年収とは| 所得・手取りとの違いや手取りの計算方法も解説

自分の年収に不安を感じる方もいるようです。そもそも年収がどれを指しているのかわからない、年収と手取りの違いがわからないという声も聞かれます。そこでこの記事では、年収と手取りの意味や違い、年収の平均額、年収を上げる方法など年収について幅広く解説します。

目次

年収とは1年間で支払われる総支給額

年収とは、社会保険料や源泉所得税などが引かれる前の金額を指します。

源泉徴収票で、種別の右に記載されている「支払金額」に記載されている金額が「年収」です。給与だけでなく賞与も含んだ年間の総収入から、保険や税金を天引きしていない金額が年収です。

源泉徴収票は年末調整が済んだ12月頃、あるいは退職時に会社から発行してもらえます。

手取りとは手元に入ってくる額

手取りは、年収(総支給額)から、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、所得税、住民税などをあらかじめ差し引いて支給されるものが「手取り」です。

銀行等に振り込まれる給与がそのまま手取りとなる場合もありますが、会社で企業型の拠出年金制度や財形貯蓄などに加入していれば、さらに手取りは減ることになります。

一般的には、年収の約80%が手取りと考えます。

所得とは収入から給与所得控除額を引いた金額

働いて得る収入を表す言葉は、年収や手取りの他に「所得」という言葉が使われます。

所得は、所得税を算出する基になる金額で、年収(総支給額)から、給与所得控除額を差し引いた金額です。源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」が所得にあたります。給与所得控除とは、会社員に加味される必要経費の意味合いを持ちます。

年収そのままの金額に所得税が課されるのではなく、年収に応じて定められた控除額を差し引くことができます。

日本の平均年収は約443万円

国税庁が公表している「令和3年分 民間給与実態統計調査」によると、日本の平均年収は443万円で、前年よりも2.4%増加しています。

男女別では、男性の平均年収は545万円で前年比2.5%増、女性の平均年収は302万円で前年比3.2%増となっています。ただし、給与階級別分布を見ると、男性は400万円超500万円以下に属する人数が最多で、全体に対する構成比が17.5%です。

また、女性は100万円超200万円以下に属する人数が最多で、全体に対する構成比が22.5%となっています。

年収から手取りを計算する方法

年収に対する手取り金額は、一般的には総支給額の約75~80%となります。たとえば、年収500万円の場合、手取りは約400万円です。ただし、年収の多寡により税率が異なり、扶養家族人数などの控除によっても変動するため、おおよその概算は以下を目安にしてください。

1000万円未満 総支給額の約70〜80%
1000万円以上〜2000万円未満 総支給額の約60〜70%
2000万円以上 総支給額の約50〜60%

ボーナス・残業代も年収に含まれる!

年収は基本給の他に、資格手当や家族手当、住宅手当などが含まれます。(後述しますが通勤手当は別)

つまり、会社から支給される給与ですので、残業や休日出勤などの時間外勤務手当も年収に当然含まれます。年収が平均よりも高くても、そのほとんどが残業代であれば、翌年以降も同等の年収になるとは限りません。

残業代は基本給や固定の手当と比べて変動が大きく不確定です。住宅ローンなどを組むときは、残業代を含めた年収を基準にローンを組むのは危険です。

また、同様に賞与も会社の実績や個人の査定に応じて支給額が大きく異なります。クレジットカードなどでボーナス一括払いや併用払いをするときも注意してください。

年収に含まれないもの

通勤手当は、通勤のために必要な交通費なので、働いて得る賃金とは考えません。そのため会社の社内規定で定められた通勤手当が個人別に実費を支給されているのが一般的です。

また、出張にかかった交通費や宿泊費の清算として、給与と一緒に口座に振り込まれる場合もあるようです。このような通勤手当や出張旅費は、年収には含みません。

同様に、結婚祝い金や見舞金などの社員の福利厚生として受け取った慶弔見舞金も年収には入りません。ただし、社会保険料を算定する際は通勤手当も含めて収入と考えるため、保険関連では通勤手当を含めた額を年収と捉えます。

