短期雇用を前提にしているから
外資系企業の多くは長期的な雇用を前提としていないため、退職金制度を設けていません。
日系企業の場合、終身雇用や年功序列といった制度が一般的な雇用体系とされています。この制度は、社員が長期的に企業に勤め上げることを前提とし、退職金は勤続年数に応じて支給されるのが一般的です。年齢や勤務年数が上がるごとに給与が増加し、退職時にはその成果として退職金が支給されるという仕組みです。
一方、外資系企業の社員は、キャリアアップを目的に一定の期間で転職する傾向があり、結果的に短いスパンでの転職が多くなっています。
老後資金への考え方が違うから
日本では、退職金を老後資金の一部として活用するのが一般的です。退職金を老後の生活を支える重要な資金と捉える考え方が根強く、貯蓄や投資を含めた長期的な資金計画を立てる中で、退職金がその中心的な役割を果たしています。
一方、外資系企業では退職金の考え方が異なります。老後資金として退職時に一括支給される仕組みではなく、基本報酬が高めに設定され、その一部を貯蓄や資産運用に回し、資産を自ら管理することが求められる傾向があります。
つまり、退職金ではなく、月給に上乗せして支給される給与、またインセンティブで退職後の資産形成をまかなう仕組みです。
成果主義を重視しているから
多くの外資系企業では、従業員の業績や成果に基づいて報酬が決定される賃金制度が採用されています。退職金のような長期的な報酬体系ではなく、目の前の成果を報酬に反映させる仕組みが重視されます。
たとえば、営業成果に応じたインセンティブや、RSU(Restricted Stock Unit)などの報酬形態を導入している企業も多くあります。これらは、個人の業績を上げることで報酬が増えるというシンプルな仕組みであり、従業員が自己の成果を最大化するためのモチベーションを高める効果があります。
外資系企業による退職金制度の代わりの制度
外資系企業では、退職金制度が一般的ではないため、さまざまな報酬体系を導入しています。これらの制度は、仕事へのモチベーションアップにつながるだけでなく、企業の成長と個人の利益を最大化することができます。
特別退職金
会社が従業員に任意の退職を促すために支給する退職金で、一般の退職金とは異なります。
「退職勧奨の解決金」とも呼ばれるこの制度は、会社の組織再編やコスト削減の一環として、退職に消極的な従業員を説得するための施策です。日本の法律で解雇は強く規制されていますが、海外では日常的に認められるため、その措置と考えられます。
確定拠出型年金
確定拠出型年金は、掛け金とその運用収益を基に将来の給付額が決まる年金制度です。外資系企業で一般的に多く採用されています。
確定拠出型年金制度では、企業または個人が定期的に掛け金を拠出し、従業員本人がその資産を運用する方法となります。
外資系企業では転職が一般的で、同じ会社に長く勤めるケースが少ないため、退職金制度よりも、転職後も自身の年金資産を引き継げる確定拠出型年金の方が適しているといえます。
インセンティブ
多くの外資系企業では、基本給に加え、目標達成に応じたインセンティブが支給される仕組みが採用されています。インセンティブは、業績や個人の成果に基づいて支給され、従業員のモチベーションを高める重要な要素となります。
通常、入社時には目標達成時のインセンティブ総額と、それに加えられる基本給の合計額が提示されることが多く、成果に対する報酬が明確に示されます。
RSU
RSUは、従業員が一定期間勤続するなどの条件を満たすことで、企業の株式を受け取る権利が確定する仕組みです。譲渡制限付株式ユニットなどとも呼ばれます。
RSUは権利確定前に退職すると、その権利が消滅するため、企業に残り続けるインセンティブとなります。優秀な社員が退職しないようにするため、また社員のモチベーションを向上させるために導入されています。
退職金で見た場合、外資系企業は日系企業より損?
外資系企業では退職金制度がないため、一見すると日系企業よりも不利に感じるかもしれません。しかし、外資系企業はその分、給与水準が高く設定されている場合がほとんどです。
また、外資系企業では、退職金の代わりに特別退職金や確定拠出年金、インセンティブ、RSUなど多様な報酬制度を導入しており、これらが退職金以上に有利に働く場合もあります。
そもそも近年では、日系企業でも退職金制度が廃止されたり、金額が減額されたりするケースが増えています。そのため、退職金に頼るのではなく、自ら資産運用や貯蓄を行う方が、将来の生活を安定させる上でより確実といえるでしょう。
つまり、外資系企業で働くことは「損」ではなく、むしろ給与や報酬の仕組みを有利に活用できる場面も多くあるのです。
外資系企業で退職金以外に老後資金を貯める方法
インセンティブの支給額を貯金に回したり、特別退職金を資産運用に活用したり、計画的に老後資金を積み立てることは可能です。日系企業でも退職金制度がない企業や退職金が低額の企業も増えているため、退職金だけに頼らないほうがリスクを減らせます。
退職金以外に老後資金を貯める方法を紹介しますので、将来への備えに活用してください。
インセンティブを貯金に回す
日本では低金利のため、貯金だけでは利息を期待するのは難しいですが、定期的な貯蓄を積み重ねれば老後資金が確保できる可能性があります。
たとえば「インセンティブは全額貯金する」や「毎月〇万円を貯金する」などのルールを設定し、着実に実行することが重要です。インセンティブを活用して効率的に資産を築くことで、退職後の生活資金に頭を悩ませることはなくなります。
投資信託などの資産運用を行う
報酬の一部を貯蓄と運用に分け、NISAや投資信託を活用することで、将来的な資産を増やすことに繋がるかもしれません。
もし、自分に合った運用方法がわからない場合は、ファイナンシャルプランナーに相談するのも非常に効果的です。専門家のアドバイスを受けることで、無理のない資産運用をはじめられます。
まとめ
外資系企業では退職金制度が一般的ではなく心配の声がよく聞かれますが、その代わりの制度もあり、資産形成が不利になるとは限りません。
高い給与やインセンティブ、RSUなどを活用すれば充分に資産形成はできます。退職金に頼らずに自分で計画的に資産形成を行うことができ、むしろメリットになる人もいるでしょう。
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