クレジットカードの審査を受けるときは、審査に通りやすくするために交通費を含めた年収を申告することもあるようです。

個人事業主の年収の考え方

会社員ではなく個人事業主の年収の捉え方は少々異なります。仮に、事業の収入が3,000万円あったとして、仕入や必要経費に2,500万円かかっていたとしたら、個人の年収が3,000万円とは言いません。

この場合、年商3,000万円という言い方をします。ただし、住宅ローンを組むときや転職する際に年収を伝える場合は、年商から必要経費を差し引いた所得を指すことが一般的です。

この場合、所得から各種控除を差し引いて地方税の個人事業税が課せられます。

源泉徴収票の見方

源泉徴収票には、会社から1年間にいくら支給されたか、そのうち所得税や社会保険料をいくら払ったか、また、扶養家族の人数などの個人情報が記載されます。

発行は、給与計算を行う経理担当が会社名で発行します。源泉徴収票は、住宅ローンや保育園入所、転職時などにあとから必要になることがあるため大切に保管しておきましょう。

ここでは、源泉徴収票の正しい見方ができるよう主な項目について解説します。

支払金額

源泉徴収票の「支払金額」とは、前述の通り「年収」であり、会社から支給された通勤手当や慶弔見舞金、出張旅費などを含まない賃金のことです。

基本給、家族手当、資格手当、役職手当、時間外勤務手当などの給与に加えて、賞与も含めた額です。かつ、社会保険料や所得税、住民税などが差し引かれる前の総支給額を指します。

支払金額は同等の社員でも、独身と家族を養う世帯主とでは納める税金も異なり手取り額も異なるため、一般的に年収を聞かれたら「支払金額」を答えます。

給与所得控除後の金額

源泉徴収票の支払金額、右横にある項目が「給与所得控除後の金額」です。

個人事業主が確定申告をする場合は必要経費が認められ、経費を差し引いた残りの金額に対して所得税が課税されます。つまり、経費が多くなれば納める所得税も安くなります。

会社員にもそれなりに経費がかかることを加味して、一人ひとりが経費を算出する手間をなくし、社会の経済状況を加味して概算で経費相当分を差し引く制度が「給与所得控除」です。

国税庁が定めたもので、年収に対して5段階で異なる計算式が当てはめられています。

たとえば、年収360万円超から660万円までは、年収の20%に44万円を足した金額が経費として認められます。つまり、年収(支払金額)500万円であれば、500万円✕20%+44万円で、給与所得控除額は144万円です。

支払金額500万円から給与所得控除額144万円を差し引いた356万円が「給与所得控除後の金額」となります。

源泉徴収税額

源泉徴収票にある「源泉徴収税額」とは、1年間に納めた所得税と復興特別所得税を合算した納税額を指します。つまり、1年間に働いて得た給与に対する納税額を表しています。

所得税額は「給与所得控除後の金額」から「所得控除の額の合計額」を引いた金額(=課税所得額)に、所得税率を乗じて計算したものが「源泉徴収税額」です。

所得控除とは、社員一人ひとりの家族構成や家計事情などを加味して納税額の負担を軽減する制度です。

所得控除は、基礎控除、扶養控除、勤労学生控除、ひとり親控除、障害者控除、生命保険料控除などの合計15種類です。これらの控除を差し引いた金額が課税対象となり、その金額に応じた所得税率を乗じて源泉徴収税額が算定されます。

源泉徴収票の源泉徴収税額には、月々の給与から天引きされた源泉所得税を年末調整で過不足を清算したあとの、正しい納税額が記載されています。

年収を上げるためのポイント

源泉徴収票の見方や、日本の平均年収について紹介してきました。

年収については年齢や職種などにより金額が異なり、一概に高い低いと一喜一憂はできませんが、少なくとも平均と比べて多いか少ないかの判断がつきます。

また、同じ業界や職種などの世間相場と比べて年収が低いのではと心配する方もいるかもしれません。今の勤務先で成果を出す、昇進するなどで年収を上げることもできます。

それが難しい場合、どのように年収を上げればよいのか、年収を上げるための一般的な方法を紹介します。

転職をする

今の会社で頑張っても年収が上がる見込みがない、自分の能力について正しく評価されていないと感じるときは、転職もひとつの方法です。自分の能力に見合った会社に転職することで、年収が上がる可能性があります。

あるいは、給与水準の高い業界や会社に応募して採用されれば年収を上げることができます。

たとえば、今と同じ職務内容の営業や経理でも、企業規模や儲かっている業界によって給与や賞与の支給額が異なります。大企業に限らず、社歴の浅い中小企業やベンチャーでも高い給与を支給しているところもあります。

過去の経験や実績が活かせる職種なら、前職より高い年収を提示される可能性も高いはずです。

投資を行う

株式投資やFX、投資信託などの投資で副収入を得ている方もいます。

投資は副業やダブルワークといった性質のものではありませんが、会社員でも資金運用として少額からはじめられます。

昨今は半自動的に投資を代行してくれるサービスを提供しているところもあるため、投資に対する知識がなくてもはじめることが可能です。

元金割れするリスクはあるものの利益率は預金よりも高いため、資金に若干の余裕がありダメージを受けない程度の額なら気軽にチャレンジできます。

資格を取る

業務に役立つ資格取得を奨励している会社もあります。資格試験に合格して資格手当が支給されれば、年収を確実に増やせます。

また、昇進や昇給にも有利で、年収アップにもつながります。所持している資格のさらに上級試験を目指すのもおすすめです。

基本的な知識を身に着けていれば、日常の業務で知らず知らずのうちに実力が付いているため、難なく合格するケースもあります。成果を認められにくいポジションにいる方はチャレンジしてみるのも得策です。

また、賃金規程で資格手当支給制度の有無について調べてみることをおすすめします。転職することになっても、客観的に技能レベルが判断できるので有利です。

年収が上がるおすすめの資格

ここでは、社会人が働きながら独学で資格取得できる人気の資格を紹介します。実用性の高い資格なので、合格すれば収入アップが期待できます。

どれもさまざまな出版社から多くのテキストが販売されている注目の資格です。仕事内容や将来の姿を想像して、自分に向いていそうなものを選んで学習してみてください。

ファイナンシャル・プランナー(FP)

ファイナンシャル・プランナー(Financial Planner=FP)とは、個人や法人の金銭面の相談や悩みを解決できるよう、資産設計や運用、理想のライフプランニングなどをアドバイスするお金の専門家です。

資格取得のための学習内容は、年金、保険、税制、投資、相続、不動産など、お金に関する知識全般を身に着けます。

試験内容は入門、基礎、上級とステップごとに何段階かにわかれているため、順に学習するのがおすすめです。中級レベル以上を取得すれば、金融機関や保険会社、不動産業などへの就職にも有利です。また、将来的に独立開業することも可能です。

【参照元】日本FP協会

宅地建物取引士

宅地建物取引士(宅建)とは、不動産の売買や賃貸など不動産取引に関する業務の専門家です。

宅建は、毎年20万人前後の受験者数を誇る最大規模の国家資格です。学習を通して、土地や建物に関する内容、仲介業務などについて専門的な知識が身につけられます。

不動産会社でも、宅地建物取引士の資格がなければ行えない業務もあります。そのため資格を取得すれば、より責任ある仕事を任されるようになり収入アップが見込めます。

【参照元】不動産適正取引推進機構

日商簿記検定

会社では、日々のお金の流れをルールに沿って正しく記録する必要があります。

簿記は、仕入や売上、経費、給与、税金、社会保険など会社のお金すべてを管理する仕事で、経営状態や財政状態も可視化できるよう計算・整理する技能が求められます。

財務諸表の見方がわかれば、月次決算などで会社の現況を把握でき、資金繰りなどに素早い提案も行えます。

簿記は会社なら必ず必要な部署であり、経営管理職への昇進も見込めるなど将来性のある資格です。上級になるほど難度が上がりますが、実務をこなしながら2級、1級取得にチャレンジする方もいます。

【参照元】日本商工会議所・各地商工会議所

まとめ

年収とは、会社から給与や賞与として支給された年間の合計額を指します。社会保険や税金が引かれたあとの手取り額とは異なるため注意しましょう。

自分の年収を知りたいときは、年末調整後の源泉徴収票を見ると詳細にわかります。自分の年収が低いのではないかと感じるときは、年収を上げる努力をすることで、今後の年収がアップする可能性は格段に広がります。

本記事で紹介した情報を参考に、ぜひ年収を上げる方法を実践してみることをおすすめします。

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